見出し画像

考えたら負けだけど、考えるのを止められない

私は考え込んでしまうタイプで、なにも考えていない時間というのがあまりない。
というか、考えることを自分では止められないのだ。睡眠中以外ずっと、後頭葉のあたりが稼働している感じがする。

目下考えているのは、どれも楽しくないことばかりだ。
奨学金は通るか、通らなかったらどうするか、通ったら年収もっと抑えた方が結果的に得か、その場合今の生活費はどうするか、そういえば大学の勉強進んでない、インターンの勉強も出来てないな……といったことが、いつも頭の隅でぼんやりと渦巻いている。

旅行したいとかディズニー行きたいとか、ゲームしたいとかの楽しい考えごとはすぐに消える。
「でもお金ないしな」「やるべきことやってからにしないと」という、自分自身の正論によってかき消されて、悲しい気持ちだけ残る。

その後に出てくるのは、もう抑えられない怨嗟だ。

「学費も生活費も、仕送りまで出してもらえてる人だっているのに」「親の収入が低ければ簡単に給付奨学金通ったのに!」「こんなことなら生まないでくれればよかったのに」「なんでマイナスを0にするだけでこんなに苦労しないといけないんだ」

考えたところで意味がない、仕方ない、自分で頑張るしかない、もう成人してるんだし後は自己責任でしょ?、いつまでも親のせいにしてどうするの?

そんなことは全部わかっている。わかっているけど、じゃあ私はどう理由を付けてこの先頑張っていけばいい?
体調だって悪いのに、帰れる場所も頼れる人も持たずに自分の力でどうにかしないといけない。その焦りと不安をどう抑えつければいい?

復学して、うまくいって奨学金を取れたら、私は翌年の奨学金のために必死でいい成績を取らないといけない。精神疾患の症状と、親に見つかるかもしれない恐怖をやり過ごしながら、生活のためにバイトして、学業も頑張らないといけない。
そうしないと、他の学生と同じスタートラインに立てない。大学に行けない。生活も出来ない。

もちろん私以外にも事情のある学生はいるだろう。それもわかっている。
でも、私以外にもどこかで頑張っている辛い人がいることなんて何の慰めにもならない。
私はまだ、自分の辛さしか見えないし気にかけられない。

休学前、私は部活に入っていた。入学前からずっと憧れの部活で、中高でも部活に入れなかった私にとって、それはとても嬉しいことだった。
でも、その部活もすぐに辞めることになった。
なぜなら、バイトをたくさんしないと大学に行けないから。学業とバイトと部活の両立は、私にはとても出来なかった。

「そんなにバイトしてどうするの?学生の本分は勉強でしょ」
部活を辞める直前、同期にはそう言われた。
私の個人的な事情なんて話していなかったから、その人に悪気がないことはわかっている。でも、「学生の本分は勉強」と言い放てる環境がうらやましくてたまらなかったし、私もそんな学生生活を送りたかった。
適当に同意してやり過ごしたが、内心とても穏やかな気持ちではなかった。

うらやましい。ずるい。

私にも子供にお金を使ってくれる親がいれば、こんなにバイトしないで済んだ?殴ったり犯したりする親じゃなければ、精神疾患にもならなかった?休学も絶縁もしなくてよかった?行きたかった大学を受験出来た?好きな進路を選べた?中高ちゃんと通って部活の友達が出来たりした?

私のほしかったものを何もせずに享受する人たちの横で、それを得るために必死に頑張るのは辛い。

考えてもどうしようもなくて、結局のところ頑張るしかないことはわかっている。
それを理解はしているけれど、私はまだ納得出来ていない。

マイナスを0にするための努力を、私はもうしたくない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?