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「モット」と「モッタ」

トップ画像:Monoar Rahman RonyによるPixabayからの画像

ブラジルではオートバイのことを、
「motocicleta(モトスィクレッタ)」
といい、これを略して、
「moto(モット)」
とも言います。

一方、欧州葡語では
「motorizada(モトリザーダ)」、
これを略して
「mota(モッタ)」
とも言います。

「motocicleta」「motorizada」
女性名詞なので、
「私のバイク」という場合は、

「私の」という意味の「minha(ミニャ)」を付けて、

minha motocicleta(ミニャ・モトスィクレッタ)」、
minha moto(ミニャ・モット)」、
minha motorizada(ミニャ・モトリザーダ)」、
minha mota(ミニャ・モッタ)」
などといいます。

※ ちなみに持っているものの名前が男性名詞の場合は「minha(ミニャ)」 ではなく「meu(メウ)」を付けます。持っているものが複数の場合は、「meus(メウス)」「minhas(ミニャス)」と変化します。

見てのとおり、略称は一字違いで、
どちらも女性名詞であるものの、
伯葡語では「moto」と単語の語尾が
一見男性形だと思われがちな「o」なので、
欧州葡語話者違和感を感じ勝ちです。

一方のブラジル人は、
ポルトガルへ行った場合は、
「ここでは motaというのか」と受け入れるものの、
ポルトガル以外の葡語圏へ出向いた場合は、
「ここの人達は『moto』では男性名詞のようだから
mota』と言っているだけだろう。
元の言葉は伯葡語と同じ『motocicleta』に違いない」と
思い込んだまま過ごしてしまうこともあります。

*****

と、ここでブラジルの日系人ジョークを一つ。

なぞなぞ形式のもので、

「日系人の青年がバイクを路上駐車させていたら、
トラックがやってきてバイクを轢いてしまいました。
その青年の名前は?」

という質問に対しての答えが

「マサル・ミヤモト」

だというものなのですが、

その心はというと、

「マサル・ミヤモト」
ブラジル人の耳には
ラフな口語で話した場合の

「俺のバイク、潰しやがった」

という文に聞こえるというのです。

「俺のバイク、潰しやがった」という意味の伯葡語文はというと、

「Amassaram minha moto.」

というもので、
これを
きちんとした読み方をすると、
こんな ↓ 感じになるのですが、

ラフな日常会話風に発音すると、
こう ↓ なります。

ちなみに、ブラジル人が
「マサル・ミヤモト」と発音すると、
こんな ↓ 感じになります。

全国のミヤモト・マサル様、

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画像:miho.pandaさん from イラストAC

私もブラジル日系人も

決して悪気があるわけではありません!!!


*****

尚、「Amassaram」という語は、
「潰す、こねる、くしゃくしゃにする」といった意味の
「amassar」動詞の
3人称複数が完全過去形になったものです。

3人称複数といえば、
英語では「They」ですよね。
誰だかわからない不特定の主語を表すのに
英語でも「They」を使いますよね。

それと同じです。

ただ、ポルトガル語は主語を明記しなくても良いので、
このケースのように、
動詞がいきなり出てくる文になる
というわけです。

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本日もお読み頂き、ありがとうございました!

※ 猫の落語家はイラストレーターのこたつぶとんさんの作品です。




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