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DJブース構築 1:自宅用DJ機材の選定

私はオーディオ趣味の一環としてDJをやっており、自宅に割としっかりとDJブースを作ったり、割とガチめの仕事部屋兼スタジオ環境を作っております。
あくまでの趣味の範囲でありますが、もしかしたら一部の人には少しは参考になることもあるかと思い、また自分の趣味のタイムラインを記録し振り返ることで思考を整理しつつ加速させ「そろそろ冷静になったほうが良いのでは?」と時々頭をかすめる煩悩を打ち崩すべくこちらに試したことや検討している内容を日々メモを残していこうと思った次第です。

まずは現在我が家のガレージで運用されているDJブースの構築にあたった際の検討事項などについて記載をしていこうと思いますが、DJブースの構築と一言で言っても実際はかなり検討事項が多いのでまずはすべての始まりである機材選定から進めたいと思います。

DJと一言でいってもスクラッチメインやミックスメイン、またジャンルも色々とあるので選択肢にはかなりのバリエーションがありますが
ここではオーディオの延長ということでアナログを中心としたいろいろなジャンルを選曲するDJをメインに話を進めます。

DJブースを構築するのに必要な機材とはなにか

まずDJブースを織りなす機材にも多彩な分類が存在し、みなさんの個性に合わせて構築できます。
また、DJミキサーに当たる部分はいわゆるオーディオでいうところのプリアンプです。
CDJや一部のミキサーにはDACも搭載されており、レコード用のフォノアンプなどかなりオーディオとして楽しい部分があります。
こういった嗜好性の高いものくらい「コスパ」とかくだらないことを言っわずに借金でもして全力で楽しみましょう。
そうすることで働く腕にもよりいっそう力が入るものです。

では、下記に各種代表的な構成を記載します。

PCDJ x コントローラー

Pioneer DJ DDJFLX4

SeratoRekordboxなどがインストールされたパソコンにコントローラーをつなげてDJをするアニメソングやポップミュージックをかける人に多い印象がある派閥です。
家で一人で・家族で・友達と音楽かけて遊ぶだけであれば十分なことが多いですがちゃんとした現場におもちゃみたいな品質のものを持ち込んで前のDJがプレイ中にケーブル抜いたり刺したりするのはやめておきましょう。

PCDJ x DVS

Serato Official Web Siteより引用

上記のソフトウェアを利用しつつ、ターンテーブルやCDJなどの実際のDJ機器をつなげてコントロールする派閥です。Pioneer DJ DJM-S11など専用のミキサーやミキサーとプレイヤーの間に挟むような機材、そしてコントロール用の専用レコードなどが必要になります。
スクラッチやバックスピンの感触が本物のアナログと一緒で扱いやすいですが、重たいレコードを大量に持ち運ばずにLaptopの膨大なストレージから直接セレクトできるため、短時間でポンポン選曲して切り替えていくヒップホップやレゲエのセレクタに多いスタイルです。
またターンテーブルを使う場合、レコードも普通にかけれるのでレコードとPC音源の行き来が可能になります。

一体型プレイヤー


Pioneer DJ XDJ-RR

これは割と新しい派閥で、一見PCDJのコントローラーですがミキサー機能とプレイヤー機能が一体になっており、画面とUSBがついていて直接USBメモリをさして2台のCDJとミキサーのように扱うことができます。"ろくに予算をかける気はないけどDJブースっぽいものをおきたいバー"などによく設置されています。
世の中で標準的に使われているPioneer製のCDJとDJMに操作感を寄せているものも多いため扱いやすく、自宅用としては2024年現在では一番最初に検討されることが多いと思います。
機種によってはPhonoアンプ搭載でターンテーブルを接続できるものもあります。(高いが)

