クローズアップ現代 2020/11/14放送内容(親のお金をどう守る 認知症600万人の資産管理)に関する感想 速報版

良かった点

  • きちんと国連からの勧告を報道したのは良かった(特にインクルーシブ教育ばかり報道されて、テレビとして報道されたのは恐らく初めて

  • 阿南氏の専門職成年後見人(以下後見人)の様に、司法書士会の内規や民法第858条を破って「被後見人の意思を尊重」しない後見人が普通に跋扈しているのを報道してくれたこと

  • 成年後見制度の報酬の不透明化に関してきちんと解説されたのは良かった。月に2~5万はあくまで目安であり、実際には裁判官の裁量で決められる。その為、全額後見人に渡すことも現行法では可能な事がわかったと思う。私が公開している通り、実際には約170万(月14万)にも及ぶ報酬が渡される事などざらであり、出来ればそこまで踏み込んでほしかった

  • 成年後見制度から障がい者や、高齢者を守る各種制度を解説したのは良かった

  • まずはこの様に成年後見制度が始まり約20余年、少し改正されたこともあったものの、様々な問題がある制度だということが少しでも色んな人に伝わっただけでも良かった

報酬の判例

悪かった点

  • 水島弁護士だけではなく、新井誠教授や全国「精神病」者集団の桐原尚之氏研究員、宮内康二研究員など実際の現場を知る人を解説員として出して欲しかった

  • 阿南氏に対して、後見人が違法行為(意志尊重義務違反)をしていることを解説しなかった

  • 私が散々指摘している通り、法律制度上意思決定支援をする事が条文があるが、意思決定支援をしないこと(意志尊重義務違反)で何かしら刑事罰がない上に家裁が監督しない事がきちんと踏み込まれなかった

  • 裁判所が1000万以上の裁判を起こす場合は、成年後見人がいないと訴訟を起こせないと言う嘘をついた事に関して、踏み込んだ説明をしなかった(特に水島弁護士)。嘘をつくこと自体は、犯罪にはあたらないため裁判所が嘘をつくのは倫理上問題があるが、犯罪ではない

  • 阿南氏の様に、きちんと言葉を話せる人(恐らく保佐補助相当)が成年後見就いている事に関して説明がなかったこと(普通に考えればおかしい)

  • 親族後見人が不正をするという事が前提で報道された。実際には、年間約50件・数億円(被後見人の財産と横領額によるためかなりブレる)に及ぶ専門職後見人も犯罪を行っている(※不正ではなく犯罪)事を報道せず、若干偏向報道と取れる内容だった

  • 刑事訴訟法や民事訴訟法など、成年後見制度に関する勧告は国連勧告ではされていた所に関して報道されなかったこと

  • 一部法律の内容の説明が正しくなかった。例えば、裁判官が選ぶのは基本的には弁護士会から紹介された専門職が一般的だが、「後見開始の審判を受けた者は、成年被後見人とし、これに成年後見人を付する。(つまり裁判官の職権で決める)」としか書かれていないので、行政書士にしようが、裁判官の親戚にしようが裁判官の裁量なのである。弁護士・司法書士・親族だけが選任される様な説明は正しくない。実際には社会福祉士等が選任されるケースもある

  • 上記に関して他にも、あたかも認知症の人に対して後見を付ける制度のように報じられたが、「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者」が後見を受けるので、知的障害その他の人も対象になる。しかも、法解釈と裁判官次第では健常者や精神障害の中でも後見が不要な人に対しても自治体が余計なことをするため就くケースも稀にあるので、ここも認知症の方だけが後見人が就くわけではないという誤解を生じさせる内容になっていなのがかなり問題があった

残念だった点

  • 親族の不正流用(注:不正流用であり不正流用=犯罪ではない事に注意)に関して詳しい説明がされなかったこと。例えば、被後見人の入所してる施設の空調設備の修理費が横領とされたケースや、後見人の子供が被後見人の親と旅行や自宅介護の費用が、後見人ではない方の子供に生活費が横領として訴えられたケースなど本当に不正なのかと考えられるケースも不正の統計に入っているのを説明しなかった。横領とされたケースでも実際の裁判では横領に当たらなかったり不起訴になったケースもあるのも説明しなかった。これでは親族後見人が行った不正の件数だけ減って見える数字のマジックで、あたかも専門職後見人は不正流用はしない様に見える報道のされかただったこと

  • 阿南氏の所で解説して欲しかったのが、そもそも訴訟を行う際に、親族後見人が弁護士や司法書士(ただし1000万を超える訴訟の場合認定司法書士でも出来ない(140万円までの民事訴訟)ので、弁護士になると思われる)に委任してはいけない法律など一切ない事をきちんと水島弁護士は開設してほしかった

  • 成年後見制度以外のサービスばかり紹介されて、そもそも自分以外の人、例えば自分の子供等に家族信託や法律行為の全権代理など個人間契約という方法もあることも報道してほしかった。他にも、全銀協は窓口に建て替えたレシートや領収書を持っていくことで、認知症等の人の口座から引き落とし出来るのも報道して欲しかった

  • そもそも、軽く上げるだけでも以下の問題があるため、とても30分ではかなり厳しい内容だった

    • 家庭裁判所の裁判官や書記官の問題(上記の通り嘘をつく等の問題)

    • 国連と日本国政府が批准している、国際条約を日本が履行していない問題

    • 弁護士会や司法書士会など、本来自治をする様に法律で書かれているにも関わらず、阿南氏の司法書士の様に実際には自治をしていない問題(詳しくは弁護士自治を考える会さんのHPを是非みてください)

    • 阿南氏のケースや私の母のケース、津家裁や松江地裁、名古屋高裁等の判例の様に、専門職成年後見人が 民法上違法行為・不法行為をしておりかつ家裁の裁判官がそれを認めている問題

    • 水島弁護士が少し触れたが、内閣府や最高裁、ワーキンググループ提言や指摘、してるのにもかかわらず現場の弁護士、司法書士が無視する他、家裁が全く指導しない問題

    • そもそも裁判官の人事評価制度や、再就職、国家公務員倫理法等の問題

小括

序盤はかなりお金にフォーカスした内容だったが、最初に国連勧告を持ってきてくれたのは凄く良かった。
つまり、日本の家庭裁判所が嚆矢で罰が無いことをいいことに、弁護士や司法書士などが次々と国債条約を破っている事が今の大きな問題であるのはこの番組でまずは分かって頂けたと思う。
ただし、悪かった点に書いた通り解説員が水島弁護士のみであり、「私たち抜きに私たちのことを決めるな」という、障害者権利条約の大前提からいきなり外れているのがかなり残念だった。
特に水島弁護士は弁護士なのだから、法律に関して判例付きできちんと視聴者に対して分かりやすく現行法や実際の判例はこうで、こういった問題があると解説してほしかった。
あれでは阿南氏の後見人が会いに来ないのは、「非情な後見人がいるんだね」ぐらいにしか捉えられず、民法第858条の意志尊重義務違反という違法行為を行ってる事が全然視聴者に対して伝わらなかったと思う
しかし、今回は成年後見制度の問題に関する報道ではなく、認知症や障がい者からいかにお金を守る事が中心だったので仕方ないかもしれない。
まずはこれをきっかけに、成年後見制度の問題に色んな人が興味を持って貰える事が一番最初だと思うからだ。

是非次は、成年後見制度の問題について報道されることを切に願います。

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