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魔法鎖鋸少女✡平等院ひとみ 1-3話

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「触れてはならぬ秘密! 探さずにはいられぬか?」

静まり返った廃墟に、響き渡るオジサンの野太い声!
ギィ、ギィ、ギィ……。
足音と共に、大広間の戸口に浮かぶ人影!
「宜しい、それも人の性。業とも言うがね。全ては神の導き……」
たっくん、すかさずマグライトを照射!
暗闇に立ち尽くす、神父姿のオジサン!
右手に二本のリード、その先には牙を剥いて唸る二頭のチワワ!
「「GROWL !!!!!」」
「ヒッヒッヒ……ここが君たちのデッドエンドということだなァ!」
オジサンの丸眼鏡がキラリ!
「ヤバいな」
思わずたっくんが一言。
オジサンの歩みと共に、背後から沢山の人たちが出現!
「何て数だ! 今まで、どこに隠れてたんだッ!?」
「茶目っ気でゴソゴソ嗅ぎ回っては、碌な事が無いなァ!」
「「BOWWOW! BOWWOW!」」
二頭のチワワは、リードをはち切れんばかりに引っ張って咆哮!
「もっとも? 今となっては、後の祭りだがなァ!」
オジサンの指差しで、顔を伏せた沢山の人たちが、ぞろぞろ進み出るわ!
「行けェ! 我が僕たちよッ!」
真っ白い作務衣みたいな服を身にまとった、それは……。
グッハハハハハ!!!!!
オジサン、人だかりの向こう側で両手を開き、魔王のポーズで哄笑!
「えっ、何? 何これ、何これッ!?」
ヤバいかも!? ひょっとして地雷、踏んじゃった!?
「お前たち……モルゲンシュタイン教団だなッ!」
いかにもッ! こんにちは少年少女、そして……さようなら

FLICK! 指パッチン一閃!

懐から取り出される包丁、鎌、鉈、手斧、金槌――兇器のオンパレード
信者たちが顔を上げて、私とたっくんを凝視!
大変! みんな無表情だし、何か目が死んでるわ!
「クッククク……我らが再臨の儀式の……邪魔をされては、困るのだよ……」
「「BOWWOW! BOWWOW!」」
吼え猛る二頭のチワワ! 身体は小さいくせに、意外と凶暴ね!
ギュイ―――――ンッ!!!!!
先陣を突っ切るガチムチ禿頭信者の手には、回転する電動ドリル!
「主とその息子そして聖霊よ我々の行いを許したまえ異教を信じし頑ななる輩を我らの手で打ち倒しその聖なる身元に送りとこしえの救済と安寧を……」
ヤバいわ! 何か死んだ目でブツブツ呟いてるし!
それもガチムチ禿頭信者だけじゃないわ!
兇器を握ってこっちに歩いてくる信者全員!
二匹の迷える子羊に、とこしえの救済と安寧を! エイメン!
神父オジサンが、両手を広げた魔王のポーズで一言。
「「BOWWOW! BOWWOW!」」
「「「「「エイメン! エイメン! エイメン! エイメン!」」」」」
私たち二人は、じりじりと大広間の奥に追い詰められてくわ!
「ヤッバいヤバいヤバいヤバい! たっくん、どうしよう!」
「どうしようって……もう行き止まりだよ、ひとみちゃん!」
私たちの背後には、血塗れた祭壇! その上には、金ぴかの十字架像!
私はそれを握り締めると、土足で祭壇に攀じ登るわ!
「たっくん、こっちよ!」
「どうする気だい、ひとみちゃん!」
私はたっくんを無理やり引っ張り上げると、十字架を握って祈祷!
「キエーッ! 神様悪魔様キリスト様! 悪霊退散! 悪霊退散!」
ギャーッ! やっぱりこんなので居なくなるわけ無いわよね!
絶体絶命のピンチよ! どーうしよーう!?
「誰か、誰か助けてえええええ!!!!!」
「ウワーン、こんなはずじゃなかったのに――ッ!!!!!」
「クッハハハハハ! 無駄だ無駄だ! 大人しく我らが軍門に下れ!」
「「「「「エイメン! エイメン! エイメン! エイメン!」」」」」

CRAAAAAAAAAAAAAAAASH!!!!!
天井に大穴! 舞い上がる埃!
屋根を突き破って闖入者!

