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書評、映画評など

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書評、映画評など載せていきます
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記事一覧

シャミッソー『影をなくした男』について

シャミッソー『影をなくした男(ペーター・シュレミールの不思議な物語)』を読んだ。 主人公ペ…

映画『夜明けのすべて』と味のない炭酸水

映画『夜明けのすべて』を観た。劇場で観たかったけどいつの間に終わってしまったので、配信直…

『百年の孤独』と忘れる読書について

『百年の孤独』の文庫版が今年6月に発売された。これがとても売れているらしい。近所の図書館…

ハーマン・メルヴィル『バートルビー』について

ちょっとでも本や映画が好きだったら、ほとんどの人は心の支えとなっている作品があると思う。…

六冊目『世界は「関係」でできている』カルロ・ロヴェッリ 感想

20世紀初頭、物理学の世界では古典力学から量子力学へのパラダイムシフトが起こった。古典力学…

五冊目『マルクスその可能性の中心』柄谷行人 感想

世界を世界たらしめているものとはなんであろう。なぜ、世界はこのようになっているのか。その…

四冊目 『ゴドーを待ちながら』サミュエル・ベケット 感想

笑いは人生を豊かにする。笑っている本人も、それを見ている他者も。 しかし反面、笑いは世界を無に返してしまう恐ろしい側面がある。この『ゴドーを待ちながら』は極限まで世界を無意味化する作品である。 終始、登場人物たちの会話が噛み合っていない。舞台にある一本の木に対して「喬木」か「灌木」か、渡した食べ物が人参か大根か蕪か、などなど殆どの部分で噛み合っていない。 普通の物語がある小説では、会話が成り立っているか、成り立っているようにみせている。登場人物同士の会話が伝わっていなければ

三冊目 『パイドロス』プラトン 感想

 ソクラテスは生涯、本を書かなかった哲学者で有名だが、プラトンの対話篇『パイドロス』では…

主催者の自己紹介記事の準備 #5

自己紹介記事の続きです。今日も好きな本を紹介していきます。 今まで書いた自己紹介記事 #1

主催者の自己紹介記事の準備 #4

自己紹介記事の続きです。今日も好きな本を紹介していきます。 今まで書いた自己紹介記事 #1

主催者の自己紹介記事の準備 #3

自己紹介記事の続きです。今日も好きな本を紹介していきます。 今まで書いた自己紹介記事 #1

主催者の自己紹介記事の準備 #2

自己紹介記事の続きです。今日も好きな本を紹介していきます。 #1 旧約聖書「ヨブ記」 読書…

主催者の自己紹介記事の準備 #1

「ゆっくり本を読む会」がどんな会なのか、紹介記事を書くためにまずは主催者の自己紹介を書い…

二冊目『カフカからカフカへ』モーリス・ブランショ 感想

ブランショを読んでいるとなにか気が狂いそうになる瞬間がある。この狂いそうな感覚はあの彼岸の入口が見えそうになるからである。われわれに必ず訪れる、しかし絶対に到達できない「死」。それを「書くこと」の空間へ見出している。怖くもあるが、そこに触れそうになる時とてつもない快感が押し寄せる。 カフカは好きな作家であるが、この本を読むとカフカについて一言も言えなくなってしまう。カフカに対して何かを言うこと自体がカフカから離れてしまうからである。 この本ではカフカ自身が何も至らなかったこ