見出し画像

新任VPoEとCEOが語る、SmartHRの開発組織の今とこれから

SmartHRの新任VPoEに齋藤 諒一(さいとう りょういち)が就任します(技術統括本部長(VP of Engineering)選任のお知らせ
CEO芹澤と、齋藤に、SmartHRの開発組織の今とこれから、そして私達にとって「技術」とはなんなのか、について語っていただきました。

芹澤 雅人(Masato Serizawa)代表取締役CEO
2016年、SmartHR入社。2017年にVPoEに就任、開発業務のほか、エンジニアチームのビルディングとマネジメントを担当する。2019年以降、CTOとしてプロダクト開発・運用に関わるチーム全体の最適化やビジネスサイドとの要望調整も担う。2020年取締役に就任。その後、D&I推進管掌役員を兼任し、ポリシーの制定や委員会組成、研修等を通じSmartHRにおけるD&Iの推進に尽力する。2022年1月より現職。

齋藤 諒一(Ryoichi Saito)
2021年7月入社。新卒でSierに入社し、写真の開発ツール開発やマネジメントに関わる仕事に従事。その後、ライブ配信アプリを展開する事業会社にて、開発やマネジメント職を担う。SmartHRに入社後は、新規事業を担当し、基盤開発事業を牽引。2025年1月よりVPoEに就任予定。


これからはエンジニアにもビジネス的視点を持って「手触り感」を得てほしい

芹澤:現在SmartHRでは「マルチプロダクト」を標榜し、プロダクトの数をどんどん増やしています。
プロダクトが増えてくると、より効率的な開発のための共通基盤への投資が増えたり、どのプロダクトでも均一なユーザー体験を担保するためのガイドラインへの投資が増えたりします。そして、これらが巡り巡って競争優位性に繋がっていくと考えています。

一つひとつのアプリケーションは、いずれもフォーム入力をベースとしたシンプルなウェブアプリケーションですが、SmartHRのプロダクト開発の難しさは、まさにこの、マルチプロダクト戦略下に置けるさらなるユーザー体験の向上や開発効率性の向上にあります。

モノを作りつつ、並行してこれらの領域に投資することは想像以上に難しく、強固な組織の横連携や1人1人の事業戦略の解像度の高さの上に成り立つものであると考えています。

窓の前で語るSmartHRのCEO芹澤氏の画像

現在は職務として役割が細分化されていて、例えばインターフェースデザインであればプロダクトデザイナーが役割の中心となります。ただエンジニアにも、共通基盤による開発効率の向上やユーザー体験の向上がビジネスにどう貢献するのかを考え、網羅的な視点で積極的に仕事をしてほしいと考えています。

元CTOで、現在は経営に携わる僕の想いとして、エンジニアにもこの手触り感を得てほしいのです。
組織が成長し規模が大きくなっていくと、自分がプロダクトの成長に関わっている実感が薄れがちになります。
ビジネスの本質を意識して仕事をすることで、その感覚を持って成長していってほしいと思っています。

技術だけでなく、ビジネス感覚に優れた齋藤さんへの大きな信頼感

芹澤:2021年に齋藤さんが入社してから1年ほど、僕の直下で一緒にプラットフォーム事業を推進していました。
そこから、前任の森住さんのチームに異動して今に至りますが、齋藤さんは、根幹の事業である労務やタレマネのプロダクトではなく、縁の下から全体を支えるような仕事をしていただいていたので、SmartHRの中では異色の経歴ですね。

そんな齋藤さんにVPoEを担っていただくにあたって、期待していることが2つあります。

一つは、先ほどお話ししたように、ビジネスの手触り感が薄くなっているかもしれない、というところに面白さを打ち出していってほしい、ということ。

もうひとつは、労務とタレマネのプロダクトを経験していないからこそ気がつくことがあると思っているので、これまでの型を破る発想で、改善していってほしいと考えています。

一緒にプラットフォーム事業に取り組んでいたときに、齋藤さんの既存のプロダクトの理解の速さに驚きました。こちらから何も言わなくても、SmartHR本体をスピーディーに理解し、ビジネスと紐づけて思考をしながら、スピーディーに実装していく。
そして、SmartHRではサードパーティのお客様とのミーティングや交渉も多いんですが、そういった場面でもビジネス感覚に優れた齋藤さんならではの的確な対応には大きな信頼感がありました。

そんな齋藤さんだからこそできるアプローチで、開発組織に新しい風を吹かせていただければと思っています。

オフィスを背景に語るSmartHRのCEO芹澤氏の画像

よく勘違いをされるケースがあるんですが、僕が元CTOの経験を持つCEOである、ということで「芹澤が開発組織を牛耳っていて、VPoEに実権はないのでは?」といわれることがあります。
でも、僕自身はCEOになってから新規事業の開発周りは直接見ているものの、プロダクトサイドにあれこれ口を出すことはあまりないんですよね。

プロダクトサイドに関しては、CPOの安達さんにお任せしています。
安達さんは「何を作るのか」に関して責任をもち、VPoEの齋藤さんは「どう作るのか」に責任を持つ。そういう役割の違いがあるので、誰かひとりが実権を握って動かしているという組織ではないんです。

