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レンタルした「おっさん」さんから連絡が来る ~とあるOLの乳がん日記【51】

51.

乳がん患者さんの集まりの次の日になって、朝メールBOXを見てみると、「おっさん」さんをレンタルするサービスから、購入ありがとうございました、というメールが来ていた。
それはシステムからの連絡で、私の「購入」した「おっさん」さんからの連絡じゃなかったので、ちょっとがっかりしたけれど、それからお昼になって、やっと「おっさん」さん本人から連絡が来た。

「おっさん」さんからのメールの内容は、費用の確認と、希望する日程と場所を知らせてほしいことと、あとレンタル内容を差し支えなければ、教えてほしいという内容だった。
そういえば、私は人生相談をする気満々だったけれど、そうじゃない場合もあるんだったと思い返して、そのお返事に日程と、ガン治療を予定しているから、話を聞いてほしいという旨の返信をした。
連絡した日時は一番近い休みの日の、お昼過ぎで、場所は最寄り駅にした。

だけれど、「おっさん」さんはその日は予定があるという返事が来て、メールを何度かやりとりしても、なかなか決まらなかった。
私は、すぐにでも「おっさん」さんに話を聞いてほしかったので、可能な限り最短の日程を探ったけれど、「おっさん」さんにも本業があって、余暇でこのサービスに登録しているから、仕方がないと思った。
メールの往復でのやりとりなので、その場ですぐには日程は決まらなくて、その日は病院の日だったので、病院に行った。


抗がん剤と、高額の遺伝子検査をどうするかは置いておいて、この日は検査だけして、あとは、もう何度も来ている相談センターに足を運んで、看護師さんに話を聞いてもらった。
抗がん剤をやるか悩んでいて、自分は「子供を産まないといけない」と思っているから、抗がん剤はイヤだけれど、再発も怖くて、どうしたらいいかわからないというような相談をした。

話をするともう、自動的に涙が出るようになっていて、看護師さんもそれを承知でいるので、ティッシュを必ず傍に置いておいてくれた。
乳ガン患者さんたちの集まりのときもそうだったけれど、何も解決しなくても、話すと少しだけ心がすっとした。
これはあとで知ったことだけれど、涙を流すことは、一晩熟睡するくらいのストレス解消になるらしかった。

そうして、話を聞いてもらったあと、会社に行って、電車の中では「おっさん」さんとメールのやりとりをした。
そのやりとりの間でやっと会う日程が決まって、ほっとしながら家に着いた。そうしたら、母親が、私の顔を見るなり、ガンで闘病していた親戚が亡くなったことを告げた。

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