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悩ましい塾の立地。経営と安全の両立の難しさ【福岡市の事故から思うこと】

12月6日、福岡市早良区で事故があり、軽乗用車が塾に突っ込むという出来事が起きました。

この事故の報道を受け、塾の立地の難しさを改めて実感しています。

都市部の塾の場合、自社で建物を保有しているのは稀で、ほとんどがテナントに入ることで商売をしています。

その場合、テナントをどこに借りるかは、塾の命運を握っています。コンビニや飲食店同様に場所は極めて重要な要素です。

また、塾の場合、中高生の結構な割合が自転車でやってきますので、駐輪スペースを確保できるかも重要な要素になります。

さらにテナントのオーナーさんによっては、不特定多数の人の出入りを嫌う場合があり、塾などの教育ビジネスには貸さないということもあります。

出店する場所(エリア)を決めたとして、テナントの何階を借りるかはとても大きい要素です。ズバリ言うと、1階を借りるか、2階を借りるかになると思っています。

駅近の利便性のいいビルであっても、3階以上の場合、小規模塾は極めて厳しい。存在を知られないというデメリットは図りしれないからです。

ビジネスとして、メリットが大きいのは他の業種同様に1階です。今回、不運にも事故に巻き込まれた「個別指導のトライ」は、1階に出店する場合が多い塾です。

というか、全国または広範囲に多店舗展開する個別指導塾の場合、出店の基本は1階のようです。

1階に出店する場合、何といっても存在を知られやすいというメリットがあります。これを広告的価値に換算すれば、比較的高いテナント料も十分ペイできるという判断なのでしょう。

現在の塾ビジネスの場合、
塾の存在を確認→ホームページで情報収集→体験授業(+面談)→入塾
というパターンが大半なので、まず存在を知られることがとても重要です。

ただ、1階に出店する場合、テナント料が高いというデメリットのほかに、案外見逃せないデメリットがあります。

それが安全の問題と教育の効果です。

お近くに個別指導の塾がある場合、注意して見ていただくとわかりますが、構造上外から生徒たちが勉強している様子が見えにくくなっている場合が大半です。

これは、恐らく少なくとも理由が3つほどあって、
・不審者などから視認されないための防犯上のため
・生徒に外の存在を意識させないことで集中を上げるため
・生徒が塾に通っていることを知られないようにするため
があると見ています。

3番目の理由は割と気にする生徒がいて、これまでも塾の卒業生だけでなく、保護者も通っていることを秘密にしていたという例は多いです。生徒間、保護者間の駆け引きもあるのだろうと理解しています。

塾の立地はいろんな要素で成り立っていることが多く、長く塾講師をしていると、立地で失敗している塾は結構多いと感じます。

こんなところに塾を開いても厳しいのに・・・と思う塾はやはり1年以内に撤退しています。

今回のような事故は例外中の例外でしょうが、それでも塾の立地は難しいものだと実感しています。



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