ターンテーブル/CDJ + ミキサー

我が家もこれ

オーディオ趣味としてのDJはこちら一択になります。

おそらくDJブース。と聞いて多くの人が思い浮かべる映像に出てくる機材です。見た目は一番テンションがあがります。
ターンテーブルのないクラブも増えてきたり、CDJを複数台おいたりバリエーションは豊富ですが基本的にはCDJ2台、ターンテーブル2台の組み合わせが一番スタンダードです。
また、各プレイヤーとミキサー独立したもので揃えた場合、ミキサーとプレイヤーが別になるのでオーディオ趣味的にケーブルやミキサー、DACやPhonoアンプを外部に挟んでみたり、少しづつ気に入らない部分をグレードアップしていくなど色々な組み合わせを変えたりして遊ぶことができます。これが一番楽しいのです。

プレイヤーは何を選ぶべきか

CDJ

フラッグシップ! CDJ-3000

CDJという名前ですが最新モデルのCDJ-3000ではもはやCDスロットはありません。
基本的に今はUSBメモリに楽曲データを入れてそれをCDJに刺してDJをすることが多いですし実際にターンテーブルが置かれていないクラブもかなり増えました。
LANケーブルで繋ぐことでCDJ同士を同期させ、USBメモリ一本で複数台のCDJから楽曲を読み込んだりすることができますし、USBメモリはPioneer DJのRekordboxというソフトウェアで管理ができで便利です。

CDJは基本的にPioneer DJ一択ですが、いろいろなモデルがあります。基本的に高いやつが音が良いですし、ハイレゾなどにも対応していて気分が良いです。(良いDACと処理性能を持っています)

CDJは最新のフラッグシップ(CDJ-3000)はアホみたいな値段がしますので2台買うとそれだけで60万円を超えてしまいます。
ただしPioneer DJ以外はよほどのこだわりが無い限りはいろいろな理由によりおすすめしません。
私はずいぶん前に買いましたのでXDJ-700というCDスロットはないが基本的なCDJの機能は網羅しているモデルを2台所持しています。正直デジタルアウトがついているXDJ-1000にしておけばよかったな。と思っていますし、なんなら私もCDJ-3000をいつか買いたいです。

今ならCDJ-2000NXS2という一つ前のモデルの中古がコスパが良いかもしれませんね。このモデルのDACは旭化成製のチップを積んでいますがSPDIFでデジタル出力もできるので、ミキサーとの間に好みのDACを刺してもよいかもしれません。(ただし2台必要になりますが…)

予算の都合上廉価版や中古を買う場合にもオーディオなんか趣味にしている人間は基本的に高齢で脳みそが弱ってきているはずなのでお値段は張っても液晶でちゃんとジャケット写真が見れるモデルが良いです。選曲のしやすさが全然違います。
レコードのコレクションがたくさんあり、レコードだけでやるよ!という場合はCDJは買わない選択肢も全然ありです。

ターンテーブル


SL-1200 MK3D

やはりDJやってる感が一番あるのはレコードですしオーディオオタクはどうせレコードが好きなのでターンテーブルが必要です。
レコードのほうが音が良いかどうかという議論は個人的にはどうでも良く、やはり見た目がかっこよくまたフィジカルな感触はDJをしていて気持ちが良いです。
ターンテーブルはTechnicsの古いSL-1200 MK3Dなどをハードオフとかで買いましょう。こだわりのベルトドライブなどもありっちゃありですがスタンダードを一度抑えておくというのも大事です。
アナログ機材は値段が落ちないですので、飽きたら売ればよいのです。
とりあえず中古でSL-1200シリーズを買っておくのがよいと思います。
こちらは設置の仕方などにも色々ありますが、それはまた別の記事で書きます。

ミキサーは何を選ぶべきか?

最新スタンダード DJM-A9

ミキサーというのはいわばオーディオでいうところのプリアンプに相当します。ミキサーが音質を左右すると言っても過言ではなく、また曲をつなぐと言ってもいろいろな手法がありここでのミキサーの選択が今後のDJライフを大きく変えることになるでしょう。

