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本当の強さ。

勝負を挑んでくる者達へ、
彼は穏やかに言う
「勝ち負けは本当に必要だろうか」。

そして闘いの結果、彼は勝つ。
というより負けないのだ。

中国武術のひとつ詠春拳。
1930年代〜60年代に
その普及に尽力した伝説の達人がいる。
大師匠と呼ばれた男、葉問(イップマン)。
カンフー映画の大スター、
ブルース・リーの唯一の師匠だ。

そのイップマンを描いた映画
「イップマン3〜継承」を
去年12月にBS放送で観て以来、
僕は完全にハマっている。

昨年末には「イップマン1序章」から
2の「葉問」、3「継承」、4「完結」まで
シリーズ全作品のBlu-rayをイッキ買いし、取り憑かれたように繰り返し観ている。

ドニー・イェン演じるイップマンの
どこに何に惹かれるのか…。

それはイップマンの人柄が滲む言葉にある。

「道徳の面では人間は平等であるべき。貧しき者が卑しいとは限らない。
統治者が尊いとは限らない。この世界を動かすのは金持ちでも権力者でもない。心ある者たちだ。我々の行動を子どもたちが観ている。我々は子どもたちの良き手本になるべきだ。行いの全てが今だけでなく未来に繋がるんだ」

「イップマン3 継承」

「私は勝ったが、中国武術がボクシングより優れているわけではない。私は言いたい。身分の違いや貧富の差はあっても、人の品格、その尊さに違い(優劣)はないと。私は願う。今、この瞬間からお互いが尊重し合う関係になること。」

「イップマン2 葉問」

そして、無駄のない美しい武術シーンだ。
その相手は、日本軍上層部の空手家、英国人ボクシングチャンピオン、アメリカン人のギャングのボス(マイク・タイソン演じる)、詠春拳同門の遣い手、アメリカン軍空手家。イップマンが彼らとどのように対戦したか。見処と迫力が満点。

【主人公の人柄】
①日頃は優しくて静かな佇まい。
②困りし人あれば必ず手を差し伸べる。
③強さより「和」や「仁」を重んじる。
④義理堅く友情に熱い。
⑤権力に怯まず、正義と正当を貫く。
⑥困窮にあっても明るく諦めない。
⑦名誉欲、虚栄心、自己顕示欲がない。
⑧寛容、寛大。弟子に説教しない。
⑨絶えることなき求道心。不滅の魂。
⑩決して言い訳せず、誰より妻を愛する。

【武術(決闘)シーン】
①毎度繰り出すような必殺技がない。
②派手な技がない分、盤石な基礎力あり。
③基礎力を応用に転じて勝つ。
④小が大を倒す醍醐味。(小柄な彼が西洋人のマッチョマンを倒す)

闘いに勝った、負けなかったから
強いのではない。

なぜ戦ったのか、
誰のために、
何を守るために、
戦ったのか。

僕は格闘家ではなく、
しがないビジネスパーソンだが、
本当の強さ、勇気を授けられた。
思わず背筋を伸ばし、
我が身を振り返りたくなる作品。

時代背景に日中戦争、第2次世界大戦があるので、日本人や西洋人の描き方に賛否はあるかもしれないが、それは中国カンフー映画には有りがちなことであり、むしろ本作の魅力、その本質を観るには一旦横に置くべき。

本作の音楽は、日本の音楽家、
川井憲次氏が担当。
通勤電車の往復で日々、
読書しながら聴いている。
映画の主人公に
少しでもあやかりたく。

今日もお読みくださり、
ありがとうございました。
寒の谷はまだありそうですが
くれぐれもお身体に気をつけて
お過ごしくださいませ!

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