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「本を読まない人の読書会」3月の報告

〇紹介された本

『小説 田中 カツ』
―田中正造の妻と明治の女たち― 
著者 渡辺順子 随想舎 2016年 1800円+税

始めに本の紹介があった
箇条書きのメモが配られ、それに従って本の内容が独自の視点から紹介された。

・明治の男尊女卑の社会下で、カツは正造に嫁ぐ。正造はカツを奴隷のように扱った。カツはひたすら耐え、内助の功を努めた。
・やがてカツは、正造を理解するようになる。そして自ら鉱毒被害者の救済活動をするようになった。
・活動は発展し、「女押し出し」を応援する。「押し出し」とは、デモのことであり、当時は男たちでさえ命をがけだった。女たちの決死のデモの描写には涙を誘われる。
・本は、田中カツと明治の女たちを描いている。日本のフェミニズム運動の先駆けとなる女性たちが何人も登場し、互いに影響を与え合った。現在のフェミニズム運動との違いは、女性が権利を主張するのではなく、社会正義を主張をしていた点だ。
・その中で、古河為(タメ)をどうしても紹介したい。足尾銅山を経営する古河市兵衛の妻だ。鉱毒を出さないように夫に働きかけるが、夫は怒る。タメは自分に出来ることは何かを考えたあげく、入水自殺する。市兵衛の妻だとわかるよう身なりを整え、新聞で報道されるようにすぐに発見される場所を選んでいた。

話し合いの主な内容
・今のフェミニズムは女性の権利を主張するばかりだ。男性を女性の敵と見るから、男性が一緒になって考えることができない。

 典型例として、女性専用車両の話がでた。痴漢対策のためだろうが、男性は、全員痴漢予備軍なのか? 痴漢のない時代や国があるのだから、痴漢が発生するのは社会に理由があるのでは? 痴漢される側にも原因はないか? 女性専用車両は文明国の恥だ。果たして、このやり方は、議論をし尽くした結果なのか?余りにも、理不尽だ。疑問だ。等の意見が出た。肯定する意見は出なかった。

 学園祭でミスコンテストの企画があるという話が出た。フェミニズム運動家はどうとらえるだろうか? 投票で決めるなら、その評価基準は? ミスコンに男性も出場するらしい。参加する美人・美男の評価基準は? 議論になるのだからコンセプトを打ち出すことが大切だ。いったいコンセプトは何か? 主催者は何が目的なのか?

・紹介者から提案があった。田中正造は有名だが、妻のカツを取りあげた本は皆無である。NHKの大河ドラマに取りあげてもらいたい。カツを紹介すれば、子どもから高齢者まで、ものごとをしっかりみつめられるようになる。そしてその場で「田中カツを大河ドラマに取りあげる会」が発足した。

今回の成果と今後の課題
・ 参加者は9名で、皆が本にそれなりに興味を抱いてくれたことだろう。引き続き、この読書会が広く知れ渡ってくれることが課題だ。
・直前の呼び込みで参加してくれた人がいる。直前は訴えやすく話が通じやすいので今後も続ける。
・参加者にとってはフェミニズムを考えるきっかけになったと思われる。自分の意見を自由に言えただろうが、議論が展開するところまではいかなかった。
参加者が自由に発言できることを重視しているからだが、今後は議論で何かを導き出すところまで課題にすべきだろう。飛び込み参加者にとっては、自分の知らない考え方に触れてすぐに意見をまとめて発言することができなかったこともあるだろう。

・参加者から夫の田中正造の説明をしてほしいと言われた。確かに、県外の人には簡単な説明が必要だった。

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