さまよえる歯科医師

30代女性。ありのままの感情を味わいながら。

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最近の記事

りくろーおじさんの微笑み

その日は大阪で仕事だった。はずだった。 朝イチではじまる仕事だったため、遅れることのないよう新幹線に乗った。 新大阪駅に着く一つ手前の駅を通過する頃、知らない番号から着信。こんな朝早くに携帯が鳴るということは、おそらく良くない知らせで、今から向かう仕事がキャンセルなったという連絡ではないかという予感がした。 そしてその予感はすんなりと的中した。 私の仕事の性質上、当日キャンセルはありうることであり、やむを得ないことでもある。ただ、この日は遠方から移動していたこともあり、私

    • 観客の杞憂

      娘と某新喜劇を見に行った。今回は、子どもの頃から慣れ親しんだスター芸人さんが座長ということもあり、とても楽しみにしていた。 新喜劇といえばお決まりの、決まったボケに決まったツッコミ。この役者さんがこの流れでこうきたら、絶対アレがくるよねという観客の予想に、きっちり応えて毎度同じアレを見せてくれるのが新喜劇の醍醐味なのだ。 だからこそ毎度安心して笑うことができるし、新喜劇が愛され続ける理由はそこにあると思う。 しかし、今回の新喜劇はちょっと違った。座長は「アドリブ祭り」とい

      • 作家になった友人の「覚悟」

        久々にFacebookを覗くと、中学からの友人が「本を出版しました」と投稿していた。 出版社のサイトに飛ぶと、試し読みすることができた。夫とのセックスレスをめぐり葛藤する女性の心情が描かれた小説。没入して読むあまり、途中までこの小説は友人の実体験を書き起こしたのかと勘違いしてしまった。間違いなくフィクションのはずなのだが。 展開に夢中になり一瞬で読み終えた後、心に湧いてきたのは「友人、すげえな」であった。友人の類まれなる文章力もさることながら、それを上回って驚嘆させたのは、

      りくろーおじさんの微笑み