SaaS Conferenceに行ってきた話

SaaS Conference Tokyo

1. 3年連続300%増のSaaS企業のHard Things

 - 創業6年目で、最初の2年はHard Thingsだった。
 - PMFを探すことに相当苦労した。難しいのが2つで、VerticalとHorizontalに属しているSaaSがあると思うが、ヤプリはHorizontal SaaSでどの業界から始めるかわからなかった。
 - ターゲット企業サイズがわからなかった。テックタッチでセールスやろうとして、スモールビジネスで入ったのがミス。
 - 最初は熱狂するユーザーにヒアリングしてプロダクトを開発していた。現メルカリの執行役員やイケダハヤトさんが使ってくれていて、ゲームの攻略アプリや、メディア系を対象にしていたが、マーケットが小さかった。その後、株主から音楽業界の人を紹介してもらったが、音楽業界に所属している人々はシステム投資への意欲が低いのと、お金を払えるアーティストで考えるまったくいなかった。最後にあたったのがファッション業界で、バズった。まったく戦略的ではなく、試行錯誤した結果。
 - 拡がりを持つ市場化かどうかを考えると、もっとPMFに早くたどりつけたと思う。
 - カスタマイズについては、プロダクトのロードマップに沿っているか、1社で利用する機能ではないか、お金を貰えるかで判断する
 - 当初はテックタッチでやっていたのも失敗。Self Serveはものすごくセットアップが簡単じゃないと難しい。
 - self serveからField Salesに振り切ってからは価格を出さずに、見積もりやお問い合わせの体系にし、説明商材を用意した。
 - 潜在顧客とのタッチポイントを増やすために展示会、カンファレンス、自社イベントを実施するようにした。
 - 展示会では、コンパニオンもいれて展示会でのセミナーも、プロに委託した。セミナーは展示ブースから出た廊下で注意されるギリギリの部分でおこなった。盛り上がっているように見えるからそうした方が良い。
 - イベントはROIは特にみていない。CACで見ている。意義があるものだと思っている。 
 - 上記で得た名刺についてはすぐに荷電。一日10%で荷電成功率が落ちていく。
 - 自社イベントでは交流会やプロダクトのロードマップを紹介している。
 - 先日、CS Dayというものを開催してカスタマーサクセスを全社に浸透させるイベントを実施した。内容は、各チームに分けて全顧客の改善施策の発表と表彰を実施した。社内でカスタマーサクセスを向き合う文化作りには非常によかった。
 - 社外のカスタマーサクセスだけでなく、社内のカスタマーサクセスも必要。人事を早い段階で雇って社内の環境を整える必要がある。
 - 入社3ヶ月でオンボーディングするプログラムも用意している。最後に表彰してあげる。
 - ARRの0-1は創業者の気合。1-10はセールスフォースのThe Modelのような分業で達成できた。今後は10-100を目指す段階だが、もっと解像度を上げて、組織を科学することで改善していく。

2. 高速インサイドセールスの立ち上げと拡大


 - smartHRではプロダクトが良くて問い合わせが相当多かった。もともと、セールスよりも問い合わせ対応が強かった。
 - 反省点は、大量の新規リードを質高くさばけていなかったこと。目標設定がなく、データがなく、未来の流入予測がたてれなかった。
 - リードの件数が1人あたり300件。セールスフォースで70件。信じられないくらいのリード数
 - マーケチームがチャネルを細かくわけてくれていたので、LPからの流入や価格の見積もりを強化した。
 - 毎月110%成長のために、The modelを活用してマーケがほしい情報などを得ていった。セールスフォースのTHEモデルは絶対にやるべき。
 - インサイドセールスは内勤でレベルの低い人がやってもだめ。ヒアリングを正しく行うためにトップセールスがやらないといけない。
 - 最初の方は、商談数をあげることを目標にしていた。とにかくプロセスを細かく分けて要素分解しておくことが必要。ホットリード>MQL>SQL>成約>CSというプロセスでどういう情報があったら次のフェーズかなど、明確にする。カスタマーサクセスも、顧客への質問項目を決め、毎年更新していく。
 - インサイドセールスチームが最も重要であることが、本来下に見られるチームが社内で評価されてたのがよかった。
 - マネジメントで気をつけているのは、若手を採用して空アポ等とってしまって質が低下することを避けること。
 - Hubspotなどメールの開封率が変わっていくので、メールでアポ取れる場合もある。荷電数のみをKPIにしない。
 - セールスフォースでは、教育体制に関しては、9ヶ月目までトレーニングしている。単位制にして、必須科目をクリアできないと昇格できないというカリキュラムを用意している
 - 研修の中では。インサイドセールスの教育をしているわけではない。製品の説明と製品の案内は最後にするという手法を教えている。テレアポのテクニックを教えているわけではない。
 - データが整備されて分析できる状態であればツールをセールスフォースにする必要がない。

