台湾と日本

台湾から彼女が初めて私のところに遊びに来た。

海辺の古民家を譲り受けて、彼女にその家をデザインしてもらうために、家の測量に行った帰りに温泉に行った。

そこで見た彼女が不思議な張り紙について書いてみよう。

よく温泉や公共のお風呂には「イレズミお断り!」の張り紙がある。

彼女は風呂上がりにオレにこう聞いてきた。
「どうしてタトゥーの人は風呂に入れないですか?」
ごもっともな疑問である。

なぜなら、世界的に言うとタトゥーは単なるファションであり、若い女性でも何の抵抗もなくファッション感覚で身体にタトゥーを入れている。
それなのになぜ日本はダメなのか?

彼女には刺青をしている人たちの多くが反社会的勢力というグループで括られて、社会から抹殺されようとしているのだと説明してみた。
もちろん、そういう人たちが日本の法律に反して暴力と非人道的な行為で多くの人たちを苦しめてきた現実もあるだろう。それが許される行為ではないということも重々承知した上で、あえて書こう。

刺青をしている=反社会勢力(暴力団)という誤った認識が蔓延っているという事実を認めて然るべきではないだろうか?
過去に暴力団において活動していた人たちも、警察という国家権力あるいは法律という私的なルール変更に伴って、社会から締め出しを食って生きていけなくなって足を洗ったに違いない。そういう人たちが真っ当にー果たして何が真っ当なのか議論する必要があるがー社会で働き出した人たちでさえも、過去に彼らの皮膚組織の奥深くに精巧なデザインを消せずに共に排除されてしまうことには疑問を感じる。

ましてや、海外のファッション的タトゥーと混同して、刺青もタトゥーも「お断り」の張り紙をしてしまっていいものだろうか?
「差別をなくしましょう」と言っている国や行政がこぞって差別を助長しているように感じてしまう。
タトゥーや刺青の人たちがとても怖い人たちなので近づいてはいけません!などという変な妄想が社会に蔓延ってはいないだろうか?

世の中は常に共同幻想で成り立っているから、なかなかそれを阻止できないのだが、社会の構成員である我々一人ひとりが「なぜダメなのか?」「どうしてそうなったのか?」を考えられる社会がとても正常なのではないだろうか?

コロナのマスク問題にしてもしかり、自分で考えて行動することを拒み続けるアホな日本の社会には毎度ながら呆れかえる。

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