江戸で養蚕の会~組紐・龍工房~
EDITOR'S REPORT
着物の帯締めやなど和装には欠かせない『組紐』。現在は日本文化を象徴する芸術品として海外のアーティストも注目する伝統工芸。日本橋富沢町の『龍工房』は1889(明治22)年創業。現在は四代目のご主人・福田隆さんと五代目の隆太さんで営む。最近では世界的なラグジュアリーブランドとのコラボレーションやアニメ映画の公式グッズの製作、国産プレミアムウィスキーの海外向けパッケージの製作など「組紐の新たな可能性」を追究している。
令和5年に黄綬褒章を受賞した四代目のご主人は、国産繭や生糸の生産減少を憂い『江戸で養蚕の会』の活動をスタート。2023年からはじまった中央区立日本橋小学校で“養蚕と組紐の体験授業”に今年は隣接する学区の久松小学校も加わり蚕の食糧となる「桑の木」の植樹式が2024年5月21日に行われた。
「江戸で養蚕の会」は、今や希少品である純国産絹糸を使った伝統工芸の文化を継承することを目的に全国で開催される宝絹展などで組紐体験会などを行ってきたが、2023年、さらに次世代への持続可能な文化継承を目的に古くから「糸へんの町」と言われ和装・洋装問わず多くの繊維関連事業者が集まる日本橋富沢町周辺の小学校での体験学習を通じて「蚕」から糸がつくられる過程や、その糸を加工し工芸品をつくる工程を学ぶことで文化への理解を深めてもらう取り組みである。
明治時代には日本を代表する輸出品であった「国産絹」とインバウンド観光の需要とともに高まる日本の和装文化を未来に向けて守り発展させる。135年続く江戸組紐の伝統技術を継承する工房の小さいけれど夢がある取り組みに注目したい。
2023年、日本橋小学校で行われた体験学習の模様
https://www.youtube.com/watch?v=DyjF2-E2F08
https://www.youtube.com/watch?v=P55QKLZSMxk
問い合わせ先:龍工房 03-3664-2031