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英検1級合格!と、今後どうしようかのあれこれ

2022年第1回の英検(実用英語技能検定)で、1級に合格しました。

きょうは、合格までに使った参考書やらなんやらを、メモとして残しておこうと思います。

Twitterを見ていると「合格しました!」の嵐なので、1級をとったところで別に…という感じはあります。
ありますが、でも、わたし自身が合格前に「英検1級 対策」で必死にネット情報をかき集めていたことを思い出し、まぁこんな書き散らしの体験談でも誰かの心の慰めにはなるかもしれないと思ってもいます。よかったらお読みくださいませ。
(合格時のスコアは後ほどお見せします)


どうして英検1級を受けたのか

まずは、そもそもなんで英検1級を受けたのかというお話から。
もともと部活大好き高校生だったわたしは英語なんて大嫌いでしたが、当たり前のように大学受験に失敗、浪人生活を始めることになりました。
これがかれこれ十数年前のお話。

さすがに勉強をしないとまずいということで、予備校に通い始めたのですが、講師の方々の鮮やかな講義にすっかり魅せられまして、英文法に興味を持ち始めます。(今にして思えば全然たいした内容じゃなかったと思うんですが、10代のわたしにはそりゃもう「アカデミック」に見えたものです)

大学に進学してからもその微熱を引きずり、英米文学系の専攻に進みます。卒論のテーマは社会言語学界隈。

そして大学在学中、英検準1級を取ったんです。
就活でもアピールポイントになるからということで。

そして10年経ち、今般の社会情勢で人と会う機会が減ったこともあり、やり残していた1級に挑戦しようとふと思い立ったのです。


…文字数を割いたわりに中身のないあらすじになってしまいました。

とにかくまぁ、大学以来10年ぶりの「やり直し英語」ということです。

それから、(もしかしたらこっちのほうが本質かもしれませんが)わたしはいわゆる「純ジャパ」です
日本生まれ日本育ち、海外経験は社会人になってからの韓国出張が唯一です。
つまり、英語圏には一歩たりとも足を踏み入れたことがありません

大学では「英米文学」の畑にいたということで、周りは帰国子女だったり、休みの度に家族で海外旅行に行ったり、留学したり、ワーホリ行ったり、みたいな人がごろごろいました。
そんな中で、英検1級という資格を取得することは、一種の反抗というか、経験はなくとも戦えるんだという「箔」をつけるような感覚もあったのかもしれません。

ただしこれに関しては後述しますが、「経験がない」ことをアイデンティティと結びつけることには何の利点もありません
「海外経験なしで英検1級!」と「海外経験ありで英検1級!」の間には、価値の差は一切ありませんし、もし仮に「英検1級を取るまでは海外に行かないぞ」なんて昔のわたしみたいな間違った決意をしている人がいるならば、今すぐやめた方がいいです。そんな我慢に、なんの意味もないです。というか、ただの逃げだと思います。


合格までの道のり

結局、合計で4回受検しました。
連続で受けていたわけでもないので、2年の歳月を費やしてしまいました。
そして痛いのはお金。
受検料が1回1万いくらかしますからね、英検協会にずいぶんと献金をさせていただいたことになります。

経緯はこんな感じです:

2020年度第3回・・・一次不合格
2021年度第1回・・・受験せず
2021年度第2回・・・一次合格 / 二次受験せず(仕事で休めず)
2021年度第3回・・・二次不合格
2022年度第1回・・・二次合格 晴れて英検1級ホルダーに

参考までに、一次合格回(2021年度第2回)と二次合格回(2022年度第1回)の成績表を貼っておきます。
ご覧の通り、ぎりぎり合格です笑

単語をはじめとしたリーディングで得点を稼ぐ作戦でした。
リスニングは合格者平均に届かず…
Short Speechは6点…

使った参考書

ここでは、実際にわたしが試験対策に使用した参考書を紹介していきます。
合う合わないがあるので、あくまで参考程度にどうぞ。
あえて言うまでもありませんが、「おすすめしない」とかなんとか書いているのはすべて個人の感想です

すぐ参考書を集めちゃうのはわたしの悪い癖です。


●一次試験 - 語彙

一次試験は、ちまたで言われているように「単語ゲー」です。
成長の実感が得られにくいリスニングや英作文とちがい、語彙問題は「知っていれば得点、知らなければ失点」と分かりやすい世界です。
だから集中的に頭に詰め込むと、それだけ合格が目に見えて近づきます。

