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世の中で1番難しいこと

 大学2年の頃、つまり私がハタチになりたての頃。わたしは寮のある先輩に連れられて2人きりで近くの焼肉屋のランチに行った。その先輩は東大のテニスサークルの幹事長でスポーツ万能、イケメンで性格も良しとこの世の男たちが誰もが羨みそうな要素を兼ね備えた人だった。いつもサークルやインターンに出かけているので寮内で顔を合わせる機会は少ないのだが、たまに寮の食堂で会うと僕らのことを気にかけてくださる本当に良い先輩だった。

 焼肉屋に連れて行っていただいたのは私が寮内のイベントで頑張ったことへのご褒美のようなものだったと記憶している。昔ながらの味があるお店で学生街ということもあって、安いメニューも多いが味はよく私も非常にお気に入りのお店だった。

 普段、ゆっくりと話す機会もないので私はその憧れの先輩を質問攻めにした。その中で群を抜いて印象に残っているのが「世の中で1番難しいこと」という質問だ。先輩の答えは至ってシンプルに「継続すること」と答えた。想像するにこれまで並々ならぬ努力をされてきたであろうその人の言葉には強い説得力があったが、私には少し意外に思えた。「この人なら当たり前にできるのでは?」と。しかし、そんなこともないらしい。でもその難しさは当時のわたしが1番感じていた。英語、筋トレ、ランニング、読書、資格の勉強など何をやっても長く続かない。でも、これがもしできるようになれば、この憧れの先輩に近づけるのでは?そんな気持ちになった。

 それから何かを継続するコツを周りに聞いたり、ネットで調べたりした。正直あまりピンとくるものはなかったが、2つだけ身になるものがあった。

 1つはすごく簡単なことをまずは習慣化すること。もう1つは完璧を目指すのではなく、途絶えたあとにすぐリカバリーをすることだ。簡単なことを最初に習慣化するメリットは、1日のリズムが生まれることだと思う。習慣化されたものがないと、寝る時間も起きる時間もバラバラだし「基準」が生まれない。「10分だけ英語を聞く」でも良い。とりあえず毎日続けるのがコツだと思う。私の場合は「起きたら日記を書く」ことを始めた。もう1年半近くなるが今では書かずに寝ると気持ちが悪い。しかし、もちろん人間だから忘れる日もある。そんな時にリカバリーできるようにする。偉そうに書いたが私の日記も2週間くらい書かなかったりする。そんな時は2週間分をまとめて書く時間を作ってそこからリカバリーする。それで良い。

「世の中で1番難しいこと」は乗り越えられる。

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