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真冬の夜、湯船で聴く風の音

寒風に打たれ家路を辿る夜。
疲れた身体を引きずって
淋しげな聖樹を横切る。

こうした瞬間があるから、
これがあるから、そのあと、
拙宅の僅かな灯りのお風呂で、
ゆったり浸かる湯船は格別。

僕は幼少の頃から
バスクリンを入れたお湯の、
その芳醇な香りに包まれて
温まるのが好きです。

湯船で目を閉じて
じっと耳を澄ませていると
窓の外を行き過ぎる風の音

ふぃーゅー、ふぃーゅー、
ひーゅ、ひーゅ、ひーゅ

その風は音が大きい程に寒そう。
そして、寒そうな程に
湯の温かさが身体の芯まで
伝わってきます。

そして疲れが癒やされるのです。
じんわりと幸せ、これは至福。

聖夜の贈り物。そこで一句。

「冬の湯や 命あたたむ 風の音」弥七



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