読書の秋、西村賢太を読む

寒いですが、なんとかやってます。
最近は家にこもって本を読んでいます。ジャンルは純文学。特に最近は西村賢太、川上未映子あたりをひたすらに読み漁っています。
小説はいいです。体力がなくなっている時でも寝転んで読めるから。エネルギーが枯渇していても何故か昔から本は読めるんです。あとは一冊読み終え後に達成感があります。その辺を考えるとやっぱり電子より紙の本の方が、わかりやすく課題消化感を味わえますね。

今私が夢中になって読んでいる西村賢太の小説は、はっきり言って今の時代には受け入れられにくいと思います。私のような鬱屈した人間を除いて。
主人公の北町貫太は粗暴で、ひどい性格をしており、当然のように女を殴る奴です。流石に身の回りはここまでひどいやつはいません。時代と真逆の作風だからこそ、西村の小説は私の胸に深く突き刺さります。
消毒された令和の優等生どもとは真逆の生き様。
はっきり言ってひどい人生です。しかし、そんな生活にも音をあげず、崇拝する藤澤清造のために一生を捧げた、太く短い人生。
恐らく彼は今で言うところの弱者男性にカテゴライズされる人だと思います。しかし、心の支え(彼にとっての藤澤清造)があれば、人は困難を跳ね返して強く生きていけるんです。そのことを彼の生き様が証明しています。
このままでいてたまるかよ、俺を蔑んできた社会よ、世間よ、今に見ていろよという確かなエネルギーのようなものを感じます。
それは西村賢太が藤澤清造に感じたエネルギーと同じ種類のものなのかもしれません。
もはや今の日本にこのような小説家は現れないのでは、と思います。

西村賢太は私に小説って面白いんだということに気づかせてくれた作家です。
できるならば、これからもずっと彼の作品を読んでみたかった。
いつの日にか彼の眠る七尾の墓地を訪れてみたいものです。

世の中は年々生き辛くなっています。でも、そんな時にも心の支えさえあれば生きていけます。小説はいつの間やら私にとってそのような存在になっているのかもしれません。

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