マーチンきよ花

東京大学文学部美学芸術学専修課程所属。自主映画制作を行っています。

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最近の記事

漫画における絵とことばの境界線

宮崎夏次系『僕は問題ありません』を取り上げる。これはモーニング増刊『モーニング・ツー』の2012年12月号〜2013年7月号に掲載された8作品を収録した短編集である。 まず、第一話『線路と家』より、主人公とおこの祖父が亡くなり、遺書に書かれていた家の変形ボタンを押すシーンを取り上げ、ことばを形式的に7種類に分類し、その中から特に、手紙の文面、および「聞こえ方」の表現に着目した。次に、短編集全体から作家のオリジナルの擬声語・擬態語をピックアップし、手描きの表現や独創的な文字列が

    • 『駅馬車』、『テルマ&ルイーズ』に見るアメリカ西部の地形

      ロードムービーにおいて、撮影地として選択されるロケーションは非常に特別な意味を持つ。これは、ロードムービーが、作品全体を通して旅、移動を続け、それがストーリーと常にリンクするものである以上、登場する場所が「出発」や「目的」、あるいは「通過」「寄り道」「迷い」など説話における象徴的な役割を担うことによる。ここで指すロケーション、場所とは単に国や地方、地域、スポットといった特定のどこかに限ったものではない。ロードムービーにおいては時に、名もなき土地の地形や道路さえも物語上かつ映像

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