例えばPioneer DJとAllen&HeathがDJミキサーメーカーの2台巨塔ですがこちらのDJM A-9Xone:96(オーディオオタクには一部で有名ですね)というフラッグシップモデルはとても良いPhonoアンプとDACが積んでありCDJとデジタル接続もすることができます。
またデジタルエフェクターやBPMカウンターなんかが搭載されていて便利な上に音もとても良いです。
基本的にミキサーはPioneer DJのDJMシリーズ、テクノ系でしたらAllen&HeathのXoneシリーズなんかが定番中の定番なので間違い有りません。
考えるのが面倒な人はこのへんを選んでおけばよいと思います。

これ以降は無駄に考えるのが好きな人向けです。

DJミキサーには値段が安いものもあればめちゃくちゃ高いものもあります。
上記の代表的な2種類以外にもPLAYdifferentlyのMODEL 1なんかも音質などに定評がりますし、ヴィンテージのVESTAXを選択するなんてのも渋いです。

ちなみに、私が使っているのは先日今後DJミキサーを生産しないとメーカーが発表してしまったMaster SoundsのRadius 4Vというミキサーを使っています。
Radius 4Vはいわゆる縦フェーダーではなくロータリータイプのアナログ・ミキサーで各チャンネル・ストリップの出力部に真空管が搭載されています。
標準では真空管はTEONEXの12AU7が4chそれぞれ刺さっていましたのでTelefunkenの12AU7互換品であるECC82に全て差し替えました。
いわゆるアナログ系オーディオ民はこのアナログ・ロータリー・ミキサーの泥沼に是非を脚を絡め取られてほしいと心のそこから願ってこの記事を書いています。

ロータリーミキサーとはなにか

Mastersounds Four Valve MK2

数年前から徐々にロータリーミキサーブームが再熱し今となってはPioneer DJの会社であるAlpha ThetaまでもがRupert Neve製のMarin Airというトランスを積んだ成金デザインの変態ロータリーミキサーを出すまで一般化しました。
大昔、今のようなDJミキサーがないころにBozakやUreiなどのPhonoアンプが搭載されたビンテージミキサー(プリアンプ)やもう少し後のVestaxなんかが長く利用され愛されていたのですが、現在は色々な特徴をもつDJ用ロータリーミキサーが発売されています。
以下に有名どころのブランドを載せておきます

ARS Model9900
  • Alpha Theta - Euphonia:Rupert Neve製トランス搭載、デジアナ混合

  • Alpha Recording System:日本発、パンチのある音質に定評あり

  • Compact Disco Soundsystem(CDS):日本発、ハイファイ音質で繋ぎが下手だと死ぬ系

  • E&S:ロータリーブームの火付け役、コンパクト

  • Condesa:なんやかんやで音質良いという評判を一番聞くかも

  • Varia Instruments:見た目が計器みたいで激渋、音質も良いらしい

  • Isonoe:Floating Pointsが開発に携わったらしい高級ミキサー

  • Mastersounds:真空管入モデルあり、チャンネルにEQとGainついてる。生産中止

  • Union Audio:Mastersoundsの親会社、100万円超え超高音質らしいミキサーをだしている

他にもとにかくたくさんのメーカー・モデルのミキサーがあります。
価格帯としては現在は30〜40万円の間が多く、Union AudioのOrbitなんて気が狂ってるので100万円を超えています。
見た目や音質はYoutubeなどでいろいろな人が比較したりしているので参考にするとよいでしょう。

UNION AUDIO Orbit

アナログ・ロータリーミキサーは基本的にはオーディオ的にアナログっぽい質感の音のものが多く一般的に"音が良い”という印象を与えます。(実際は最も一般的なPioneer DJの最新ミキサーも普通にめちゃくちゃ音良いですけどね)
何よりロータリーフェーダーはオタク心をくすぐります。
なんかそれっぽいことを言いたい人たちは「繋ぎのスムーズさ」に言及をします。確かにフェーダーに比べると前後の曲を少し長めに混ぜながらゆっくりと繋いで行く人たち向けの操作感ですし自然ときれいなつなぎになりやすいです。

しかし、なぜアナログ・ミキサーでは単なるHifiではなく真空管やトランスを入れてアナログっぽい味付けをするロータリーミキサーがいるのかというと、そこには3つの理由があります。

