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反対の意味、三角形と四角形の違い

姪から宿題でわからないところがあると聞かれた。反対の意味の言葉を書きましょう、という問題だった。大きいの反対は、小さい。遠いの反対は、近い。早いの反対は、遅い。私たちにとって自明なこれらのことがわからないという。なぜ大きいの反対が、小さいなのか。そう聞かれて答えに窮してしまった。確かに、なぜ大きいの反対は、小さいなのだろうか。

混乱の原因は、「反対の意味」という部分にある。家から学校までが「遠い」にせよ「近い」にせよ、学校は家から離れていることには変わりない。大きいと小さいも同じだ。身長200cmも身長120cmも、どちらも身体がそこにあることには変わりない。

反対の意味というのなら、座標の「10」と「-10」を指す言葉を挙げるべきではないだろうか。上に書いた例は、いずれも、そうなってはいない。しかしそもそも「-10」の言葉とは何だろうか。辛いと甘いもだめ。形容詞は肯定的事実しか語れないから、どっちも+の方に触れてしまうのではないか。そもそも、「反対の意味の言葉」なるものは存在するのだろうか。

テキストの内容と全く関係がない写真。

これと少し似た混乱を、私自身も覚えたことを思い出した。私の場合は、三角形と四角形の違いは何ですか、という問題だった。答えは、辺の数が違います、というものだ。けれども、その答えは、両者の違いを示す観点のひとつに過ぎないと思った。あるいは内角の和が違います、でも、頂点の数が違います、でも同じことだ。それらの違いを超えて、もっと両者は決定的に違うと感じられた。

きっとこの話は、めちゃくちゃ伝わりづらい。上に書いた「反対の意味の言葉」同様、これらの問題に引っかかったことがない人からすれば、「何を言ってるの?」「屁理屈でしょ」としか受け取られないものだと思う。

三角形と四角形の違いを説明する際に、私が混乱したのは、説明の言葉がどうやっても不十分なものにしかならないと気づいたからだ。三角形と四角形は全然違う。見てはっきりと異なっている。それを分析して、辺の数や、内角の輪や、頂点の数が違う、と言われても、両者は、それら以前にもっと異なっていると感じられるのだった。そして私がはっきりと感じている両者の違いには、言葉が届かないのだった。


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