【2つのポルトガル語】:世にもおバカな泥棒
昨日、
たまたま辿り着いたポルトガル語サイトに
こんな ↓ ものがありました。
上部の
「Este é talvez o ladrão mais burro da história」
伯葡語:【エスチエ・タウヴェーズ・ラドゥラゥン・マイスブーフ・
ダイストーリア】
欧州葡語:【エシトゥエ・タルヴェイジュ・ラドゥラゥン・マイシブール・ダイシトーリア】
(=「これは歴史上最も馬鹿な泥棒かもしれない」)
というフレーズで、これであれば
どちらのポルトガル語でもあり得る言い方なので、
圧倒的にサイト数の多いブラジルのものだと思ったのですが、
画像内の
「Talvez o ladrão mais idiota de sempre」
「タルヴェイジュ・ラドゥラゥン・マイシディオッタ・ドゥ・センプル」
(「今までで最も馬鹿な泥棒かも」)
という表現を見て、ちょっとびっくりました。
というのも、
「今までで」や、「前代未聞の」、「未だかつてない」
といったことを
「de sempre【ドゥ・センプル】」
と表現するのは欧州葡語話者のみなのです。
ブラジル人が
「今までで最も馬鹿な泥棒」
というのであれば、
一番上の表現にも見られる
「ladrão mais burro da história」
【ラドゥラゥン・マイスブーフ・ダイストーリア】
や、
「ladrão mais burro até hoje visto」
【ラドゥラゥン・マイスブーフ・アテオージ・ヴィストゥ】
や、
口語であれば、
「ladrão mais burro visto até hoje」
【ラドゥラゥン・マイスブーフ・ヴィストゥ・アテオージ】
または
「ladrão mais burro encontrado até agora」
【ラドゥラゥン・マイスブーフ・エンコントゥラ―ド・アテアゴーラ】
などという可能性がありますが、
「de sempre【ドゥ・センプル】」
(※ ブラジルの発音では【ジ・センプリ】)
という表現は、まず使いません。
「sempre」とは英語の「always」に相当する、
つまり「いつも」という意味の単語で、
ブラジルでは
「de sempre【ジ・センプリ】」という表現は、
「いつもの~」、「いつも変わらぬ~」
といった意味で、
「Delícias de sempre para você」
【デリッスィアス・ジ・センプリ・パラ・ヴォセッ】
(「いつもの美味しさをあなたに!」)
や
「Qualidade de sempre para você」
【クァリダージ・ジ・センプリ・パラ・ヴォセッ】
(「いつもの品質をあなたに!」)
といった
宣伝文句に多く見掛けるもので、
意味的にもポジティブなものばかりなのです。
❇❇❇
そんなこんなで、
「おや、ここってポルトガルのサイトなのかな?」
と気付いて URL に目をやると、
案の定ドメインが「pt」になっていました。
更にサイト内の文章を読んでみると、
再帰代名詞の「se」が動詞の後に出てくるなどの
欧州ポルトガル語の特徴の他、
画像内では「ladrão【ラドゥラゥン】」としていた
「泥棒」のことを
「gatuno【ガトゥーヌ】」
と言い換えて表現しており、
欧州ポルトガル語らしさを垣間見ることができました。
ちなみに、この「gatuno【ガトゥーヌ】」とは
「ladrão【ラドゥラゥン】」が「泥棒」であれば
「gatuno【ガトゥーヌ】」は「盗人」といったところでしょうか。
ブラジルでも「gatuno【ガトゥーヌ】」という単語は存在しますし、
古い小説などでは見掛けることもあるのですが、
ブラジル人との会話で聞いたことはありませんし、
文章でも近年のものでは滅多見掛けるものではありません。
要は、ブラジルでは「死語」だということですかね…。
❇❇❇
ちなみにこの「お馬鹿な泥棒」が何をしたかというと、
標記のサイト(https://elegante.pt/2017/06/24/este-e-talvez-o-ladrao-mais-burro-da-historia/)に
無音で見易い防犯カメラ映像が掲載されているのですが、
イマイチ調子が悪いようなので、
ブラジル人による
煩いナレーションが入ったバージョンをどうぞ!
(ちなみに、わずか45秒の動画です。)
↓
ホント、馬鹿だわ~、これは!
というわけで、
本日もお読み&ご覧いただき、誠にありがとうございました!
※ 「自分でヘマしてふてくされる餅」、否、
「怒るモチ」はこたつぶとんさんの作品です。
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