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[物語のある英語]~第6回~Break a leg!頑張る君には足を骨折してほしい!?

-こんにちは!スロバールです。

言葉は人によって作られた。だからその過程には物語があって味がある。
単語帳では語られない物語を味わって味わい尽くそうというのが本シリーズの目当てです。

第6回目は「Break a leg!」についてです。直訳するとbreak (壊す・折る) + a leg (片足を), そして動詞の原形から始まるので命令法であることから「足を骨折してくれ」という意味になってしまいます。無理のあるお願いですが、英語圏では重大な局面の前でよく言われるフレーズなのです。

◆目次◆

・break a legの意味
・由来1~古代ギリシャの話~
・Break a legの使い方
・由来2~ドイツの話~
・日本語では?
・関連表現 ~英語で「頑張れ」、どう言う?~

これもやはり単語だけ眺めていても、足を眺めていても、もとになったストーリーを知らないと分からないのです。

◆Break a legの意味◆

この表現の意味は「頑張れ!」「幸運を祈ってる」という意味です。

骨が折れても、全身傷だらけになっても、なお力尽きることなく頑張れ...というむごいイメージでは決してありません。ご安心を!

◆由来1~古代ギリシャの話~◆

古代ギリシャの遺跡では数々の劇場の跡が発見され、当時様々な劇が流行していたことが見受けられます。なんと中には、あのギリシャの青々とした海を劇と共に見渡せるように設計された劇場もあるのだとか。

大海原を背景に、観客総立ち、鳴り響く拍手に波の音をかき消さんばかりの大歓声。役者人生の夢そのものだったと思うのですが、当時ギリシャには拍手の習慣はありませんでした。

代わりにその場でドンドンと大きな音が出るように足踏みをしていたそうです。中には感動のあまり、強く足踏みをして足の骨を折る者が現れたりするのですが、これがbreak a legの由来の1つだと言われています。

つまり、観客が骨折する勢いで感動するくらい良いパフォーマンスになりますように→break a leg =good luck なのです。

◆Break a legの使い方◆

とても単純です。Good luck !と置き換えて使うことができます。
・Are you nervous ? Don’t worry, you’ll be alright, break a leg !
 (心配なの? 大丈夫大丈夫、幸運が味方しますように!)

簡単なのでこれ以上用例はなくても大丈夫でしょう。

◆由来2~ドイツの話~◆

ドイツ人は英語の上達が早いと聞いたことはありませんか?その理由は英語はドイツ語から大きな影響を受けていて、英語とドイツ語が似ているからです。そうなると、英単語の由来がドイツ発祥であってもおかしくはないのです。

とあるドイツ語の方言の中に「Hals- und Beinbruch」という表現があるのですが、これを英語にすると「Break your legs and necks」になります。直訳すると「足と首を折れ」になるのですが、もちろんこれも「幸運を祈る」という意味で用いられています

ドイツ語では足だけでは物足りずに、首までも折れと要求がやや厳し目です…

死んじゃうよ。

◆日本語では?◆

日本ではGood luck (幸運を祈る)と言うことよりも「頑張れ」ということの方が多いのではないでしょうか。実は日本語にも何かを折ることで、「頑張る」ことを示す言い方は身近にあります。もうピンと来ましたか?

・骨を折る
・骨折り損

折るだけでは足りません。

・身を削る
・身を粉にする
・粉骨砕身する

パラパラの粉になってしまいました。

ついさっきまで英語よりドイツ語の方が強烈に見えていましたが、日本語の方が断然強烈だと思いませんか?

◆関連表現 ~英語で「頑張れ」、どう言う?~◆

英語圏で一番使われる「頑張れ」の言い方はGood luckですが、他にも言い方はあります。

I know you can do it !
 (できると信じているよ!)

I’m on your side !
 (応援しています)
これは私の好きな表現です。Sideは側(そば)という意味ですがこれにonが付くことで、「あなたに味方して」という意味になります。

私は、単に「頑張れ」と言うのは無責任であると思っています。命令形ですし、言った本人が何かをするわけでもなく、かといって心の中で応援している可能性も低いでしょう。

対して、I’m on your sideには言った人が何かしてくれそうな印象があります。「私はあなたの側についています」ですから、相手陣営に居るということです。相手陣営にいるのであれば、何かしますし、例え何もしなくても「居る」というだけで得られる安心感を与えることができます。それがゆくゆくは応援になるわけです。

と、そんなことから単に言い放つ「頑張れ」よりも、I’m on your sideの方に心が打たれるのは私だけでしょうか。

いつも記事を読んでいただきありがとうございます。英語学習に苦しんでいる方、つまらなそうに嫌々語学を学んでいる方が周りに居ましたら、シェアしていただければと思います。楽しく、深く、語学に取り組める人が1人でも増えたら幸いです。