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謎の沈没を追った『黒い海』に大宅壮一賞、『死刑のある国で生きる』に山本美香賞~先週のSlowNews Letter第17号より

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先週の『SlowNewsLetter』の第17号で、瀬尾傑と熊田安伸がピックアップしたは、こちらの5本でした。
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【おすすめ】

黒い海 船は突然、深海へ消えた
(講談社 2022/12/23)

SlowNewsの連載を書籍化した伊澤理江さんの『黒い海 船は突然、深海へ消えた』が、歴史ある大宅壮一ノンフィクション賞を受賞しました!千葉沖で沈没し、多くの人命が失われた漁船事故の真因は何かーー。謎を追いかける伊澤さんの凄まじい執念と冷静かつ優しい筆致に、読み出したら止まらない傑作です。デジタルメディア発の作品が、歴史あるノンフィクション賞を受賞したことは、エポックメイキングです。(瀬)


死刑のある国で生きる
(新潮社 2022/12/15)

そして、やはりSlowNewsで連載をした宮下洋一さんの『死刑のある国で生きる』が第10回山本美香記念国際ジャーナリスト賞を受賞しました。コロナ禍で滞在先のバルセロナに閉じ込められたり、アメリカへの取材が難航したり、大変な苦労をした中で、宮下さんが強い意志と行動力で実現した作品です。宮下洋一さん、おめでとうございます!

実は第9回の受賞もSlowNewsが協力した横田増生さん『「トランプ信者」潜入一年』。2年連続受賞という快挙です。(瀬)


「日本での生活は地獄になるよ」アフガンで日本のために働いた大使館の現地職員、外務省が厄介払い?
(47NEWS 2023/5/15)

アフガニスタンでタリバンが復権した2021年、日本政府は現地の日本大使館で働いていたアフガン人職員と家族を日本に避難させました。ところが彼らはその後、繰り返し外務省から帰国を促され、一部の職員と家族は翌年国に戻っていたのです。中には身の危険を感じて再び来日した人も。なぜ迫害の恐れのある母国に追い返すような仕打ちをしたのか、共同通信のリポート。(熊)


核融合発電に投資すべき?~トリチウムの放射線リスクを定量的に考える(科学コミュニケーターブログ 2014/6/11)

5月16日に日経が 「核融合発電で日本連合 三菱商事など16社、新興に出資」と特報していましたね。その前にはマイクロソフトが核融合スタートアップと契約したという報道もあり、いま注目されています。実用化を目指す核融合科学研究所の竹入康彦教授、実は子どものころに読んだ藤子・F・不二雄のSF漫画『21エモン』に登場した人工太陽に憧れて、核融合の研究を志したのだとか。ちょっと古いですが、核融合のベネフィットとリスクを整理し、考えるのにいい記事です。(熊)


ガーディアン編集長、調査報道こそが読者の求めているものだと語る
(PressGazette 2023/5/15)

英ガーディアン紙のグループは、昨年の収益が2億5580万ポンド(438億円!)で前年比13%増加し、2010年以来、最大の売上高を記録したのだとか。成長は主にデジタル読者からの収益で、「読者が本当にお金を出したいのは、最も困難な調査報道だ」と編集長は語っています。近くアメリカにも調査報道のチームを立ち上げるそうな。こういう話を聞くにつけ、がんばらなきゃなと。(熊)


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