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007シリーズのオープニング全部観る②

Ian Fleming's James Bond / 007


 007シリーズの第25作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」の公開を記念して、これまでのシリーズのオープニングタイトルを全部観る記事の第2弾です。

 今回は三代目ジェームズ・ボンド:ロジャー・ムーア版と、四代目:ティモシー・ダルトン版をまとめています。

※ イーオン・プロダクションズ作品のみを扱っています。



■ □ ■ ロジャー・ムーア ■ □ ■

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 イーオン・プロ作品では、最も多い7作でボンドを演じています。
 私が007シリーズを知った頃、実際にボンド役を務めていたのがロジャー・ムーアでした。そういう意味では、自分にとってリアルタイムのジェームズ・ボンドなのです。
 ムーアの007シリーズのイメージは、アクション、秘密兵器、ボンドガールとのロマンス、端々に見られるユーモア等々、良くも悪くも ”娯楽大作” という感じだったのです。



第8作「007 死ぬのは奴らだ」1973

 監督: ガイ・ハミルトン
 主題歌:ポール・マッカートニー&ウイングス

 炎と髑髏のイメージが鮮烈なオープニングタイトルは印象的です!
 ポール・マッカートニーの主題歌も、いつもの主題歌とは違ってロックしてて、アクション映画って感じですよね。
 ムーア版の第1作ということで、雰囲気を変えてきたのでしょうね。

キャプチャ

 ムーア・ボンドでは、秘密兵器が楽しいんですが、この映画に出てきた腕時計(ROLEXのサブマリーナ)は、ノコギリになってロープを切ったり、強力磁石が内蔵されてたりして、カッコ良かったんですよね。
 ムーア・ボンドが強力磁石を使って、女性のドレスのファスナーを下ろしていくシーンを見て、子どもながらに”そういう使い方もあるのか!”と感心したのを憶えてますねww。



第9作「007黄金銃を持つ男」1974

 監督:ガイ・ハミルトン
 主題歌:ルル

 この水面に揺れる映像とルルが歌う主題歌が印象的なオープニングタイトルです。この水面のイメージは、意外とアナログな手法で撮られてると思うんですよね。
 女性たちは完全なシルエットではないので、多分、シリーズ中、もっともギリギリでエロティックなオープニングじゃないかと思っています。
 主題歌は、これぞ ”007!”って感じですが、それだけに、前作のポール・マッカートニーがいかに特別だったのかを際立たせるのです。

 映画の方は、もう、敵役のスカラマンガが印象的過ぎでした。

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 ドラキュラで有名なクリストファー・リー演じる殺し屋スカラマンガは、ムーア・ボンド以上に暗殺者っぽくて存在感ありまくりだったのです。
 万年筆やライター、シガレットケースを組み合わせると出来上がる ”黄金銃” や、車に翼をつけて飛んでいっちゃうなど、007以上に秘密兵器好きなんですよね、この方...



第10作「007私を愛したスパイ」1977

 監督:ルイス・ギルバート
 主題歌:カーリー・サイモン「Nobody Does It Better」

 スキーチェイスから、ユニオンジャックのパラシュートが開く冒頭のシーンからつながるように始まるオープニングタイトルが素晴らしい。
 体操っぽく躍動する女性のシルエットとの合成映像なんですが、ムーアのシルエットも女性に絡んでいくんですよね。
 この007シリーズのオープニングタイトルは、「サンダーボール作戦」以降、モーリス・ビンダーというタイトル・デザイナーの方が担当してるのですが、この「私を愛したスパイ」でイメージが完成された感じがあって、その後のシリーズの中で踏襲されていくことになります。

 映画の方は、記念すべき10作目という事もあって、もうてんこ盛りだったんですよね。

 ボンドカーは潜水艦になっちゃうし

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 敵の殺し屋だったジョーズも大人気となりました。

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 リアル路線からはどんどん離れていきましたが、超娯楽大作として完成されていったのが、この頃の007シリーズなのです。



第11作「007ムーンレイカー」1979

 監督:ルイス・ギルバート
 主題歌:シャーリー・バッシー

 大作路線を踏襲するシリーズの舞台はついに宇宙へ!みたいな感じだった本作です。
 オープニングタイトルの映像的に新しさはありませんが、なんと、「ゴールドフィンガー」「ダイヤモンドは永遠に」に続き、3度目となるシャーリー・バッシーの主題歌が素敵なのです。



