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矢倉沢往還160kmの旅〜旧道好きにはたまらない道を往く(後半)

<丸山城址公園エイド〜Finish 後半100km>

スタートから8時間ほど過ぎて、ようやく60km地点の丸山城址公園エイド。
ここから先は、ほぼ夜間走になります。
そこで、ここでしっかり補給と夜間走に向けた準備をしました。

前半戦はビニールポンチョでしのぎましたが、ここでレインウエア(バーサライト)に着替え、ザックにもレインカバーをかけてヘッドライトを準備してリスタートしました。

なお、このエイドからナイトラン(100km)の部が午後7時にスタートしますので、東京から走ってきた160kmのランナーもどんどん追い抜かれていしまいます。

我々「旅姿三人衆」(笑)は、4時半ころリスタートしました。

まずは、大山阿夫利神社への上り下りを克服することが課題です。
明るいうちに神社まで行って帰ってくればかなりいい感じかと思いモチベーションも上がりましたが、雨がけっこう強くて走る気力が続かない。ついつい歩いてしまいます。
しかし、ここからがチームワーク発揮。

試走をしたAさんは、歩いていると「この先、ずっと上りが続くのでここはあるきましょうか?」と声をかけてくれ、それに合わせできるだけ走り続けました。
そして、ようやく階段やトレイルが続くようになると、比較的トレイルを走っていた経験がある自分から、上りのコツを伝授します。

大山阿夫利神社登り坂途中(まだ明るい!)


こうしてお互いに助け合いながらなんとか大山阿夫利神社下社(69.7km)地点に到達できました。
ここで、ふと気づいたのですがこのコースの中でここは唯一の折返し場所で、上る途中に速いランナーを出くわすはずですが、それがほとんど十数名…ってことは、「自分たちってけっこう速いほう?」と、気付きました。

特に上りのトレイル区間にはいり、さすがに自分たちだけでなくほとんどのランナーが歩いて上るので、間隔が狭まっているようでした。
ただ、上りの途中でまわりは暗くなりヘッドライトも必要になりました。
当然、足元が見えにくくなるし滑りやすくなります。
自分たちも、一歩一歩安全そうな足場をみつけて上っていきました。


大山阿夫利神社下社

そして、目的地へ到達したとき、雨も小降りになり伊勢原市の夜景が美しく広がって見えました。

夕方の景色が美しかった(雨も小降り)


大山阿夫利神社下社から(ここでまだ70km)

大山神社からの下り。
次々にランナーのみなさんも上ってきます。
「あと、どのくらいですか?」と聞かれましたが、あまり安易にすぐとは言えないところだったので、「あと3がんばりくらいですよ」なんて答えておきました。

上りは辛いものですが、急登は意外と頑張れば早くピークに到着するのでまだまだある…と思ったほうが頑張れると思います。

100kmナイトランのグループとは75km過ぎの石倉橋付近で交差しました。
あたりはすっかり暗くなり、疲れも溜まってきましたが、相変わらず3人は歩いたり、走ったりを繰り返し秦野市へ。
途中、コンビニによるとYさんがなんとコロッケを食べています。
さすがに、揚げ物は…と思いましたが、コロッケのいい匂いに刺激されこちらもお腹が空いてきます。

秦野市から大井町へ。
90kmあたりからまた上り坂。それももはや林道の急登が続きます。
そして、やっと次の「富士見塚エイド」(92.5km)へ到着。(22時半頃)

ここでは、ドロップバッグがあり着替えもできますが、なんといっても「カレー」が待っていました。

このカレーが格別!
「小江戸大江戸」の成願寺のカレーも仲間内では人気ですが、この富士見塚のカレーは最高でした。
お替りは当然ながら、パンをつけて食べても最高。

ここで少しゆっくりしたかったのですが、あとからランナーが続いてきてベンチも2つほどしかなくさすがに場所も占領できず、ビショビショになったソックスだけを履き替えて、ドロップバッグはほとんど開けずに返却。リスタートしました。

富士見塚エイドのトレイルを下り市街地にでましたが、ここからはすでに夜の10時も過ぎて、道もわかりにくいロストしやすい状況でしたが、試走をしていたAさんのおかげで道迷いなく100kmも過ぎ、コース最大の難関トレイルが連続する足柄峠へ向けた本格的な古道に入っていきます。

足柄神社を過ぎ105km地点通過。
ここからは、けっこう急登のトレイル(古道)もいくつか。
近くには舗装された自動車道ができているということは、本来の矢倉沢往還道の巻道のように舗装道路が作られているのだろう。

次の足柄峠エイド(113km)までは、ずっと3人で声を掛け合いながら歩いて上りました。そしてようやくエイドへ到着。時間はすでに午前2時を過ぎている。さすがに眠かった。

足柄峠エイドでは楽しみにしていたシチューとパン。パンにはクリームチーズとチキンが挟んであって最高に美味しかった。
寒くなければずっとこのエイドで休憩したかったのですが、さすがに休憩しているとカラダが冷えてしまうので、急ぎ次のエイドへの準備。
トイレへ行き、雨も少し弱まってきたようなのでザックカバーも外してリスタートしました。

