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空飛ぶ「おネエさん」と「宿主」って?!

トップ画像:Mahmud ShoebによるPixabayからの画像


思えば
「ポリティカル・コレクトネス」とやらに則って、
スチュワーデスという言葉が死語になって久しいですよね。

日本では「客室乗務員」という呼び方こそ定着したものの、
それをカタカナ言葉にするとなると、結局は

「キャビンアテンダント(CA)」なのだか、

「フライトアテンダント」なのだか、

今一つ統一性がないですし、

そもそも私のような年寄りには途中で名称変更されても
覚えられなくて困ってしまうだけです。(苦笑)

ところで、
実はこのアメリカ発祥の「ポリティカル・コレクトネス」の波に乗って、
ポルトガル語圏でも客室乗務員の名称が変わっています。

現在の名称は、

伯葡語では
comissária de bordo
【コミーリア・ジ・ールドゥ】

 欧州葡語では
assistente de bordo 
【アスィシントゥ・ドゥ・ールドゥ】

というのですが、

伯葡語の「comissária 」とは、
英語に直訳すると “commissioner” に相当する単語なので、

この英語を日本語にすると、
「長官」だの「理事」だのと、
随分偉そうな肩書が並んでしまうのですが、

実はブラジル海軍では、
事務や調達の担当官を「comissário」と称することから、
このような名称になったのだとされています。

一方、欧州葡語の「assistente」は、読んで字の如く
「アシスタント」ですから、

ブラジルの同業者と比べてしまうと
キャビンアテンダントがひがんでしまいそうなネーミングです。

ところで以前はどうだったかというと、

ブラジルでは
「aeromoça【アエロッサ】

欧州葡語では
「hospedeira de bordo【オスペイラ・ドゥ・ボールドゥ】
または
「hospedeira do ar【オスペイラ・ドゥ・ィレ】

というのが通常でした。

これらは、かつての「スチュワーデス」に
匹敵する表現だとされていたものなのですが、

よく見てみると、

伯葡語の「aeromoça」とは

「aero(英語のエアロと同じ)」
「moça(若い女性)」を組み合わせた表現なので、

思わず

「”空飛ぶねえちゃん”…?!」


と突っ込みたくなるような表現です。(笑)

確かにこれについては
変わって良かったとしか言いようがありませんね...。

一方、欧州葡語の
「hospedeira de bordo」「hospedeira do ar」はというと、

「hospedeira(女性の宿主 [やどぬし])」
「de bordo(機内の)」、
または「do ar (英語のエアロと同じ)」
を組み合わせたものなので、

「なるほど...。英語のかつてのエアホステスと同じか!」

ということで、

アメリカと同じ経緯で変わったのだな
ということが解るわけですが、

それ以前の問題がありまして…。

それは何かとというと...、

そう、

毎度のブラジル人です…!

実は伯葡語では「hospedeira」の男性形である
「hospedeiro」という単語を
「寄生虫の宿主(しゅくしゅ)」
という意味では使うのですが、

欧州葡語のように元々の意味である
「宿主(やどぬし)」
という意味には「hospedeiro」「hospedeira」
使わないため、

「hospedeira do ar」などと言われた日には

「”空飛ぶ宿主(しゅくしゅ)”かい?!」


となってしまいます…。

やれやれ…。

相変わらず伯葡語と欧州葡語は相性が悪いね~っ!

ってことで…。

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本日もお読み頂きありがとうございました!


※ 猫の落語家はイラストレーターのこたつぶとんさんの作品です。


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