3. Deep Tech × SaaSのビジネス構築


 - SaaS + ハードウェアの話で、プロジェクトをどのようにリカーリングしていくかの話。直接的なビジネスモデルが違うため、割愛。

4. CSとセールスが喧嘩をせずに仲良く連携する方法


 - 新企獲得時の獲得コストはアップセルの4倍。CSとの連携が必要。ただし、セールスとCSは相反する存在。
 - 評価の平準化が必要。営業は獲得率、クローズまでの時間、CSはNPSを毎月やって、CSの評価にすること。
 - 他のお客様に紹介したいか?という質問を投げて具体的な数値を出している。
 - セールスとカスサスを一つのユニットにすることで、チーム間の分断をなくす体制作りを実施している
 - CSと営業の協業メリットは、顧客の紹介を受けられるう、アップセルにつなげられる、LTVの継続、高収益という点
 - セールスとカスサスの協力ステップは、まずセグメントにマッチしないクライアントを獲得しない。そして、引き渡し手順の明確化をし、フィードバック、情報共有のサイクル。
 - 意思疎通ができていないと感じたら、営業とCSを1週間入れ替えを行い、業務を行うことで双方の業務理解をさせている。
 - ボーナスの体系を細かく定める必要もある。アップセルのときにカスタマーサクセスだけにボーナスをつけると、営業が営業時にまとめて売るという行動をしセールスサイクルが長くなる。また、営業にボーナスをつけると、カスタマーサクセスがアップセルを提案せずにLTVのみにフォーカスしてしまう。
 - CRMで担当者の情報を相当細かく管理する。営業とカスタマーサクセスが細かく管理できるようにする。
 - SBAという役職を設置している。営業に特化した分析人間で重要な指標のトラッキング、報告、管理等を行う人。若手でも良くて、報告漏れや営業やカスタマーサクセスが隠したい情報などをちゃんとミーティングなどで指摘する人。
 - PoC(有料トライアル)をどんどん提供する。1ヶ月目のものは、2ヶ月目に払ってもらう。機能理解と満足度のため。

5. IPO後も高成長を続けるSaaSプロダクトと組織


 - セールスフォースの導入でエンジニアから反対受けて内製化したが失敗した。社内の管理ツールは世の中のSaaSを使うべき。
 - プロダクトの開発は、80%のユースケースを最もシンプルなUIで設計するのがよい。Speedaで企業比較の機能があったが、相当煩雑な画面になった。表示項目を極限まで絞って整理された画面に改修した。いきなりユースケースで100%はいらない。そこから外れるものはクリック数が多くなっても次の画面に置いて良い。一覧画面で列の追加・編集する機能なんて、いらない。次の画面で編集させたほうがよい。
 - メジャーユースケースにフォーカスし、マイナーユースケースを別の画面にまとめるクリック数が多くても良い。
 - ターゲットはまず、解約率が低いところにマーケしていく。
 - ヒアリングに重きを置きすぎるのはいけない。感覚を信じないと新しいものを作れない。感覚を信じて、感覚を言語化し、それを検証していく。
 - エンタプライズにいくべきという発想は避けたほうがよい。スタートアップに必要なのはスピード。スピードに勝るものはない。
セールスサイクルが短い、オンボーディングはやい、FBが多いといったユーザーで早くPMFを達成していく。Speedaは、エクイティファンドから広めていったし、FORCASもそんな感じでマルケトなどを使いこなしているスタートアップから始まった。
 - 小さなユーザーでコアの機能をおさえていくことも重要。
 - 攻める市場を選定し、どこで独占するのか。ターゲティング、リード情報一元化、商談管理、契約情報管理というファネルがあるが、テクノロジーは逆で進化している(世の中のプロダクトは逆の順に多い)。ターゲティングの領域はまだ進化がないと判断し、ターゲティングにフォーカスしてもう一つプロダクトが必要であれば作っていく。そういった市場感が重要。

6. SaaS事業の収益を倍増するカスタマーサクセス


 - カスタマーサクセスはチャーンを下げることと、クロスセル、アップセルにつなげることが主
 - Smartsheetでは、顧客数8%で、売上60%伸びている。カスタマーサクセスを通じてアップセルやクロスセルにつなげていくことがいかに重要か。
 - 新規獲得よりも、アップセルのほうがCACが4.2倍安い
 - Horizontal SaaSでACV高のサービスはSE/コンサル経験者を置いたほうがよい。ACV低のサービスは経験がいらない。Vertical SaaSでACV高 は業界経験社がなるべきでACV低なら業界知識があると望ましい。
 - 初期は、顧客個別の利用状況の可視化、ログイン率、主要機能の利用状況、ライセンスの有効化率をとる。
 - あとはオンボーディングのテコ入れでプロセスの見直し、Time to Valueの最短化、Customer Efortの最小化
 - HARMOSのデータ分析はエクセルでやった。どこに影響を与えているのか。エンジニアと協力してい必要なデータを出していき、チャーンに影響を与えている要素を洗い出した。ただ、エンジニアに依頼して、リソースなくなってきたときに数字を出すのが面倒になる。
社外のツールを利用する必要がある。
 - 利用率が低い顧客が意外と満足していたり、利用率が高いと不満があったり、顧客に直接訪問することも必要。数値に全ては表れない。
 - セールスからカスタマーサクセスへの顧客引き継ぎが難しいHARMOSでは導入時に使い方の説明を行っている。そこで密にコミュニケーションをとっている。
 - ロイヤルカスタマーが、どうやってロイヤルカスタマーになったかを見ると意外と小さな施策がきいていることが見えてくる。
 - カスタマーサクセスの文化を社内に入れるには、オンボーディングの成功をなるべく言葉で定義する。サクセスマップを使い始めている。
 - カスタマーサクセスの採用では、誰のためにこういうことをやって成功したなど、顧客思考の人が向いている。カスタマーサクセスやりたいですという人よりも、顧客価値を提供したいという人がよい。

7. 急成長企業の最強の右腕


 - 高いIQとエゴを言わない人材を採用しろ
 - 採用の際には相手のプライベートの話をする。バックグラウンドを採用時に聞く必要があるのは、日常生活が本人のリスク意識や野心で表れるため。
 - リファラル採用は、採用時にバックグラウンドのチェックを短時間で正確に行うことができるため有効。
 - メンバーの才能を見極めることと事業をスケールさせる機会を探ることが重要
 - 個人最適の考えは一切許さず、全体最適(特に会社にとって何がメリットなのか)だけを考える必要がある。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?