  1. CDJとアナログの音質の違いを丸め込みたい
    CDJとレコードを行ったりきたりすると結構音質が違う事が多いので良いスピーカーを使っていると曲の切り替わり時が気になるかもしれません。
    これを全体的にアナログっぽい味付けすることで丸めてごまかしちゃおうぜ!ということです。

  2. 差別化をしたい・個性的な音がほしい
    DJブース作るとなるともうとりあえずPioneer DJでCDJ-3000とDJM A-9を買っておけば間違いがなくどこもかしこも新しいか古いかの違いだけで同じセットです。
    当然ですがどこかでみたことある量産型のオタクっていうのは一番キツイ存在なので、やはり無駄にこだわり感を出していくべきなのです。
    お店ももちろん個性が必要ですしね。

  3. 見た目がかっこよい・ワクワクする
    つまみはかっこいい、更にトランスとか真空管て言われたらなんかすごそう。ワクワクします。これが一番大事です。
    どうせ高い金出すなら色々遊びがいのある機材が良いですよね。ちなみにアナログロータリミキサーの多くはディスクリートになっているので改造なんかも…しやすいかもしれませんね。

レコードの針


Ortofon Concorde Club

プレイヤーとミキサーが買えたら、最後にレコード用の針です。
オーディオ好きはおそらくレコードを聞く針を持っていると思いますがDJミキサーのフォノアンプは基本的にMM型ですのでご注意ください。

たま〜にオーディオ用の針をDJで使う人もいますが、DJ用ですとOrtofonのConcordeと呼ばれるヘッドシェル一体型を使う人が一番多いです(日本人だと樽屋を使ってる人も多いですね)
一体型はセッティングがとにかく楽なので現場での利用しやすさは群を抜いています。

前後の曲を繋ぐ際に頭のキックの音などで頭出しとかするのでスクラッチやバックスピンをしないにしてもオーディオ用だと針が飛びやすくちょっときついかもしれません。
また、DJ中のレコード交換は思ったよりもバタバタして少しレコードの扱いが雑になる瞬間があるので針が折れにくいDJ用の方が良いと思います。
あとDJ用は現場用なのでシンプルに出力がでかい物が多いです。

Nagaoka DJ-03HD

私はNagaokaのDJ-03HDという針にWAX Alchemy製のシェルリードをつけ、余計な振動を少しでも減らすためヘッドシェルの接続部分にハネナイト製のワッシャーを挟んでいます。効果のほどは正直わかりませんが、DJの現場はとにかく音が大きく、さらにウーファーがでかいので常に振動・共振・フィードバックとの戦いなのです。
(次記事以降ではターンテーブルの設置についてもこのフィードバックと振動の対策についても記載していきます)

もともとは私もOrtofonのConcordeタイプを色々と使っていましたが現在の組み合わせはConcordeに比べると少し飛びやすいですがとにかく低音の出方が好みです。ブリッブリの低音が出ます。
レコードの場合はRIAAカーブもありますしカッティングの都合上最重低音はカットされていることがほとんどですが、この組み合わせでダブなんてかけるとウーファーがブリンブリンになります。この辺は好みの問題ですね。

一体型のほうが圧倒的に扱いやすいのになぜセパレート型を利用するのかというと、やはりオーディオ趣味の延長としてはシェルリードをはじめとしたいろいろな交換できる部分があったほうが楽しいというのが一番大きな理由です。
趣味なので、楽しい。が一番なのです。


これで基本的な機材選定の考え方がまとまりました。
適当に選択肢を並べて予算に合わせて選んでくださいね!なんてくだらねえ事は言いません。気に入ったものがあったら借金して買ってから頑張って働いて返済すればよいですし、ミキサーなんて日本で買えない物も多いくせに30万円以上とかするので勇気がいりますから仕事をサボり家族を放置してYoutubeなどで情報をとにかくかき集めて選んでください。
趣味のものに対して金や時間をケチるようなつまらない人間に皆さんがならないことを願っています。

さて、次回以降はこれらの機材を乗せるDJブースそのものの設計と製作、そして音響調整などについて書いていきます。

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