Peace Keeping Orchestra(memo)

カザンを連れてPKO日本支部に戻ってきた。

まずは宮本に会いにいく。

「止せと言ったのに、覚悟はあるんだろうな?」

「行ってこいって言ったじゃないっすか」

「両方言った。まぁ書類仕事がめんどくさくてさ。手続きは済んでる。後はこの書類にサインを入れておいてくれ。君がカザンか、死神を宜しくな」

「お兄ちゃん、この人も日本人?」

「この宮本という人は日本人。僕はフランス人と日本人のハーフ。」

「ヘイソハカクベツノオヒキタテヲタマワリ、アツクオレイモウシアゲマス。」

宮本「ハハハ、白土よりずっと礼儀正しい日本語を使うんだね。よろしく」


僕は知っていてわかっていなかった。奇麗な花が咲いて枯れただけのこと。そう誰かが言った。それだけで涙を流す人間がいる。僕は男だ。男は泣かない。母は言っていた。男の子は大きくなったら泣けないのだから小さいうちにうんと泣いておかないとね。

涙は自分にも他者にも残酷な答えを突きつける。

”あるべきはずのもの”が”ない”。不在という存在は常に僕らに”気付かせる”。

僕は知っていたはずだった。ただ、わかったんだ。あの時、懸命に病気と戦い生きようとする彼女に。そして残酷な答えに。僕の言葉は目からこぼれ落ちた。彼女はただ「死にたくない」といって泣いた。

蝶が羽を休めに枝にとまる。その時間、僕らは理解しあえた。

コノサカヅキヲ受ケテクレ

ドウゾナミナミツガシテオクレ

ハナニアラシノタトヘモアルゾ

「サヨナラ」ダケガ人生ダ

「第五章 死神の花嫁」


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