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大学入試センター、赤字で何が悪いの?

今回は、大学入試センターについて。
日経ビジネスに以下のような記事がでています。
本シリーズ全体は示唆に富む内容が多く、この業界に属する者として勉強になったと感じています。
最後に大学入試センターの将来について触れられています。

この記事を読むと、大学入試センター自体が、赤字になることへの危機感を持っていることがわかります。

まずここから違和感が大きいです。

そもそも大学入試センターの運営のための経費は恐らく概ね一定のはずです。つまり、支出がほぼ一定である状況で、赤字になるのは、収入が減っているからです。

それは少子化が最大の要因とわかっています。ならば赤字になるのは、必然とも言えます。

大学入試センターのテスト(センター試験、共通テスト)の当日の運営は、大学の先生たちが業務内で行われている(つまり、大学からもらう給料の範囲でやっている)と聞いたことがあります。

そこから推察すると、作問を担当される大学の先生たちが高待遇で仕事をされているとは思えません。

多くの大学の先生たちの見えない努力によって支出が抑えられているのだと私は理解しています。

そんな状況下で「赤字は問題」という発想はどういうことなのでしょうか。

流石に民営化しろという無茶苦茶な議論は出ていないようですが、赤字にならない程度の補填を国が行って何の問題もないように私は思います。

良質な問題を解くことで若者が得られるメリットはとても大きいと思うからです。アカデミックの世界に耐えられる基礎学力の鍛錬は、簡単に身につくものではありません。

AO入試で学ぶ意欲を測ることはそれなりに意味があるかと思いますが、意欲があれば、ちゃんと勉強できるのかどうかは別の議論です。

1日10時間机に向かって勉強ができるという力は、鍛錬という観点でしかつかないものだと思います。

そんな受験勉強を通じて基礎学力の一端を大学入試センターの作成する問題によって身に着けるという点では、大学入試センターの果たす役割は、単年度の収支で換算できない財産だと思います。

そもそもどうして、こうも短期的な視点で赤字だ、黒字だというようになったのでしょうか?

一番の大きな違和感はそこにあります。

未来のある若者に社会が投資して損があるのでしょうか。もう少し若者に寄り添っても罰はあたらないと思います。




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