わたしは、旺文社の『でる順パス単』(4訂版)と、ジャパンタイムズ社の『出る順で最短合格!単熟語EX』を使っていました。
(『パス単』はわたしが買った後に改訂されて、現在の最新は5訂版です。見比べてみた限りでは、4訂版のほうが点数取れそうな気がします)

旺文社が出している語彙対策に、こんなものもあります。

文で覚える単熟語、通称『文単』です。
こちらも持ってはいますが、個人的には不要でした。
長文対策と語彙対策のいいところどりや~なんて思っていましたが、載っている単語がどうにも簡単すぎて対策になりませんでした。

単語帳に関しては一番大事なことは、「実際に出題された単語が単語帳にどれくらい載っているのか」かだと思いますが、これについてはYouTubeに種々検証の動画があがっていたりするので、そちらをご覧ください。

個人的には、『パス単』『単熟語EX』どちらでもいいかなぁという感じです。
単語帳一冊で100%カバーするというのはどだい無理な話ですし、そもそも単語帳が出題範囲を完璧に網羅していたとしても、わたしの頭が記憶できるのはせいぜいその半分くらいだからです。

実際には、「紙質」の一点において『パス単』ではなく『単熟語EX』を愛用していました。
『パス単』はつるつるの紙で、ボールペンで書き込んだ文字がなかなか乾かずにじんでしまうので、使うのをやめました。

それから、例文は無視しました
基本的には「見出し語 - 訳語」の一対一の対応ができていればいいかなと思います。
ただ、人によっては例文を読んで文脈で理解した方が単語の覚えがいいという方もいるかと思いますので、そういう人に関しては例文も適宜活用しても良いのかもしれません。

●一次試験 - 長文

長文は過去問しかやっていません。

もともと長文読解は「なんとなく点が取れてしまう」パートだったので、ことさらに対策はせず。

ちなみにですが、語彙対策で単語帳をまわすにつれ、長文読解も楽になっていく実感がありました。語彙はパワー、これ、間違いない。

●一次試験 - リスニング

リスニングですが、私は同時期にTOEICも受けるという浮気性を発揮していたため、対策には『極めろ! TOEIC L&R TEST 990点 リスニング特訓』というTOEIC本を使っていました。

なかなかにビシバシと英語のシャワーを浴びることができるので、この参考書はおすすめです。
特にオーストラリア人男性のナレーターの英語は、慣れるまでどちゃくそに聞き取りづらく、良い訓練になりました。
(おかげでTOEIC L&Rのスコアも大学時代の865から950まで上がりました)

あと、こちらも持ってはいました。

ジャパンタイムズ社の『最短合格! 英検1級 リスニング問題 完全制覇』。
この本の音声は、本番と比べるとナレーションが明瞭かつゆっくりな気がします。
この本でしっかり正解できたとしても、本番だと「あれ、英語が速いぞ?聞き取りづらいぞ?」となる可能性が大きいです。

そして、過去問
絶対にやっといたほうがいいです。
というのも、少なくともリスニングに関しては、「過去の問題の使い回しがある」から。
わたしが受検した回も、過去問とまったく同じ(スクリプトはもちろん、選択肢から正答の番号まで一緒な)ものが出ました。
これを過去問で解いていれば、真面目に聞き取らなくても点がもらえるわけです。

本屋に行けば過去6回分が収録された過去問題集が売っているので、これを一通りやっておくといいと思います。
(もっとやりこみたいという人は、古本で過去年度の過去問題集を探すか、上述のジャパンタイムズ社の参考書にも過去問からのコピー問題が載っています)

●一次試験 - 英作文

英作文はこれ一択です。
リスニングでも紹介したジャパンタイムズ社の『完全制覇』シリーズの英作文編。

コンテンツブロックという、「ライティングで使える一段落程度の英文」が大量に載っていて、それを組み合わせていくとエッセイが書けるようになっています。

暇なときにぱらぱらめくって、コンテンツブロックに目を通しておくといいと思います。

個人的には、英語表現を学ぶのもまぁ良いのですが、どちらかというと和訳のほうをじっくり読み込んだ方が効果が出るかもしれないと思いました。
というのも、英作文で重要なのって、小難しい英語表現や美しい比喩を使いこなすことではなくて、与えられたテーマに沿って何個か理由を挙げて論じる、ということなんです。

