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air (to-mei)

前回に続きまして、個展「air」振り返りシリーズ第2弾をお届けします。


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今回の展示では、全ての作品が透明なパッケージに包まれておりました。過去の展示やショップ販売の際、袋に入った状態で並ぶことはなかったので、違和感を持った方もいらっしゃったかもしれません。


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その意図するところは、必ずしも時世からの「安全対策のため」ではありません。


「個展づくり」スタート

個展アイデアを練る際、私の場合は「作品から」ではなく、先に「空間から」考え始めます。IROさんでの開催を決めて真っ先に思ったのは、「高い位置で作品を見せたい。棚などの什器を使わずに。」でした。

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そこで思いついたのが、「透明な袋に入れる」というアイデア。

ゆえに、まずは「適した袋が入手できること」が最重要課題でした。幸いなことに浅草橋のシモジマで、理想の透明度・硬さ・サイズ感のものが見つかり、まだ何も制作していないにも関わらず、この段階で半分くらいは「今回の展示、何とかなりそう」と思えたのでした。

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何より良かったのは、定番作品である「BROWN BEAR standing」にぴったりのサイズだったこと。ここから展開して、いろいろな動物を「standingタイプ」で作ることにしました。


一方、日常は…

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ゆるゆると展示準備を進めながら、日常生活においては、どこへ行っても透明なビニールシートやアクリル板だらけの世界。やがては慣れ、ぼんやり受け入れつつも、時折引いた目で見た時にはやはり「奇異なもの」として映る。

そんな日々の中、度々頭の中をよぎっていたのが「透明な仕切り越しに眺める世界」というフレーズでした。


透明な袋 × 透明な仕切り越しに眺める世界

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そういった流れで、ある瞬間に別々で存在していた「透明な袋」と「透明な仕切り」がつながったのでした。実は、「せっかく手触りが魅力の羊毛フェルトなのに袋に入れるのもどうかな…」という思いも多少あったのですが、時世と結びつけられることに思い至ったおかげで、「高さを出す」以上の必然性を得ることができました。


空間も

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そんなこんなで会期スタート。

展示が始まるまでは透明袋にパッケージされた作品だけを「時世のメタファー」として考えておりましたが、改めて会場を眺めた時、IROさんの大きなガラス窓もまた「透明な仕切り」で、ギャラリーそのものも何やらコンセプチュアルなように見えてきたのでした。


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もともと「動物」への思いは薄めで、かといって他に伝えたい強い何かがあるわけでもなく、それなのに展示をやりたい意欲だけはあって、毎回展示で見せることの意義の弱さに困り果ててしまうのですが、今回は「透明な袋」がトリガーとなって、何を作るかが決まり、文章が生まれ、「今」的なものが表現ができたので、「何はともあれ状況から作り、引き出す」というやり方もアリなのかもしれない・・・などと思ったり。

次回は「チェキ」について書こうと思います。


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