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私も84円で全国行きたい

昨今の状況から、唯一趣味だと言える旅行が全然できていない。

私にとって旅行は現実逃避の手段なのに。半年以上頭を掴まれて現実を見せつけられていた。おかげでnoteで見せびらかす写真がなかった。

会いたい人にもなかなか会えない。

遠距離恋愛中の恋人はおろか、仕事がテレワーク可となったために同期とも会う頻度は減った。友達とご飯に行くのは「状況が落ち着いたら」。

LINEで「いつかここ行こうね」「いつかご飯行こうね」と送る。

いつかっていつ来るんだろうね。

やりたいことと約束ばかり増えていく。


***


いわゆる「紙モノ」が好きで、旅行先では毎度お土産にポストカードを買う。かさばらないし、保存性に優れているのでお土産として完璧だと思っている。

けれども、ポストカードは本来買った本人とは別の相手が持つもの。
手紙もポストカードも送る相手がいてこそ。

でも私の手元の子は誰かのもとへ旅をすることはない。
「かわいい子には旅をさせよ」と言うけど、かわいいから手放したくない。ずっと私のもとにいなさい。

ただ、おととしオーストラリアのメルボルンを旅行したときにはポストカードを2通出した。

片方は自分の家へ私のお土産用に。
差出人も宛先も自分だと怪しまれるだろうかと悩んだ結果、母宛に出した。
だって自分宛てに手紙出す人ってこわくない?

もう1通は恋人に、家に送ったものと同じブライトンビーチのデザインを。

手紙など後に残るものを彼に送ったことはなかった。
そのため初めて手書きのメッセージを書いたのだが、一緒に旅行していた妹に見られるのが恥ずかしくてテンプレの極みみたいな内容になった。
あとすごく字が汚かった。硬筆五段なんだけど。


恋人は届いたポストカードを部屋に飾ってくれていた。オーストラリアから約7000キロくらいか? ここまでよく無事に届いたなと感心した。

手紙やポストカードは切手代が要るし、送ったらすぐ届くような即時性もない。メルボルンから彼にはLINEでも写真を送っていたし、書いたのも大したメッセージじゃなかった。

ただ、形としてあることは、それだけで意味を成すことがあると思う。
証券会社の新入社員もメールじゃなくて果たし状みたいな手紙送るらしいしね。違うか。


***

 
春。なにかと意識が高くなりがちな季節。

大学生は講義選択で必要単位数以上に選択しがち。
どうせ5月に入った頃に「どうしてこの授業取ったんだ」て言い出す。

社会人は「よし、今年度は資格を取る」って意気込むのに、日々の疲れでそんな決意は無かったことになる。

私のことなんだけど。

毎年のごとく、いつもと違うことがしたくなっている。

そこで、先日付き合って4年を迎えた彼へ、久しぶりに手紙を出してみようかと思う。


4年間一緒にいてくれた彼。
国内も海外もいろんな場所を一緒に旅した。

日帰りで熱海に行ったのが初めての旅行だった。
帰りに熱を出して電車で寝てごめん。
卒業旅行のドイツで、地図を読み間違えてベルリン駅からティーアガルテンまで大きなスーツケースを引きながら1時間近く歩かせたのも未だに申し訳ないと思ってる。空港のバス停に置き去りにされそうになったことも。

思い返すと色々かわいそうなことをしているな。
でも一度も怒られたことがない。多分、彼の半分は優しさでできてる。



5年目に入った彼に、これから一緒にやりたいこと、行きたい場所の約束を取り付けておこう。約束は書面でしておかないとな。

ハワイでクジラが見たいし、イタリアのレモン畑にも行きたい。
スウェーデンの森の中で湖を見ながら朝のコーヒーも飲みたい。
やらずにこの世を去るわけにいかない。これから何年でもかけて一緒に行こう。

いつになるかはまだわからないけど。

最近は、やりたいことと約束がたくさんあるというのは悪いことではないのかもしれないと思えるようになってきた。
生きるための理由は多い方がいい。

もしもサポートをいただけたら、旅先でのポストカード購入に使わせていただきます。