舗装道路をしばらくいくとトレイルに入りましたが、下りのトレイルは最高にいいコンディション。多少、雨で濡れてはいますが、粘土質でも無いので滑ることなく、またフカフカで痛みだしていた足にも少しやさしい。

あっという間に下りて、足柄駅へ。
ここはトイレが新しくて綺麗。

ウルトラマラソンのときは、水分はとってもどうしてもお腹にガスが溜まり便秘気味になってしまうので、ここでしばしトイレ休憩としました。

次のエイドは御殿場市のグランドルーフさん(123.7km地点)。
たった10km。
しかし、ここからは単調な国道の歩道を走っていくわけですが、もう足に力が入らずすぐ止まって歩いてしまいます。

そのうちに体調が悪いのか、足が痛むのか、Aさんが遅れだし「先にいってくれ」とのこと。

仕方ないのでYさんと二人で、時々「少し走りますか」と言って走りだしては、いつのまにか歩き出し。
歩いていると睡魔がすごくてほとんど目が開いていない状態も何度か。
眠くなるとまた「走りますか」と言い合い少し走って、また歩く。
この繰り返しを何度か。

天気予報では雨は3時以降に上がると言っていたのに、まったく上がらない。それどころか、霧雨のような、まるで雲の中ってこんな状況なの?というような真っ白の水滴が漂う中を走ったり歩いたり。
でも時間的にはなんとか悪くないんじゃない?ともしかするとお昼前にゴール?オイル前にお風呂に入ってビール?
そんなことばかり楽しみに走って(歩いて)いました。

途中、コンビニでトイレに行ったり眠気覚ましにドリンクを飲んだり。そしてYさんはまた食べていたり(笑)。

ウルトラマラソンは食べられないと走り続けられないのはよく言われることですが、本当によく食べること。

そして、ようやく5時頃、「グランドルーフエイド」(123.7km)に到着。
ここで豚汁をいただきました。

スタッフさんたちから「あとはほとんど下りだけ」と言われ元気を出してリスタートしますが、どうしても走るが続かない。

何度か、「走りますか?」を言い合いながら少しでも距離を稼ぐ。
もうあとフルマラソン1本も無いんだから、と言い聞かせ少しでも前に。

裾野市あたりに来たころ、ようやく晴れ間が出てきました。
しかし、今度は日差しが暑すぎて走りが続かない。

145km通過。あと15km。
でも15kmが遠い。
沼津市に入り狩野川の手前まで。ここで自分がコースミス。すぐ気づきましたが意識はもう朦朧としていました。

それでも、沼津警察署を過ぎてようやく「港口公園エイド」(152km)へ10時ころに到着。
あと8km。普通に走れるなら1時間でゴールできますがさすがにもうそんな足は残っていない。
それでも11時台にはゴールできるぞ!
と、ここから海岸線の堤防を我慢に我慢を重ねて遅いけど走っていました。

狩野川


「遅いけど」というのは、ここ市民ランナーが多くビュンビュン飛ばしていきます。
何度も抜かれたランナーもいるほど。

海岸線の堤防は最高のお天気!

それでも、Yさんととにかく少しでもゴールに近づこうと、あと何キロ?とお互いに確認しながらトボトボ走っていました。

風が気持ちよいのですが、少し強すぎだよ!と思いつつようやく堤防を下りて市街地に。

そして、目指すゴールが見えてきました!

途中、地元の方に「何してるの?」と声をかけられ「東京の日比谷公園から走ってきました」と答えると、そりゃ驚きますね。
声には出さないけど「アホじゃない?」と思ったのでしょうね。

そして、念願のゴール!!!
11時20分ころにYさんと二人でゴールできました。

主催者の太田代表が迎えてくれ写真もとってもらいました。

Yさんといっしょにゴール!!!

それから、お風呂に入ってYさんとビール!最高に美味しいビールでした。
その後、30分ほど遅れてAさんも到着。
Aさんには道を教えてもらい本当にお世話になりました。


今回、3月の「小江戸大江戸200k」に続き「矢倉沢往還160k」に挑戦しましたが、結果的には両方ともに完走はできました。
その中で、超ウルトラマラソンのいいところはいっしょに参加したランナーさんたちとコミュニケーションを取れることですね。お互いに苦しいのはわかるし、自分だけ黙々と走ることは続かず、声をかけてしまいます。

その出会いはお互いをしっかり理解しているからお互いに刺激になり頑張れると思います。

今回、AさんとYさんという素晴らしいランナーさんに出会い、寂しいこともなくチームワークで完走できたことは本当に嬉しかった。
昨年参加したYさんも大幅に記録更新。
Aさんも想定より大幅にいい結果でゴール。
これは間違いなくチームワークの勝利でしたね。

雨で本当にきつい160kmの旅でしたが、振り返ってみると意外に楽しかったし、できれば晴れの日にじっくりこの旧道を走ってみたいと思うのでした。

来年も、晴れたら走ろうかな。

(おしまい)

ゴール近くの歩道橋から富士山が綺麗に見えました!(この翌週はUTMF開催)


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