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吉川晃司さんが”吉川晃司”になっていく過程にあったもの...


 今では、俳優業の方が目立つ ”吉川晃司” さんですが、同世代の自分たちにとっては、独特のポジションにいる方なんですよね。


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 初めて観たのは映画『すかんぴんウォーク』で、これって『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の同時上映だったんですよね。
 自分的には『うる星やつら』の方がメインだったので、あんまり中身は憶えてないんですが、無名のアイドルを売り出すための映画って印象でした。

 ただ、この映画の主題歌『モニカ』はヒットしたんですよね~。
 巻き舌歌唱が独特だったこともあって、友だちの間で流行りました!


『モニカ』1984.2

 作詞: 三浦徳子/作曲:NOBODY/編曲:大村雅朗

 それまでの若手男性シンガーといえば、ジャニーズもしくはチェッカーズだったので、吉川晃司という人は、アイドルなのか俳優なのか、よくわからない存在だったのです。
 その後、『サヨナラは八月のララバイ』、『ラ・ヴィアンローズ』もヒットして、大手事務所がプッシュするアイドルって感じを軽くとらえていた自分や周りの友人たち間でも、少しずつ ”吉川晃司はかっこいい” という雰囲気が出てきたのです。


『サヨナラは八月のララバイ』1984.6

 作詞: 売野雅勇/作曲:NOBODY/編曲:大村雅朗



『ラ・ヴィアンローズ』1984.9

 作詞: 三浦徳子/作曲:大沢誉志幸/編曲:大村雅朗


 映画と『モニカ』が2月、1stアルバム「パラシュートが落ちた夏」が3月、『サヨナラは八月のララバイ』、『ラ・ヴィアンローズ』が収録された2ndアルバム「LA VIE EN ROSE」が9月、シングルの収録されていない3rdアルバム「INNOCENT SKY」が翌年の3月と、デビュー後の1年ちょっとの間に3枚ものアルバムを送り出して、独特のカッコいーシンガーとしてのポジションを獲得していったんですよね。


◎デビュー後の3枚のアルバム

「パラシュートが落ちた夏」1984.3


「LA VIE EN ROSE」1984.9


「INNOCENT SKY」1985.3


 1stアルバム「パラシュートが落ちた夏」では、まだまだあか抜けない部分もありましたが、2ndアルバムの「LA VIE EN ROSE」では、もうアーティストの風格がありました。
 そして、3rdアルバム「INNOCENT SKY」は、話題作りのシングルもないまま発売されたのですから、けっこう破格ですよね。

『INNOCENT SKY』

 作詞: 松本一起/作曲:佐藤健/編曲:後藤次利


 アイドルっぽい存在から出発したのに「LA VIE EN ROSE」や「INNOCENT SKY」を買ってる男子はけっこういたんですよね。
 かく言う自分も「LA VIE EN ROSE」や「INNOCENT SKY」もけっこう聴いてたんですよね。

 この頃になると、吉川晃司さんは、ファッションやスタイルなどを確立して、次のアルバムからは自作曲も増えていって、本格的なアーティストとして活躍していくわけなんですが、自分にとっては、瞬く間に自分らしさを確立していった、この初期の三作が印象深いのです。

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 この三作のアルバムに楽曲を提供していたアーティストは

NOBODY

 二人組のロックバンド
『モニカ』『サヨナラは八月のララバイ』

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『Sweet Baby Sleep (サヨナラは八月のララバイ)』

 硬派なイメージの強い”NOBODY”
 アン・ルイスさんの『六本木心中』が有名ですが、浅香唯さんの『C-Girl』や『セシル』もこの方たちの曲でした。
 吉川晃司さんの初期のシングルでは、他にも『You Gotta Chance』や『にくまれそうなNEWフェイス』などを提供しています。


大沢誉志幸

『ラ・ヴィアンローズ』『No No サーキュレーション』

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『ラ・ヴィアンローズ』


原田真二

『ポラロイドの夏』『心の闇(ハローダークネス)』

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 吉川晃司さんの ”巻き舌歌唱法” に、佐野元春さんと共に強い影響を与えたと言われてるのが原田真二さん。
 やっぱりかっこいです。



 その他にも佐野元春さんや伊藤銀次さん、大村雅朗さんや後藤次利さん、佐藤健さん(俳優さんではなく大橋純子さんの旦那さんの方です。)など、錚々たる面々が脇を固めているんですよね。

 そんな方々との交流が、ミックスされながら、吉川晃司さんの音楽性が確立されていったのだと思うのです。