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どの沼にはまりつつある、どこまで対策すればいいのか問題【共通テスト化学】

通常運転になり、再び質問に追われる毎日が戻ってきました。この時期は、共通テスト対策の教材からの質問も多くもらいます。どこの学校も、どこかしらの出版社や予備校などの教育関連業者がつくった教材で対策(勉強)をしています。

各社、いろんな対策問題、予想問題をつくっていますが、化学に関して思うのは、範囲の広がり、内容の深まりです。

先日受けた質問は、HClO(次亜塩素酸)の酸素の酸化数がいくつか?という質問でした。

これは成績上位者「だから」気になる内容です(現に、質問してくれた生徒はとてもよくできる方です)。

学校では、酸化数に対して、水素原子(H)であれば+1、酸素原子(O)であればー2と習います。

ただ、これは非常に安定している物質を基準にとれば、大体の酸化数がわかるという簡便的なものなのですが、これが成績上位者になると、「絶対でないことを知っている」がゆえに酸素の酸化数に疑問をもつという、「上位者あるある」の質問となるのです。

結論から言えば、酸素の酸化数はー2です。もちろん水素は+1。
実は次亜塩素酸(HClO)の場合、塩素の酸化数が+1なのです。

塩素は酸化数が変動幅が大きい物質です。
塩化水素(HCl)でー1
塩素分子(Cl2)で0
となり、
次亜塩素酸(HClO)で+1
塩素酸(HClO3)で+5
となります。

質問はメールできたこともあり、このあとの問題の展開がよくわからないのですが、おそらく次亜塩素酸の性質に絡んでの出題だったのでしょう。レイアウト的に共通テスト対策問題からの質問だったのだと見ています。

次亜塩素酸が狙われやすいのは、
・オキソ酸であること
・酸化力が塩素のオキソ酸のなかで、もっとも強いこと。
・次亜塩素酸が電離してできる次亜塩素酸イオンがさらし粉の反応式に絡むこと
などの性質があり、問題を作りやすいのでしょう。

このような質問を受けると、共通テスト化学の対策は、「広く、深く」やらないといけない方向になっているなと感じます。今回の質問はネタとしては、2次レベルという感覚ですが、これは講師側が自己修正しないといけないのでしょう。センター化学は、本当に遠い昔だと感じます。

ただ、共通テスト化学でしか問えない問題って何なのかという点を考えると、2次との差別化がだんだん曖昧になっており、共通テスト化学は、どこまで対策すべきなのか、本当に見えなくなっている感じがあります。だから、ネタとして2次レベルから引っ張ってきて作問しているのでしょう。

これからは、化学はピーキングのマネジメントも問われるのかなと思っています。


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