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【architecture】成羽美術館|安藤忠雄

岡山駅から電車で1時間、そして本数の少ないローカルバスに揺られること20分

山と川に恵まれた小さな町にある立派な美術館だ

なぜ世界の安藤忠雄がこんな小さな町で設計をしたのかは分からないが、成羽美術館は安藤忠雄の作品集にも度々掲載されるところをみると自信作のようだ

先程『こんな小さな町』と軽々しく言ってしまったがなんせ偶然にも成羽美術館のある岡山県高梁市は私の生まれ故郷なのだ

恐らく生まれ故郷でもなければ一生行くことはないだろうと思われる程アクセスが悪いところだが建築とその自然環境は抜群だ


さて建築はというと、やろうとしていることは非常にシンプルで分かりやすい

南面の山々の美しい自然をまずは建物で隠しながら水盤とスロープで誘導するようなアプローチからはじまる

スロープを90度曲がると一気に視界が開けて山々がドーンと眺められるのと水盤に映る光や緑が一層自然を感じさせてくれる

スロープは階段と違って足元を気にせずに登ることができるのでゆっくりと気持ちが昂っていくことを演出してくれる

また水盤は建物内部にまで繋がっており、抽象化した自然を建物内部にまで引き込んでいる

さすが水盤大好き建築家だけあってつくり方が秀逸である

メインの展示スペースは屋内をぐるぐる回りながらゆっくり鑑賞できるが、ところどころから外部へのアクセスや外部への視線の抜けが設けられている

ホール部分は特にオススメである
北面をフロストガラスとして柔らかな光が入る一方、南側を水盤のある外部テラスにしている

このテラスは高い壁で囲われているが水盤により南側の山と一体化した水盤との繋がりを感じるだけでなく、空、山を切り取った力強い壁がより自然への感度を高めてくれるように思う

安藤さんは、やはり独学の建築家だけあってやろうとすることが素直でシンプルだ

しかしそれはすごく難しいことなのかもしれないし世界のANDOたらしめている所以なのかもしれない

展示作品も優れたものが多く見応えがある
過去には草間彌生展などもされていた

アクセスがとにかく悪いが、都会の暮らしに疲れた方には特にオススメである


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