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精神腫瘍科で入院を提案される ~とあるOLの乳がん日記【69】

69.

ひとしきり泣いたあとは、ソファで横になった。
夜になってから時間どおりに上長に電話をして、とりあえず状況を聞いてもらった。

とくにそれ以外、何か話すことがあったわけではなかったので、会話はすぐに終わってしまったけれど、そういえばどうしてご飯に誘ってくれたのかを聞いたら、この間会社を早退して病院に行く直前、1on1をお願いされていたけれどできなかったから、ということだったので、上長は埋め合わせをしてくれようとしてたんだなと思った。


次の日も様子は変わらなかった。
ほとんど眠れないし、たまに眠りに落ちると、もう死んじゃえばいいんじゃない?とか言われる夢を見たりした。
今日も会社には行けそうにないので、休みの連絡をして、また病院に行こうと思った。
予約もしていないのに押しかける形になるので、モンスター患者だった。

髪もぼさぼさで、洋服はぐしゃぐしゃで、化粧もしないまま、精神腫瘍科のフロアに行って受付を済ませてから、もう定位置になった場所で横になった。
周りの他の人を見ても、こんな状態になっているのは私くらいだったけれど、もう恥ずかしいという気持ちも湧かなくて、誰か早くなんとかしてほしいという気持ちでいっぱいだった。
家ではあまり眠れなくても、待合室にいると少し安心するのか、少しだけ眠れた。

長い時間、たぶんそこでそうしていて、名前を呼ぶ声がして、目を開けたら、傍に先生が立っていた。
わざわざ呼びに来てくれたんだなと思って、先生のあとを項垂れながらついていった。
いつもと違う部屋に案内されたので、本当は今日先生は診察日じゃないんだと思った。

部屋にあった椅子に座ると、涙ながらにこの連休の状態を話して、辛くて辛くて仕方ないことを訴えた。
心の底から、処方された薬を飲んだことを後悔したし、もう自分は、頭がおかしくなったんだと思って、もう社会復帰できないに違いないと思った。

すると先生は、薬を変えることを提案してきたので、薬にすでに拒否反応が出ていた私は正直に怖いと言った。
もっと強い薬が出るんだと思って、このまま薬漬けになっていくのが怖かった。
すると先生は、「じゃあ、入院しましょうか?」と言ってきた。

突然の提案に驚いて、一瞬理解できなかった。
また入院するなんて考えてもみなかった。
しかも入院する病院はここではなく、その期間も未定だった。

もし入院することになったら、仕事はどうなるんだろうとか、じゃあ抗がん剤はどうするんだろうとか、そのあとの放射線はどうなるんだろうとか、考えると頭がすぐにパンクした。
なので今の私には決められないと言うと、先生はパソコンで文章を打ち始めて、プリントアウトすると私に渡してきた。

内容は今の私の状態と、入院を提案するもので、これを家族に見せて明日一緒に来てくださいということになった。

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