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ガラガラ&神の眼

世田谷、生活工房でのワークショップで植物の葉を紐にする基本スキルを学んで、家で復習。教わったコツに沿って庭に茂る月桃の葉を乾燥させたものをよ(撚・縒)って継ぎながら長い紐づくりを楽しんだ。ワークショップ会場でひときわ眼をひいたものがあった。


マコモというイネ科の草を真竹にぐるぐると巻き留めた不思議な製作見本だった。そのフォルムに見覚えがあったのだ。確か雑誌『民藝』の表紙を飾っていたような。

家に帰って確かめたら、メキシコのウィチョール族が羊毛の糸を十字形に組んだ竹に巻く"Ojo de dios"(オホ・デ・ディオス)=神の目と呼ばれる飾りで、お守りとして伝統的に製作されてきたという。会場に展示していたのは供え物を載せる装置『ガラガラ(膳)』。現在も江戸川、中川、利根川下流域の一部地域でお盆の際、墓や家の前に立てる習俗が残っているとか。メキシコと日本、どちらも霊的なオブジェであることと、菱形と十字の共通点に興味を覚え、調べていくと、法政大学大学院・地理学専攻、横地留奈子さんの『ガラガラ』について調査、考察した修士論文に行き当たった。

横地さんは『ガラガラ』が家族内無縁仏を鎮める装置としての精霊棚だと論考する。ぼくのように直系の子孫を残せなかった者は「ルスバンノヒト」と称され、家族内で先祖とは異なる扱いを受ける霊。お盆のときも家に帰れず、墓に残っているため、墓前にこの装置を立て供え物を置くのだそう。なんだか哀れな存在を近しく思い、同時にフォルムと佇まいに強く惹かれて、自身で製作してみることにした。

つくりかたはとても容易い。不器用なぼくでも数10分でスムーズにできた。参考にしたのはYouTubeでメキシコ人女性(?)が優しく教える『神の眼』DIY映像。繰り返し作業は単純なのでスペイン語がわからなくても大丈夫。

マコモを採取するのが面倒だったので、以前撚った月桃の草紐を割り箸に巻き付けた。初めてなのに上手くできて自己満足。居間の天井から輪状にした月桃紐を垂らし、先端に世田谷羽根木の「out of museum」小林 眞さんに譲ってもらった武骨な真鍮ベルを留め、先端に自作『ガラガラ』を付けてみた。うーむ、間接照明で影が映る風情がなかなかいい感じ。しかし、毎晩眺めてなごんでいるうちに欲が湧いてきた。メキシコの『神の眼』みたいに複数色の糸を組み合わせてつくってみたらどうかな、と。

というわけで、なんちゃって『神の眼』DIYの実践と結果はまた後日に。

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