第12作「007ユア・アイズ・オンリー」1981

 監督:ジョン・グレン
 主題歌:シーナ・イーストン

 イメージはこれまで通りなんですが、主題歌を歌ってるシーナ・イーストン本人が出てることが話題になったオープニングタイトルでした。(こんなことは、後にも先にもこの作品だけです。)見ようによっては、シーナ・イーストンのPVに見えなくもないですね。

 実は、この「ユア・アイズ・オンリー」は、自分が初めて映画館で観た007シリーズなんで、ちょっと思い出深いんですよね。
 「私を愛したスパイ」「ムーンレイカー」と、娯楽大作路線が続いたので、本来のアクション主体の路線に戻そうとして、とにかくアクションが連続するのです。
 特に、終盤のロッククライミングのシーンは、ほんとに息が止まるほどの緊迫感だったのです。
 ムーア・ボンドの中で、もっとも好きな作品です。 



第13作「007オクトパシー」1983

 監督:ジョン・グレン
 主題歌:リタ・クーリッジ「All Time High」

 レーザー光線によるタイトルを女性の身体に投射する演出は、「ロシアより愛をこめて」や「ゴールドフィンガー」でも見られた手法ですが、こういう意外とアナログな工夫が好きなんです。
 映画としては、同年にショーン・コネリーの「ネバーセイ・ネバーアゲイン」も公開されたので、ちょっと地味な印象なのです。



第14作「007美しき獲物たち」1985

 監督:ジョン・グレン
 主題歌:デュラン・デュラン

 何と言ってもデュラン・デュランの主題歌が話題になりましたが、007の世界観にばっちりハマってますよね。
 映像的には、蛍光塗料を使った妖しく耽美的なイメージが、映画のタイトルや主題歌に相応しい感じでした。

+  +  +

 ムーア・ボンドはそのユーモアあふれる雰囲気で、明るい娯楽大作として、人気となりましたが、長く続いた分、後半作品は高齢化が目立つような感じで、”アクション”という部分では物足りないんですよね。
 そのため、趣向を凝らしたカーチェイスなんかが多かったような気がします。スタントアクションも多いのですが、特撮技術に粗いとこがあって、高校生になった自分には、ちょっとリアリティに乏しい印象だったのです。




■ □ ■ ティモシー・ダルトン ■ □ ■


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 ロジャー・ムーアから変わってボンド役を演じたティモシー・ダルトンは2作に出演しています。
 自分のイメージでは、ちょっとエレガントさのあるボンドなんで、ロジャー・ムーア以上に行儀のいい感じがしてました。


第15作「007 リビング・デイライツ」1987

 監督:ジョン・グレン
 主題歌:a-ha

 a-ha の曲は印象的ですが、オープニングタイトルについて、新味はない感じですね。
 ボンド役が変わったんで、思い切っていろいろ変えていけたと思うのですが、監督も継続してるし、良くも悪くも”いつもの”って感じなのです。
 あまり記憶に残っていないのですが、この作品からオープニングテーマとエンディングテーマが分けられるようになっています。ちなみにエンディングの方で使われたのは、プリテンダーズの「If There Was A Man」でした。
 どちらかと言うと、当初主題歌予定だったペット・ショップ・ボーイズの「This Must Be the Place I Waited Years to Leave」の方が印象的です。



第16作「007 消されたライセンス」1989

 監督:ジョン・グレン
 主題歌:グラディス・ナイト

 このオープニングタイトルも新味はない感じですね。
 でも、主題歌を担当しているグラディス・ナイトって方は、実力のあるR&Bシンガーの方です。
 ちなみにエンディングテーマの方は、 パティ・ラベルの「If You Asked Me To」です。

 安定はしてるのかもしれませんが、やはり、印象としてはマンネリに陥っていくんですよね。
 演出のメンバーも変わらないし、ティモシー・ダルトンという新味はあっても、ゆるやかに人気が降下していくことを止められなかったというのは、このオープニングタイトルからも窺えるんですよね。


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 ちょっと斜陽な雰囲気で終わっていくシリーズ記事の第2弾でしたが、次回はピアース・ブロスナン版とダニエル・クレイグ版をまとめていきます。



(シリーズ記事)


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