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ペルナンブコ州の抱える問題 (3)


ブラジル北東地方について、

ペルナンブコ州の抱える問題  (1)では水不足の問題を、

ペルナンブコ州の抱える問題  (2)では
地盤沈下の問題を取り上げて参りました。

いやぁ、何度見ても
美しくて素晴らしい
ボア・ヴィアージェン (Boa Viagem) 地区 ↓ ですが、

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実は
この地域には下水道管渠網が存在せず、
これらのモダンに見える建物一つ一つの地下部分には、

セプティックタンクと呼ばれる
浄化槽というか、腐敗槽があり、
適宜汲み取りサービスを受けているのです。

勿論トイレがぽっとんタイプだったりするわではありません。

ごくごく普通の水栓トイレなのですが、
流したものの行先が、そのセプティック・タンクだということです。

というのも、
(2)でも触れたとおり、
レシフェは全体的にとても平坦な地形で、

それ故地下工事が非常に困難な上、
下水道の場合は、極力自然流下が可能なように設計されるものなのですが、

このような立地では、ちょこっと勾配を付けて自然流下させたら
ポンプで上げ、またちょこっと自然流下させたらポンプで上げるを
繰り返さなければならないということになり、

当然地価も非常に高いこのエリアに
おびただしい数のポンプ場を建設することは得策ではなく、

しかも何かと故障への対応が遅れ勝ちなブラジルなので、

下手に費用が馬鹿高い下水収集システムを造って
何か不具合が起きたら
却ってとんでもないことになってしまう…

といった問題もあるのです。

ですから
ビルにはセプティックタンクを設け、
そこに入った汚水の浸透可能な液体部分は地下へ、
そうでない固形物は、フツフツと勝手に嫌気処理されていき、

いっぱいになったら汲み取ってもらう…
というわけです。

要は、タワマンの場合、屋上や裏庭などに巨大な水槽、
地下にセプティックタンクが設けられており、

マンション内の蛇口などへは基本自然流下
(だから水圧が低い)、
排水は地下のセプティックタンクへといった
仕組みになっているのです。

*****

ちなみに
ポルトガル時代に造られ、
ブラジルのベニスとも呼ばれる
旧市街地(ボア・ヴィアージェンから北に数キロ) ↓ には、

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まさにおびただしい数の
ポンプ場があり、

ロボットカメラを走らせた下水道調査では、
その壁には美しいアズレージョが貼られている!

という、なんとも贅沢というか、無駄というか...
な事実も判明しています...。

*****

そんな実情を携えたボア・ヴィアージェンの海岸は、

「見た目美しいけれど、水質はどうなの?」

と思ってしまいますよね?


これがこれが!

水質はとても良好なのです。

何故かというと、

先日の記事で貼った地図を今一度見てみましょう。

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実は海流の都合で、
ボア・ヴィアージェンで汚水が放流されても
全て北へ北へと流されてしまうのです。

つまり、歴史地区への観光が最大のアトラクションで、
風光明媚だけれど、
ビルの倒壊事故が結構な頻度で起きる

オリンダの海こそが、
ペルナンブコ州で最も水質の悪い海…

というこんとになります...。

なんだかオリンダが気の毒ですね…。
いいところなのに ↓ ...。

本日もお読み頂き、誠にありがとうございました!

魚 新鮮 (2)

※ 「お魚もびっくり!」、否、
「魚 新鮮」はこたつぶとんさんの作品です。



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