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music/theater

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音楽・演劇いろいろの感想や考察など
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#鬼束ちひろ

ずっと想いを抱きつづける

2018年末ライブ『BEEKEEPER』の時よりもずっとふっくらして、元気そうで、よかったと思う。 インタビュアーの質問を最後まで聞かずに話し始めるところも、ずっと前からそんな感じだったような気もするし、あなたらしいねと思う。 笑顔が多くなって、よかったねと思う。20年前よりも話せることが増えたり意固地になっていたものが解れてきたのだろうねと思って、ただただ、よかったねと思う。 中学生になったばかりの4月、もうだめだと思って初めてしょぼいリストカットに及んで親に見つかってす

聞こえなくても

ただ一曲好きな音楽が、いつまでも聴いていたい音楽がたった一曲あるだけで昼間がどんなに死人であろうともこの夜だけは無敵と思う。 昨日と同じ、おそらく明日も明後日も同じ、この部屋はいつまでも6畳から広がることはないがわたしに見える世界は音楽ひとつで変わる。海にも行ける、風が吹く、秋に差し掛かる1ミリ手前の、さみしさを滲ませた風が涙を冷やして髪がぶつかる。もちろん想像上の涙が。だけど実体以上の涙があふれて霧散するならわたしはどこにだって行けるだろう。涙は概念であろうがわたしから生ま

I My Me Mine 或いは届かないSehnsucht.

 物語るとは、神に自分の存在を証明すること。  わたしはここにいる、ここで、息をしている、今ここにいる、ここにいる、ここで生きている、生きている。わたしの生を、この呼吸を、存在を、全力で訴えるため声を上げるもの。  --- --- --- --- 歌手 鬼束ちひろについて書きました。 10,000字を超えるという自分でも引く結果になったうえ多大な妄想と誇大解釈オンパレードの力技で押し切っています。 フィクションとしてお楽しみください。 「自分を、たかが歌手風