たとえば、
・「日本はタバコの広告を全面的に禁止すべきか」とか、
・「先進国の経済支援は途上国にとって役に立ってるのか」
といった問題。
そんなこと、正直日常で考えたことなんてなくないですか?
だから、日本語ですら理由を挙げて論じるのって難しいんです。

逆に、日本語で理由がいくつか出てきたら、あとはそれを拙くとも英訳して書けばいいだけです。
英検1級を受けるような人であれば、簡単な和文英訳くらいはできるはずなので。

というわけで、英作文に関してはいろいろなテーマを見て、理由を挙げる練習を繰り返すこと、これに尽きると思います。

●二次試験

二次試験1回目の受検(不合格)ではほぼほぼ対策をしなかったため、不合格が決まってからあわてて参考書を買いました。
が、悪癖であるコレクター魂が制御できず、結果的に二次試験対策本で4冊も並ぶことに。おそらく市販本コンプリートじゃなかろうか…。
もちろん、やりきったものは一冊もありません。すべて中途半端です。

上から順に、アスク社の『攻略ポイント20』(以下、水色本と呼びます)、Jリサーチ出版社の『面接大特訓』(黒本)、アルク社の『完全攻略!』(オレンジ本)、そして旺文社の『完全予想問題』(緑本)の4冊。

水色表紙のアスク社の『攻略ポイント20』は特にレベルが高いです。
スピーチはトピックに対して賛成・反対両方の立場のものが2本掲載されていて◎。
質疑応答対策としては、正直ここまでいるかな?というほどに洗練された回答例が載っています。「これはアウト!」「なかなかの答え」「パーフェクトな答え」の3種類の例文が載っているのですが、正直「なかなかの答え」のものでも十分合格点が取れるんじゃないだろうか、と思います。
高得点で合格したいとか、英検に限らずスピーキング力に磨きをかけたい、とかいう人は挑戦してみてもいいかもしれません(が、英検合格だけに目標を絞るなら負荷が高く遠回りになる気がします)。

受験生のバイブルとも呼ばれている黒色の『面接大特訓』は、
・大量のテーマに触れて、数をこなす
・ハッタリをかますための「スピーチの紋切り型」を身につける
という点において有効かなと思いました。

特にUnit2で紹介されている「○○を廃止すべきかはよく議論の的になる」「××に関しては利点も欠点もあるが、以下の理由から利点が欠点を上回ると考える」といった、丸覚えするだけでスピーチがそれっぽくなるテンプレート集は役に立つと感じました。

ただ、本のレイアウトが好きになれず…。
内容は優秀なのでしょうけど、なんとなく愛着が湧かないんですよね。
それから、2015年発行の本ゆえに、ちょっと内容が古かったりします。どことなく今だとコンプラ的にうーん、みたいなモデルスピーチもあったりして(個人の感想です)、わたしはこの本のスピーチを参考にするのは控えました。

ピンク色のアルク『完全攻略!』のものは、まえがきにも「本書が目指すのは、二次試験までの2週間で、何とか合格レベルに達することです」と書かれている通り、時間がない中で合格に最低限必要な演習を積むための本です。
扱うテーマも絞られ、スピーチも平易な表現が多く使われていて、親しみやすい参考書だという印象です。
ただし、Q&A対策の部分が男女の会話形式になっています。これがどうにも使えない。この会話文、それぞれの話者が言いたいことを言っているだけで、会話形式のくせに会話がかみ合っていないんです。
なので、実際の面接で「どういう質問がくるのか」という予想が立てづらい。いや、立てづらいというか、不可能だと感じました。

期せずして比較レビューみたくなっちゃった二次試験対策本たち

とかなんとか考えていくと、結局旺文社の出している緑色の『完全予想問題』が最適解かなと思います。
実質英検協会である旺文社だからサンプルスピーチは満点解答だろうし、各テーマについても簡潔明快な想定質問がついています。
ひとまずこの緑本を眺めてトピックに対する答えを考える練習をすれば、二次試験は充分だといえるでしょう。

ちなみに、緑本に関しては、「サンプルスピーチが出来すぎていて真似できない」なんて意見も聞かれます。
ただ、これに関してはどの本も当てはまる気がします。たとえば黒色本のサンプルスピーチにも知らなきゃ話せない背景知識バンバン出てきますからね。丸暗記でもしない限り本番での再現は無理でしょう。

