忘れられない本
その本は、1994年2月が初版だった。
つい先程本棚から引っ張り出して確認。そうか、もうそんなに経つのか。ギリギリ高校生だったかな。今はもう存在しない本屋のカバーがかかっている。その色合いや染みも、時間の流れを感じさせてくれた。
その本は『大統領のクリスマスツリー』。著者は、鷺沢萠さん。「萌」ではなく「萠」。メグムさん。
鷺沢さんは、あるエッセイの中でこの字にとても拘っていたように記憶している。
-これがね、大統領のクリスマス·ツリー ······。
この言葉から始まる物語は男女の出会いから別れの物語。簡単に言ってしまえばそれだけの話。
けれど何故か私には、この二人の過ごした時間がとても身近なものに思えた。そして、一気に読み終えたのを覚えている。
主人公の感情、自分に起きる事柄にどう反応するか?何をそこから感じるか?
細かい描写でその光景を自分も見ているような、まるで自分が主人公の「香子」のように思える文章だった。似ているのだ、私の感情と。だからこそ私は2度と読み切ることが出来なくなったと思う。この本を開いたのは10年以上前で、今読もうとしても光景が頭の中に広がって進まない。
好きすぎて読めない本。
亡くなってからもう15年位になると今気づいた。吃驚。更に、元夫さんが俳優の利重剛さんと知りこれも吃驚。
鷺沢さんの作品を、本を、言葉を、もっとたくさん知りたかったなぁ。本屋ではもう名前を見なくなって久しいけれど、これ読んでくださった皆様、もし機会と興味があれば是非読んで欲しい作家さんの1人です。エッセイもあってとても面白い!
拙い言葉でしたがここまで読んでくださりありがとうございますヽ(゚∀゚)ノ
久し振りに鷺沢さんの他の本を読み返そうかな。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?