【architect】建築家とは…アルヴァアアルトに学ぶ

フィンランドのアルヴァアアルトは20世紀を代表する文字通り世界的な”建築家”だ

アアルトはマイレア邸や自邸など数多くの名作建築を残した建築家である

アアルトがEU加盟前のフィンランドの紙幣になっていたのはご存知だろうか

それはアアルトが建築を通してフィンランドの国益に多大な功績を残したからだと言われている

フィンランドは北欧に位置し森林が残っているが、建築資材としては品質的に劣るものが多かった

そこで集成材という、断面寸法の小さい木材を接着剤で再構成して作られる木質材料とする事でフィンランドの木も建築資材としての価値を得られるようになった

そしてアアルトはこの集成材を使って曲線を表現したり家具を制作する事でフィンランドの国益に貢献したのだ

地域の材料を生かす事で活性化に繋げる仕事はまさに『建築家』の仕事と言えるのではないだろうか


近年では木造の建築物が見直されている
新たな技法も開発されその需要は高まっている

新たに完成した新国立競技場も全国の木をふんだんに使った建築だ

設計をした隈研吾氏は飛ぶ鳥を落とす勢いで世界中のコンペで勝利を重ねている

2015年にオープンした『TOYAMAキラリ』は開館前に知り合いの伝手もあって特別に内部を見学させてもらう事が出来た

大胆な斜めの吹き抜けが木で覆われた空間は圧巻だった
構造的にも防火的にも気を使うのは非常に難しいと当時の設計責任者の方がおっしゃっていた

他にも表参道のサニーヒルズ青山の地獄組や太宰府のスターバックスコーヒーの内装などは実際に体験した隈研吾建築であるが、木の古くからある工法を生かした新しいデザインに木の持つポテンシャルを感じる事ができる

私の住む岡山県は中国山地を含む林業が盛んな地域でもある

ここ岡山県真庭市で新たに開発されたCLTという材料を生産し注目を浴びている

人工林のほとんどの山において間伐は日光を取り込むためにも必要な作業だ
間伐材は建築資材としては使いにくかったが、細かい角状の材の集成材として、さらにクロスさせて層にすることで面としての柱や梁、床材や屋根材として用いられるようになった
強度も強く、欧米などではこのCLTを用いたビルが既に作られている

まだまだ生産量が少なく、価格が高いことがネックであるが、日本でも長谷川豪氏などが住宅に採用したり建築家によって新たな提案がされ始めている

今回岡山大学と隈研吾氏が共同でこのCLTを普及させていく計画を進めることになった

新たな工法が街の活性化、そして街の人々にやりがいを与えられるような産業になればそこに『建築家』が求められるのだと思う

隈研吾氏の地域の材料を生かす建築づくりにはアアルトから続く『建築家』のあり方を感じる事ができる

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