そして、実際の面接時の考え方ですが、その丸暗記というのは基本的に通用しません。
与えられたトピックについて、自分の主張の根拠となる理由を複数考えて、その場で和文英訳して話す。それだけです。
最近の二次試験の問題はトピックがどんどん細かくなっていると言われています。
いくら参考書に書いてあるスピーチを丸暗記したところで、角度を変えて問題を出されたら意味がありません。
なので、サンプルスピーチを覚えるのではなく、「こんなテーマを聞かれるのか」の参考程度にとどめておくことが大事です。

さて、実際の面接ではどうだったのかといいえば、まぁスコアを見ての通りスピーチはボロボロです。
ただ、喋り続け、面接官の質問にあたかも「それはいい質問ですねぇ」みたいな素振りでうなずき、「でもやっぱり●●だ!」って言っていれば合格できる気がします。
面接に関しては評価基準も分からない部分が多いので、素人のわたしから言えることはそれくらいですかね…。


合格後のこれから→通訳案内士とるか

さて、実際受かってみてどうかと言われれば、正直なところ「特に何の感動もなかった」です。

その理由は大きく2つありまして。
ひとつは、4回受ける中でちょっとずつ自分の英語力が上がっていくのを実感できていたので、今回で合格スコアを突破するだろうという予感があったからです。予定調和的、というのでしょうか。
そしてもうひとつは、自分の英語力の至らなさを自覚しているからこそ、「この程度でも英検1級取れちゃうんだ…」としらけているということ。

別に英検1級の肩書きを手にしたからといって、自分の英語力がその日を境に爆上がりするわけではありません。
(人によっては昇進や転職の助けになるということはあるかもしれませんが)
洋画は全く聞き取れませんし、日常英会話も超たどたどしいです、いまだに。

ただそんなことわかり切っていたわけで。
英検1級を印籠のように振りかざし爆速スピーキン…なんてことはなく、日々コツコツ語彙力を磨き、リスニングに四苦八苦し、言葉が口をついて出てこない経験を積み重ねながら、ちょっとずつ成長していくだけです。

手にしてみると、なんの実体もない英検1級という肩書き。
合格しておいておこがましいのですが、正直、「これのために必死になっていた自分ちょっと馬鹿らしい」とすら思っています。

要するに、英検1級って別にゴールにはなり得ないんです。
英検1級を取った人が見る景色は、「語学の道に終わりはない」という、新たなスタート。

そして、この景色っておそらく、もし大学時代に英語圏に海外旅行にでも行っていれば味わえた景色なんじゃないかなと。
「たくさん頑張っても、まだまだ道のりは終わらない」という景色を見るのが目的だとするならば、英検1級を取ることも、ふらり若いうちに海外に出て言葉が通じない経験をすることも変わらないわけです。

だったら、早くにそれを味わえる手段をとったほうがいいに決まっている。

というわけで、いまもし海外経験と資格取得を天秤にかけている人がいるならば、「資格なんてどうでもいいから一回外の世界に出て目を回してみた方が良い」とアドバイスをしたいです。
まだ若いみなさんに、そして、10年前の自分に。

・・・

とはいえ、気軽にふらっと海外、という雰囲気ではないのもまた事実でして。
せめて大手を振って旅行に行けるようになるまでの間、次なる目標を設定せねば、という気持ちになっています。

当面は通訳案内士の取得を目指そうかなと考え、学習を開始しました。
英検1級があれば(TOEICでもOKだけど)英語科目は免除になりますし、他の必要知識も「日本史」「日本地理」といった興味のある分野ばかりです。

それから950のまま放置しているTOEIC L&Rも満点に乗せておきたいところですが、これはコツコツ英語力を上げていけばいつか取れそうなので、通訳案内士試験が一段落してから考えることにします。

あとは社会人1年目でちょっとかじってすぐ挫折した気象予報士の勉強なんかも、ちまちま再開したいです。
時折お天気お姉さんが「空を見るのが好きなので気象予報を目指しました」なんてさらっと言ってのけたりしていますが、文系のわたしからすると意味がわかりません。俺だって空見るの好きだぞ…?空を見ていたら物理化学に強くなるのか…?


(ついでに)8月の生活目標

7月は仕事がちょこっと忙しかったり、それこそ面接対策の勉強をしたりで、生活リズムが不規則になりがちでした。
あと、眠いとついカフェインに頼ってしまう。コーヒー飲むとお腹壊すくせに、です。

というわけで、8月は
・規則正しく早寝早起き
・脱カフェイン
に挑戦します。がんばるぞー。

7000文字越えてしまった…。
もしここまで読んでくださった方がいるのだとしたら、本当に本当にお付き合いありがとうございます。

おわり。

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