見出し画像

兄から妹に/同種造血幹細胞移植

移植では、当日をDay0とし、それより前の日をマイナスで、移植後の日をプラスで表記する。

Day-3
つまり移植日の3日前、娘は無菌室に移った。
そして、
Day-2. Day-1の二日間、午前と午後の計4回、放射線の全身照射がなされた。

11/20、Day0
いよいよ骨髄移植の日。
午前11:00お兄ちゃんの腸骨から採取されたと骨髄液が
午後1:30、妹の点滴に込められた。完了まで7時間を要した。最後は生理食塩水ですすぐ様に、一滴の無駄も無く流された。

Day+1〜10
白血球数は0〜300の範囲を上下。
この間、娘は嘔吐と下痢の連続だった。
その様子を僕達はガラス越しにしか見ることができなかった。
受話器で会話はする事はできたけど、グッタリとした娘には、それさえ負担で手を振ってやること位しかできなかった。

お兄ちゃんの造血幹細胞は生着したんだろうか?

Day+11.ようやく白血球数が500になり、上昇の兆し。嘔吐の回数も減ってきた。

Day+15、白血球数3100
下痢の回数も減ってきた。熱も平熱で安定した。
代わりに、身体のあちこちで赤いポツポツが出る様になってきた。
もしかしてGVHD?
Day+28
ようやく、無菌室を出て、一般小児内科病棟へ。

この年のクリスマスは小児科病棟で迎えることができたんだ。

〜造血幹細胞移植〜
全ての血液細胞の元になる細胞を造血幹細胞と呼び、血液がん、白血病の移植では、この造血幹細胞を移植する
この細胞は、通常、骨髄の中に常駐している。なので、移植が普及した当初は、単純に骨髄移植と言っていた。
その後、この造血幹細胞は、ある状況下では、末梢血(体内を循環している血液)から採取することができる様になった事、あるいは臍帯血(分娩時のへその緒)に多く含まれる事も知られ、それら採取場所の違いから単に骨髄移植とは言えなくなり、現在では造血幹細胞移植と呼ぶ様になった。
これに対し、HLAの適合度合いから分ける呼び方もある。
以下は度合いの高い順
同胞(兄弟間)フルマッチ移植
非血縁フルマッチ移植(ドナーは骨髄バンク、臍帯血バンク)
ハプロ移植(HLA半合致移植)(親子間)
HLAの観点からだとハプロ移植は50%しか合っていないのだが、
免疫(拒絶、GVHD)の要素となる抗原は必ずしもハプロタイプ評価の4座だけでは無く、マイナーな抗原もあり、その点では非血縁より親子間の方が適合の度合いが高いとも考えられる。
また、移植後にドナーのリンパ球の追加する場合にも親子間であれば即座に対応できるので、その点でも優位だ。
いずれにしても、拒絶、GVHDの制御が鍵となる。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?