亡き友が運んでくれたご縁
私は今年の元旦に、自宅で司法書士を開業した。
あまり縁起担ぎはしない方だが、何でもこの日はとても縁起が良いということだったし、何よりも覚えやすく、税金の申告でも計算が楽、という事で決めた。
だが、その翌日の夕方、私は友人の訃報を受けることになった。
私の司法書士試験合格を長い間応援し続けてくれ、司法書士登録、開業の決定を心から喜んでくれた彼女。
昨年の11月には緩和ケアのため入院していたため、ずっとラインだけで交流していたが、ご主人がそのライン通話で、亡くなった日に連絡を下さった。
その場でもう涙が止まらなくなり、号泣してしまった。
その後も、街中を運転していて彼女と一緒に訪れた場所を通るごとに、
勝手に涙があふれてきて、前が見えなくなる、という事を繰り返して2か月ほどたったある日のこと。
一本の電話がかかってきた。
彼女の声と名前には聞き覚えがあったが、思い出せないまま話を聞いた。
亡くなった友人と家族ぐるみで親しくしていた。
彼女の娘さんから、私が司法書士を開業したことを知らされた。
実は、至急、ご相談して登記していただきたい事がある・・・
と話は続き、
最後に、
「小学校の役員のお仕事で一度だけご一緒したことがあります。」
と言われて、はっきり思い出した。
そうだ、彼女だ!
それは三男が小学校3年生のころだったから、14年以上前のこと。
もう一度お話ししたいな、と思える方だったことを鮮明に思い出した。
私の友人を蝶つがいとしてつながったご縁。
きっと、亡き友が、「私がお仕事運んできてあげたんだから、ちゃんと頑張ってね!」と
空から見守ってくれている。そんな気がした。
そして3月から、本格的に仕事に取り組んだ。
それは、一昔まえの相続登記から始まる一連の登記。
単純なものは何一つなく、最後まで気が抜けないものだだったが、
お陰で、この登記のお仕事を確実にやり遂げるための調べものを通じて、たくさんの知識を身に付けることが出来ただけではなく、
地元の先輩司法書士、土地家屋調査士さんとのつながりは一気に深まり、
法務局への照会も含め、実務ならではの知識も蓄えることが出来た。
これも、きっと、亡き友が運んできてくれたご縁なんだと、勝手に思って、毎日彼女の形見の一つのネックレスを身に付けて、心の中で「ありがとう。今日も無事登記が上手くいったよ。」
と話しかけている。
年度末、年度初めは申請件数も多い上、ゴールデンウィークに突入したので、登記完了まではまだもう少しかかりそうだけれど、4月末には一区切り付きそうでほっとしている。
5月のカレンダーを見ると、連休明けからは19日間しかない。
あっという間に過ぎてしまいそうだ。
連休用に実務書も仕入れたし、日々頑張ろうと思う。
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