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「君と歩いた青春」の残響

「君と歩いた青春」という唄がある。
45年前に伊勢正三さんが作った名曲。

♪「君がどうしても帰ると言うのなら
もう止めはしないけど、心残りさ少し
幸せにできなかったこと
故郷へ帰ったら、あいつらに会うといいさ
宜しく伝えてくれ
きっとまた昔のように、みんなで、
楽しくやれるさ」♫
伊勢正三「君と歩いた青春」

当時の伊勢さんのフォークグループ、
風のアルバムの中に収録されており、
その数年後、歌謡曲の歌姫、
麗しの太田裕美さんがカバーして
一躍有名になった。
その後、伊勢さんはソロになってからも
新譜の中で再録音し、
今でも、コンサート等で歌い続けている。

つまり、この名曲は、
25歳くらいの正やんが歌い始め、
その5年後、25歳くらいの太田裕美さんが繋ぎ、
その23年後くらいにアラフィフの正やんが「garden」というアルバムで蘇らせた。

♪「本当は、あいつらと約束したんだ
抜け駆けはしないとね
罰当たりさ、僕は。
だけど本当さ、愛していたんだ」♫
伊勢正三「君と歩いた青春」

同アルバムでの40歳後半の正やんの声量は
若い頃の歌声に比べ、明らかに衰えており、
張りも力も足りない。

でもそこはかとない味がある。
そして編曲が素晴らしい。
この歌の重厚感と清涼感のバランスが絶妙、
成熟した大人になったかおりが漂う。

まるで二十代だった、
歌の中の主人公たちが
20年以上の年月を経て、再会し
その心境を高らかに
歌い上げているよう。

老いる程に増す、音楽家としての、
人としての、味わいや深み。
自ずと滲み出るものがある。
時間を経ても尚、その分のきらめき、
ときめきが確かにある。
そして名曲はいつの時代も
色褪せず、衰えない。

いつになっても青春。
サムウェル・ウルマンの
青春の意味を噛みしめる。

今後の正やんや太田裕美さんの
音楽活動を心から応援したい。
自分への応援歌としても。

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