VPoEの主な役割として「スピーディーで質の高い開発を推進すること」がありますが、これからは、エンジニアが実装だけでなくプロダクトデザインやビジネスの領域にも視野を広げて、できることを増やしていく組織作りを期待しています。

弊社のプロダクトデザインやQAのチームがよく「自分たちのゴールは、エンジニアが自分でデザインや品質保証ができるように環境を整えて、解散することである」と言っていましたが、まさにそこを現実にしていく感じです。

技術の先にビジネスがあり、ユーザーにどう価値を届けるかを考えつづけてきた

齋藤:もともと、自分は技術一本でずっと働くイメージは持っていませんでした。技術は手段だと考えていた、というか、技術の先にビジネスがあって、それによってユーザーにどうやって価値を届けていくことができるのかが重要だと思っていたからなんです。

なのでSmartHRに入社したときも、プラットフォーム事業開発の一人目として入社しましたが、プログラムだけ書いていればいいわけではないというのはわかっていました。
さすがにVPoEになることまでは想定していませんでしたが、いずれマネジメントの方向に行ければいいな、という思いはありましたね。

オフィスを背景に語るVPoE齋藤氏の画像

エンジニアの中には、ビジネスのことは誰かほかの人が決めてくれたらいい、という人もいます。
でも、今SmartHRがマルチプロダクト化を目指すなかで、プロダクトが増えていった先にどんな価値が生まれるのか、は、全員が考えなくてはならないと思っているんです。そういうユーザー目線で考えることができるエンジニアを意識して採用してきました。

僕がエンジニアという職種ではありながらも、ビジネスのことを考えるようになっていったのは、もともと受託の仕事をしていた経験が大きいと思っています。

受託で開発を請け負う場合、事業会社のようにプロダクトの売上が発生するわけではありません。開発の契約を結んで、それが自社の売上になります。
なので、自分が作るもののクオリティや提供価値を売上につなげることができたら、もっと仕事が面白くなるんではないか、と考えて、事業会社に転職しました。

転職先の会社で携わることになったのは、toC向けのエンタメアプリの開発でした。やりがいは感じつつも、エンタメアプリの場合、売上になるのは、そのアプリ内で使われる通貨(アプリ内コインのようなもの)なので、そのアプリ自体の機能が価値を生むわけではありません。
機能自体が価値を生むプロダクト、というのは事業会社であれば必ずそうだというわけではないんですよね。

その後SmartHRに入社したときに初めて、プロダクトそのものの価値が売上になる、機能が買われる、という実感を持つことができました。
自分が開発したものの価値を感じたい、という思いを突き詰めてきたのが、僕がエンジニアとしてビジネスを考えている理由ですね。

開発のスピードを上げていくために、ゼロイチへの挑戦を後押しする環境を作っていきたい

齋藤:今はプラットフォーム事業とプロダクト基盤、そして新規事業の管掌をしていますが、この1年ほどずっと、いかに組織をより強く大きくしていくか、について考え続けてきました。
なので、VPoEの打診をいただいたときは、まだまだやることがあるんだけどな……というのが本音としてはありました。

でも極論を言ってしまうと、プラットフォーム事業の管掌は誰かにお任せすることもできるので、僕自身は共通基盤を活かして、もっとプロダクトを増やすことを考えていけたらいいな、と思ったんです。
これまでは共通基盤について考えてきましたが、これからはVPoEとして、プロダクトを増やすスピードを上げるにはどうしたらいいか、ということを考えていきたいですし、プロダクトが増えることで全体の使いやすさが低下するのではなく、プロダクトが増えるからこそ使いやすくなる世界を実現する体制を作っていかなければならないと思っています。

それを実現するためには、ゼロイチのチャレンジが必要なので、そこに勇気を持ってトライできる人を増やしていくことも重要ですね。

もともとSmartHRの初期のころのプロダクトエンジニアは、そういうゼロイチが好きな人が集まっていたと思いますが、プロダクトや会社のフェーズが変わり、今あるものを拡張していくことを得意とする人のほうが多くなっていきたのでは、と感じています。

そのため、改めてゼロイチが得意な方を採用したり、拡張を得意とする人たちが新しいことにチャレンジしていくことを後押ししていく文化を生み出していったりと、今だからこそゼロイチに向き合える人を増やしていくことも大切だと思います。

SmartHRのロゴオブジェを背景に語るVPoE齋藤氏の画像

ゼロイチを皆に経験してもらうためには、3人ほどの小さなチームで新規のプロダクトの立ち上げをするのがベストではないか、と考えています。
その3人の中にひとりゼロイチで何かを作りあげた経験を持った人がいれば、リリースまでに至る過程の中で、学ぶ機会が生まれるからです。
プロダクトはどんどん増やしていく予定なので、エンジニアメンバーたちには、その機会に飛び込む勇気を持ってほしいですし、それを後押しできるマネジメントレイヤーを育てていくことも、両軸で進めていきたいと思います。

