銭湯は我々のエルドラドか
ゴールデンウィーク前くらいから銭湯にハマっており週3位行っている。近所の銭湯に色々と片っ端から行っており、これまでの人生で行った総回数の何倍もの回数を1ヵ月で更新しそうな勢いで。近所に「東京浴場」という銭湯があり、銭湯ってこんなに楽しかったのか、と感動しきり。プロ野球のペナントレース開始日には野球のボールが風呂に浮かび、子供の日にはどでかい鯉のぼりが浴場の天井を泳ぎ、ゴールデンウィークにはフェスと称しジャズやらポップスが流れ、母の日には子供たちが母に向けたメッセージが書かれたヒノキの木片が浮かぶ。井戸水が流れ出る樽型の水風呂も気持ちよいし、シャンプー、ボディーソープ付きなのも良い。個室の予約制サウナもある。ファッキンコロナで現在は休止中だが、3種類のクラフトビールが湯上がりに飲めるのも素晴らしい。入り口には漫喫並みの漫画や雑誌も置いてあり、470円で何時間でも居れる。娘と入っていると近所のおじいさんがニコニコ話しかけてくるし、いやがおうにも近所のコミュニティーに混ざることにもなり、ベタな感想だがこれも新鮮。現在、なんとミシマ社のブックフェアも開催中で、スノッブサブカル×子育てのまさに俺得銭湯。雨宮まみと岸正彦の〈愛と欲望の雑談 (コーヒーと一冊)〉今度買おうかしら。銭湯は「今日一日何にも予定ないけど、疲れているし、時間も無いし、子供と遊びたいけどどうしようかなー」に応える丁度いいテーマパーク。現在のライフステージにぴったんこカンカンなソリューション。
「運び屋」観る。退役軍人のイーストウッドが経営して来た花屋が斜陽になり、老後にコカインを遠くまで車で運びまくって金を稼ぎまくる話。相変わらず随所に散りばめられたイーストウッドの肝の座った超絶下品な減らず口ジョークが最高。マフィアのボスの屋敷に行った時に、慰労の為にパイオツカイデーのネーちゃんを2人あてがわれてベッドルームにシケこんでいたが、あの歳になってもお盛んなのはほんとにファンキーで素晴らしい。アメリカ人は何かあるとすぐにパーティーを開き、音楽を掛け、ダンスをしてブリブリしようとするが、その金の使い方、後年の人生の処し方について、大いに見習うべきと感ずる。老人となり下っ端の労働力として裏社会に組み込まれる怖さも感じるが、イーストウッドの<わきまえぶり>に強いプラグマティズムを感じる。自暴自棄でもないし、悲観に溺れてもいない。淡々と裏社会と繋がり、表社会では家族を顧みなかった自分を誠実に責め、罪滅ぼしをしようとする。それが相反せずに同居。人間の業をひしひしと感じ、ある種の落語感も漂う。人生は後悔の連続、と達観しようとしても後悔の念は意図も簡単に安い自己認識を乗り越えてくる。来るべきは、今。
友人宅にあったマッサージ機ルルドが超良かったので「ルルド プレミアムマッサージクッション クロスグランデ」を購入し、使用しているが頗る良い。銭湯に置いてあるマッサージチェアなんかより気持ちいいし、これで充分。風呂上がりに最高である。銭湯に通い始め、GUNZEの尿染み対応パンツを3枚買い足し、マッサージ機にもたれ掛かる日常。完全に初老のステージへの移行が完了した。
フィッシュマンズの映画観たい。私は完全に佐藤伸二が亡くなった後、後追いでハマった口。上京した時に住んでいた、駅から徒歩17分家賃4万円のボロアパート(room202)から駅前の魚民へ、ドラムのだいちゃんとバンド打ち合わせと称した飲み会に行く道すがら、爆音で聴いていたナイトクルージング。あの日々の夜の頼りなさ。フィッシュマンズのWalkin’という曲が堪らなく好きなんだけど、居酒屋の「魚金」って〈Walking〉とかけてるのかしらなどと詰まらない連想へ続く。君はフィッシュマンズと一緒に青春を過ごしたかい?ああ、それにしても居酒屋行きてえなあ。
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