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ニーズに合った支援

この2年半くらい、僕は炊き出しを通して支援する側ですが、僕の人生の中では支援される側になることが多いです。支援する側も体験し、両方を経験することで見えたものがあります。

コロナ前とコロナ後では、炊き出しに並ぶ人数や並ぶ人の層もかなり変化が起きています。そういう状況の中で、並ぶ人達が求めていることも変化が起きています。従来から並んでいる層は、お弁当や衣類などを貰うだけでなく、他の並ぶ人達との交流や、情報交換も兼ねて来ている人が多いです。対する、コロナによってとどめを刺され、並ぶようになった層は、交流は望んでいない人が多いです。情報交換は必要に応じてしているような感じです。また、支援物資を貰えて、各種相談を受けられ、そこから支援に繋がることを望んでいるのかと感じます。

コロナ前から、大きく分けた何通りかの、自身の置かれている状況によって、違う状況の人を良く思わず、見下す態度をとる人が一定数います。その状況の一つに、コロナにより並ぶ状況になった1パターンが増えた感じです。最初、路上の人や生保の人が、お互いのことを悪く、僕へ伝えてきた時は衝撃を受けました。コロナにより困窮した人もまた、他の状況の人のことをあまり良く思っていません。並んでいる人達は、パッと見ただけでは、どの状況の人か判別はつきませんし、僕はそこを気にしていません。また、公園内にたまたま来ただけの人を、最後尾に案内しようとして、激しく怒られることもたまにあります。これは、皆の中に内在する、スティグマの一種なのかと感じています。

置かれている状況によってニーズも違います。例えば、路上の人や、元路上の人は、歯がボロボロのかたが多めです。なので、お弁当内容なども、柔らかいもの、噛み切れるものを望みます。また、路上の人は、お湯を確保するのが、なかなか難しいので、お湯を使う食べ物はあまり好まれません。路上の人は、嫌な顔をされながら、スーパーなどでお湯を確保するのですが、顔を認識され常連になると、断られてしまうのであまり無茶はできず、大変なようです。

並ぶ人達の要求を何でも聞ける訳ではないですが、ニーズに合わないことを幾ら提供しても、支援する側の押し付けの自己満足で終わってしまい、効果は薄いかと感じています。それには、並ぶ人達の本音を引き出さないとなりません。本音を引き出すには、並ぶ人達の安心安全を確保しないとなりません。本音を言ったら、不利益を被ったとかでは、誰も本音を言いません。並ぶ人達は僕ら炊き出しスタッフを凄く観察しています。話せそうな人、言いやすそうな人を、しっかり選んで伝えてきます。そういう話せそうな人、言いやすそうな人になるには、並ぶ人達に敵じゃないよというメッセージを、発言や行動で示す必要があります。並ぶ人達に認められ、本音が引き出せたら到達度半分くらいで、吸い上げた本音を炊き出しスタッフに伝え、審議にかけ採用されたら、次回以降の炊き出しで反映です。時間はかかりますが、ニーズに合った支援をしたほうが、支援される側も嬉しいし、助かることが多いかと思います。

ずっと、僕は最後尾看板をやっていた流れから、並ぶ人達に訴えられまくる役回りなので、これを活かしてどんどん並ぶ人達の本音を吸い上げていこうと考えています。笑

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