とはいえ、みんな今自分が抱えている仕事が多いので、新規事業やりたい人はいますか、と問うても、すごくたくさん手が上がるわけではありません。そこに挑戦はしたいけれど、受け持っている仕事をどうしよう、となったときに、すぐに人を配置してフォローアップできるわけではないからです。
それが変わっていくと挑戦しやすい環境になっていくと思うので、組織としてそこに取り組むことも必要だと考えています。

連携の意識を持つこと。技術者として背中を見せていくこと

齋藤:VPoEになるにあたり、この規模の開発組織を自分一人で管掌することはとても無理があるので、チーフやマネージャー、ダイレクターに適切に権限委譲して仕事を任せていきつつ、自分がやるべきこと向き合おうと考えています。
ただ、僕自身がメンバーひとり一人と距離を取らないようにしたい、という思いもあります。
既存のメンバーとはもちろん、新しく入社した人とは顔を合わせて話しがしたいですし、それぞれが何を考えているかはちゃんと把握しておきたい。

その上でVPoEとして、プロダクトエンジニアが、PMやデザイナーが描いた世界観をどう実現し、マルチプロダクト戦略をどう進めていくか、ビジネス的な価値をどう生み出していくか、を考えるための横の連携をうまく機能するようリードしていきたいですね。もともと横断的な連携基盤を管掌していたので、その経験を活かした組織運営ができればと思います。

今はまだ、自分が担当しているプロダクト単体をどう作るか、というところから、どう連携していくか、に向き合える組織にはなりきれていないと感じています。
でも、SmartHRのプロダクトは、ユーザーから見ると全てが繋がっているので、連携の意識を持つことはとても大切です。

芹澤さんから僕に期待していることは何かありますか?

SmartHRのCEO芹澤氏と談笑するVPoE齋藤氏の画像

芹澤:そうですね。最近は権限移譲ブームがあると思うんですが、それはそれで正しいと思いつつ、齋藤さんにはプロダクトに関するオーナーシップとこだわりは持ち続けていてほしいという気持ちもあります。
これまでは共通基盤の領域で活躍いただいていましたが、労務やタレマネといったSmartHRの根幹であるプロダクトでも、実際に手を動かしてみて「このプロダクトを取りまとめているのは俺なんだ」という強い気持ちは持っていてほしい、と思っています。

齋藤さんは、プレイヤーとしても優秀な方だからこそ、VPoEになってからもその実力をみんなに見せながら、プレイヤーとしてもマネージャーとしてもロールモデルになっていってほしいんです。
僕が考える強いVPoEは、マネジメントの側面だけでなく、やはりものづくりに対するこだわりを持った人だと思っているので。

技術への関わりが薄れてしまうと、自分が責任を持っているプロダクトだ、という意識が薄れてしまい、だんだんつまらなくなっていってしまう気がするんです。僕たちSmartHRはものづくりの会社だと思っているので、その手触り感は大事にしてほしいですし、事業会社だからこそ、オーナーシップ感を持てると思うので、それを大切にしてほしいですね。

齋藤:そのマインドは胸に刻んでおきます。

これからSmartHRに入社するエンジニアの皆さんへ

齋藤:先日バリューが刷新されて「人が欲しいものを作ろう」から「人が欲しいものを超えよう」になりましたよね。これは結構重要なポイントだと考えています。

iPhoneが初めて世に出たとき、「タッチパネルなんて必要?」という声があったけれど、今ではそれが当たり前になっていますよね。そこから感じるのは、課題ベースだけで考えていると、それに向き合いすぎるあまり、全体が最適化されていない、ということ。

課題を抽象的に捉え、広い目線で向き合える人が入社してくださると嬉しいです。同時に、まだ組織もこれから成長していくポイントがたくさんあるので、それを牽引していきたい方や、成長期にあるSmartHRでゼロイチをやってみたい方に、面白い環境を提供していけたら、と思います。

芹澤:開発メンバーは、全方位的に色々な方を求めていますが、SaaSの企業におけるエンジニアリングは、突き詰めるとマネジメントであり、経営になっていくのではと思います。そういうキャリアパスを歩む人を増やしていけたら幸いです。

SaaSはファイナンスやビジネスももちろん重要ですが、いかに全社でアジャイルにプロダクトを作って行けるか、も非常に大切です。
開発がわかる人が経営層にいることが強みになるんです。
齋藤さんが、そういうキャリアのロールモデルになってくださると嬉しいですね。

今後、コードを書く仕事をAIが担うようになっていくと、人間はもっと上段の思考をして仕事をする必要があります。技術を前提として、人をどう束ねていくか、どうやってビジネスを成功させるのか、といったことにチャレンジしたい方はどんどん来て欲しいと思っています。

SmartHRはプロダクトによって事業を伸ばしてきた会社なので、その強みをないがしろにせず、これからも成長していきたいです。


齋藤さんのこれまでのキャリアや経験、意気込みに迫る記事も公開しています。

SmartHRに興味を持っていただけましたら、ぜひ採用サイトもご参照ください。さまざまなポジションをオープンしています。

応募を検討する前に「まずは業務の詳細を聞きたい」「会社の雰囲気をもっと知りたい」という方は、カジュアル面談をご活用ください。