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流行ってるからリファラル採用してみたら、全く機能しない話 Vol.69

新年あけましておめでとうございます!!
皆さんにとって寅年の2022年が幸多き一年になりますように。

年始の一発目だからほんわかした事を書こうと思ったけど、そんなこと出来るはずもないので、採用にまつわる俺の失敗を書きたいと思います。


昨今のエンジニア市場

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わが社はSES(システムエンジニアリングサービス)事業をしてる。いわゆる労働集約型のビジネスで、人材がシステムやアプリを作ったり運用したりしてお客様から費用をいただくお仕事だ。
表現的にどうかって思われる人もいるかもしれないけど、見方を変えれば人材が商材みたいな側面があるのは確かだ。

ただここ数年、人材の仕入れは非常に難しくなってきている。
企業に求められる競争環境が厳しくなっているのが要因だ。競争力をつけるために企業のDX推進が必要で、それに伴いエンジニアニーズが増加しているからだ。

そういった状況から出来るエンジニアがめちゃくちゃ求められる今、人材マーケットではチョーが付くほどの売り手市場なんだ。

人材獲得競争のデッドヒートは、出来るエンジニアを獲得するのに人材紹介会社に対して100%の成約料金を支払う大手さんが散見されるほどだ。 
※年俸1000万の人材成約なら手数料として年俸同額が紹介会社へ支払われる


エンジニア売り手市場の中で…

わが社も業績を上げるために、いい人材を採用したいのは他社と変わらない。ただ残念ながら、わが社のような弱小企業ではその採用費を支払えないばかりか、もっと言えば、見た目がイケメンの大手と比べ、ブスな中小にわざわざ好き好んで寄ってくる美人はいないわけで・・・

当たり前のことなんだけどね。

美人が寄ってくるほどの男じゃなかったら、今は美人じゃないけど、原石を集めて美人にすればいい!と思った。
だから、経験のない子を育てようと教育体制に力を入れてきた。

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経産省でも発表されてる通り、ずっと日本は慢性的にエンジニア人材不足に悩まされている。

若い子たちの市場価値を高めることが、うちの会社的役割だと考えると、経験者を採用という勝てない競争で無理するよりかは、多少遠回りでも未経験養育は日本市場にとって意味あることなんじゃないかと思っている。 


未経験の人材と言っても、採用するには求人媒体(マイナビ・リクナビなど)や紹介会社にコストを支払うわけで、それに加えて未経験者の採用は【損益分岐/人】にだいぶ時間がかかる。
※損益分岐/人:その人の稼ぐ累計金とその人に使ったお金(採用、教育、人件費など)がプラスマイナス0になるタイミング

そこで、コストを抑えるもう一つの採用パターンとして、社員から友達を紹介してもらえないのかと考えたわけだ。いわゆるリファラル採用だ。

紹介会社から採用したら紹介料を払うのだから、社員が紹介してくれて入社したらその社員に紹介料を払うことにした。よく言えば社内外問わず、同一労働同一賃金だ。

当時一番安く未経験を紹介してくれた人材紹介会社への支払いは30万/人だったから、同額を社員に支払うことにした。
下手したら社員の一か月分の給与だし、エンジニアの周りにはエンジニアがいるに違いないし、人づての紹介なんだから、離職率も下がるだろうと考え、社員にとっても会社にとっても良いことしかない。
俺はそう思った。


リファラル採用で起きた失敗

・・・でも この制度を始めたはいいものの、びっくりするほど誰も動いてくれなかった。

なんでだ?

友達が居ないのか?
それとも、人望がなくて仕事の相談をされないのか?
え?まさか動いてもらうには金額が足りないのか?
ん??
さすがにそんなわけないよな??



答えは俺が想像する中のどれにもなかった。

結局動かない理由は、わが社を知人に紹介するほど社員たちの中に自信や 誇りを持ってる子がいないからだ。



俺が作ったこの会社に、魅力がなかっただけの話なんだ。

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俺はこれを理解するまでまた時間をかけてしまった。

社員たちに友達がいないのではない、条件の悪い男に自分の女性友達を紹介できないのと同じ理論だ。
「変なの紹介しないで!」って後で怒られるしね。

客観性のない俺は必死に会社をやってきているものだから、周りが見えてない分、自分がそこそこのいい男(いい会社)だと勘違いしてた。


今思えばおこがましくて、恥ずかしい限りだ。

また後に一部のメンバーから、友人を紹介する動機にお金が絡むこと自体、紹介業者じゃない限り理解されにくく紹介された側の心象に影を落とす的なことを言われた。

言われた当時は、確かにネズミ講みたいなイメージだな~って納得した。

だけど、今考えるとただの妬み僻みの心情のことを言っているんだと思う。
セールス行為はそもそもどかっからお客さんを連れてきて制約させることだし、それに対して成約成果として報酬が支払われていることを考えれば、なんらおかしくはないはずだからね。


結論、5年ほどリファラル採用の紹介費を30万支払ってきたが、社員から紹介された人材は、数名程度だった。

それほど機能していると思えなかった俺はこの制度を廃止することにした。

紹介したいと思ってもらえる魅力ある会社にするのが本質的な課題解決で、パパ活じゃあるまいし、お金だけで解決する問題ではないと思ったからだ。

良い悪いの話ではないが、お金で来る子はお金で去る。簡単な話だ。


この報酬制度を無くしてから数年経つが、やっと最近ほんの少しだけ社員たちから友人を紹介してもらえ始めた。


少しばかりだけど、社員たちに自信や誇りがある証拠なんだろうと勝手に思えるからうれしい限りだ。


まだまだだから、良い男(良い会社)に俺はなる!!!

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