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負け続けて春がくる

ハルウララという競走馬をご存知ですか。

ひと昔前、サラブレッドなのに、あまりに勝てないことで話題になった馬だ。

結局、113戦0勝で競走馬人生を終えた。

負け続けるさま、報われないさまを見ると、どこか応援したくなる。こういうことは往々にしてある。

ハルウララにも感情があっただろうが、僕ら人間にはなかなかわからない。

ただ、僕が彼女だったら、嬉しくなかったと思う。

僕はメロディを作るとき、ポップであることを目指す。たくさんの人にとって聴きやすいからだ。

売れ線という言葉がある。売れ線上等だ。あれをバカにする人たちは、たいてい自分じゃ売れ線を作れない。

これとは対照的に、気にかけていることがある。

負けていることや、苦しんでいる自分をウリにしないことだ。

そういうものが滲み出てしまうことと、自分で見せ物にするのは決定的に違う。後者は陳腐だ。それだけはやりたくない。

苦しみをウリにすることと同じ土俵で、俺は苦しんでるから大丈夫なんだと、自分の苦しみに甘えてしまう怖さもある。

痛みでもって安心する。リストカットの論理だ。

なあハルウララよ。一番になりたかった?
僕は自分の思う一番になりたくて、いつもちょっとくやしいよ。

「スキ」を押して頂いた方は僕が考えた適当おみくじを引けます。凶はでません。