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築地場外市場 築地横丁

スローリー余話
街の”なりたち”#17

開業した1935(昭和10)年に撮影された市場(写真提供:中央区立京橋図書館)

2018(平成30)年に江東区豊洲へ東京中央卸売市場(場内)が移転後も国内外の多くの観光客で賑わう『築地場外市場』。関東大震災により甚大な被害をうけた日本橋の魚河岸が築地に移転した1935(昭和10)年以降、もともと築地本願寺の門前町だった場所に水産物商などが集まり『築地場外市場』がはじまったといいます。今も場外市場内にある築地本願寺のいくつか支院のなかで関東大震災後の戦前建築の寺院として残る「円正寺」はかつて門前町であったことを想いおこさせてくれます。

かつての時代の景観を伝える「円正寺」

そしてこの「円正寺」にほど近い『築地横丁』には、料理人たちに頼りにされる青果店テレビドラマ「赤めだか」の舞台にもなった飲茶の有名店などがあります(以下、2023年10月発売『東京Slowly² vol.2』より)

プロから選ばれる“店の奥に隠れた”
一級品の野菜たち

青果 藤本商店

レストランやホテル、料理店などの飲食店をはじめ、施設などの給食などに野菜を提供する業務用の専門店。「最近では料理家や写真家などの難しい注文にも対応している」と語る若旦那の藤本貴也さん。創業80年。その歴史は扱う野菜の質の高さがプロの料理人たちから評価されてきた証明だ。常時200~300種類の旬の野菜をとり揃えるとともに、その鮮度を保つため細心の注意を払う苦労を藤本さんはこう語る。「毎日の気候に気を配りながら、種類によって違う冷蔵庫の温度調整など、お客さまに最高の商品をお届けする努力は厭いません」。一般的に八百屋さんの店頭は賑やかなイメージだが店頭は少し華やかさには欠ける印象。しかし、その奥に隠されている数多くの野菜は普段接することが少ない高品質の一級品。料理人たちに高く評価されている“プロの為の八百屋”は一般客も大歓迎。その品質の高さを確認しよう。

旬の食材をいち早く入手できる
美しい和食の「あしらい」。一流の料理人に頼りにされる青果店

青果 藤本商店
〒104-0045 東京都中央区築地4-10-1
電話:03-3541-3353
営業時間:5:00~13:30
休:日・祝・市場休市日

継承される「てづくりの技」
三世代で営む飲茶の名店

飲茶 菅商店

立川談春が修行時代に1年間働き、同氏のエッセイをもとにしたテレビドラマ「赤めだか」の舞台にもなった老舗の飲茶専門店。場外市場で仕入れる新鮮な豚肉、鶏肉、野菜を使った『シュウマイ』は築地名物でお土産にも人気が高い。鹿児島産アベル黒豚の肩ロースを使用して仕上げる『黒豚シュウマイ』や当日朝に処理した新鮮な鶏肉の『鶏シュウマイ』は、その素材の味をいかす熟練の技で秀逸な美味しさをつくり出している。御年97歳の大旦那・菅隆志さんが今もお店で接客する姿も又、築地名物の風景だ。創業70年。現在は初代・隆志さん、二代目の宏行さん、そして三代目の拓人さんの三世代で営んでいる。立川談志がその「手作りの技」に惚れ込み、談春を修行させたという伝説の『シュウマイ』。職人技の美味しさはこれからも受け継がれていく。(2023年10月発売『東京Slowly² vol.2』より)

笑顔で迎えてくれる初代・隆志さん、二代目の宏行さん、そして三代目の拓人さん

住所:〒104-0045 東京都中央区築地4-10-2
電話:03-3541-9941
営業時間:6:00~15:00
休:日・祝・市場休市日

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