病気について、ループス腎炎とは
症状
ループス腎炎を発症すると、尿潜血、尿蛋白が陽性となり、腎機能障害がみられることがある。重症例では低補体血症や汎血球減少がみられることがある。
診断
尿検査および血清クレアチニン値(全てのSLE患者)
腎生検
診断はSLEの全例,特にタンパク尿,顕微鏡的血尿,赤血球円柱,または高血圧がみられる患者で疑われる。診断は原因不明の高血圧,血清クレアチニン値上昇,または尿検査異常がみられ,SLEを示唆する臨床的特徴を有する患者でも疑われる。尿検査を行って血清クレアチニン値を測定し、いずれかが異常の場合,通常は腎生検を施行して診断を確定し,疾患を組織学的に分類する。組織学的分類は予後を判定し,治療を方向付ける上で役立つ。
治療
腎臓の炎症が強い場合は、ステロイド薬を使い炎症を抑える
活動性を示し,潜在的に可逆的な腎炎に対してはシクロホスファミドおよびプレドニゾン
1-2週間ごとに徐々にステロイドを減量していく
必要に応じて免疫抑制薬を使用することもある
シクロフォスファミドやミコフェノール酸モフェチルなど
ステロイド薬を長期間飲む場合は、合併症(感染症や骨粗しょう症、胃潰瘍など)のリスクが上がるため、必要に応じて合併症の予防や治療を行う
ネフローゼ症候群や抗リン脂質抗体症候群を合併している場合は、血栓予防のため抗血小板薬の使用を検討する
末期腎臓病患者には腎移植
免疫抑制
治療には毒性があることから,以下の特徴を有する腎炎にのみ使用する
活動性を示す
活動性は活動性スコアおよび臨床基準(例,尿沈渣,尿タンパクの上昇,血清クレアチニン値の上昇)によって推定する。
予後不良となる可能性がある
潜在的に可逆的である
活動性スコア
炎症の程度を表す
スコアは細胞増殖,フィブリノイド壊死,細胞性半月体,硝子質血栓,ループ状病変,糸球体白血球浸潤,間質単核球浸潤に基づく。
疾患の進行度との相関はそれほど強くなく,むしろ活動性腎炎の同定を助けるために用いられる。
慢性度スコア
瘢痕の程度を表す
スコアは糸球体硬化,線維性半月体,尿細管萎縮、および間質線維化の有無に基づく。
軽度から中等度の慢性度スコアは,少なくとも部分的には可逆的な疾患を示唆しているのに対し,より重度の慢性度スコアは,不可逆的な疾患を示唆している可能性がある
導入
ミコフェノール酸モフェチルを目標用量3g/日で用いる。
プレドニゾンも60~80mg,経口,1日1回で開始し,反応に応じて6~12カ月間かけて20~25mg,隔日まで漸減する。
プレドニゾンの用量は腎以外の臨床像と再発回数により決める。
維持療法の継続期間は少なくとも1年である。
予後
ループス腎炎患者は,がん,主にB細胞リンパ腫のリスクが高い。動脈硬化性合併症(例,冠動脈疾患,虚血性脳卒中)のリスクも高く,これは頻発する血管炎,高血圧,脂質異常症,コルチコステロイドの使用に起因する。
参考
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