「エエエエエイメン!」

地を揺るがすような絶叫と共に、着地!
プロレスラーみたいにバカでかい図体の、誰かさん!
こっちに背を向けてるから、誰が誰だかサッパリだけど!
武装信者の軍団が、一気呵成の勢いにピタリと硬直!
「「何だッ!? ……いや、誰だッ!」」
たっくんと神父オジサンの言葉がシンクロ!
「「BOWWOW! BOWWOW!」」
今一人の新参者に、二頭のチワワが吠え声がエスカレート!
バカでかい図体の誰かさんが、ゆっくりとスタンダップ!
背中に羽織ってひらひらする、黒い上着はマント?
……違うわ、袖無しのカソックコートよ!
切り取られたコードの袖から見えるのは、丸太みたいに太い両腕!
タトゥーだらけの腕は、ジャーマンシェパードも撲殺できそう!
フムン……ひとみの頭脳が高速回転!
導き出された、たった一つの冴えた回答、それは!
「間違い無いわッ! その人、変態よッ!

「変態ではないッ!!!!!」

時化った大海原をも凪がせんばかりの、厳かな大声!
神は死んだ……民は信仰を失い……歪なる邪神を崇めた……
変態オジサンが両手を虚空にかざすと!
FLAAAAAAAASH!!!!! 何か変な白光が両手に出現!
だから俺は地獄より蘇った……邪神を殺し……邪教を打ち倒す為……
「き、き、貴様……その顔は、まさか……」
変態オジサンの両手から光が消えると……。

天狗だとッ!? なぜ、天狗なんだッ!?

その両手には……何か、良くわかんない、銃みたいなもの!
「あれはネイルガン……釘打ち機じゃないかッ!」
すかさずマグライトで照らし、たっくんが補足するわ!
ギュイ―――――ンッ!!!!!
無言の静寂を無視して、電動ドリルが回転して自己主張!

「『転向』せよ、邪教徒ども!」

変態オジサンが、右手の釘打ち機を水平に構え!
BLAM! 空気が爆発するような轟音!
「エイメ――」
ZAP! ガチムチ禿頭信者めがけて、釘が脳天直撃!
「あふんッ――」
ドサッ。白目を剥き、鼻から血を流してガチムチ禿頭信者、即死!
ギュイーンガガッ! 電動ドリルが床に落ちて停止!
これには神父オジサンもビックリ!
「ええい構わん、救済だ救済だ! 者共、そいつらまとめて救済しろ!
「「BOWWOW! BOWWOW!」」
「「「「「アッヒャアアアアア!!!!!」」」」」
武装信者たちは突然目を剥いて、泡を吹きながら総員突撃!
『転向』せよ……邪教徒どもよ!
変態オジサン、左手の釘打ち機も水平に構え!

BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!

変態オジサンの両手で、二挺の釘打ち機が咆哮!
爆ぜる空気、飛びまくる釘また釘、武装信者を目がけて一直線!
「キャ―――――ッ!?」
「ウワ―――――ッ!?」
ぶわぁっと舞い上がる埃!
たまらず咳き込む、私とたっくん!
「「「「「ア―――――ッ!?」」」」」
武装信者たちが、額を正確に釘で射抜かれて倒れて行くわ!
……嘘!? これって立派な殺人じゃないッ!?

征討! 神罰! 邪教徒は『転向』だッ!

CLANK!
変態オジサンが、二挺の釘打ち機を上段に構えて説教! 
「何だと―――――ッ!? この数の信者を一人で、それも一瞬でッ!?」
神父オジサンが何か喚いてる!
「ぐぬぬぬぅーッ、やりよるわい!」

俺こそ……神罰の代行者! エエエエエイメン!

変態オジサン、叫んで両腕を十字にクロス!
「こうなれば、私も本気を出さざるを得ないッ――」
BLAM!
変態オジサン、神父オジサンの口上を待たずに釘打ち機を発砲!
「脆弱ッ!」
ヌウッ!?
神父オジサン、右手の人差指と親指で釘をキャッチ!
でも、ちょっと眼鏡を突き抜けてるみたい! 微妙に格好悪い!
「舐めるなよッ!」
神父オジサンは釘を抜き取ると、二本指で圧し折ってポイ!
貴様……その力……この世のものではないな?
「いかにもッ! 今見せよう、私の真の力――」

BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!BLAM!

変態オジサン、やっぱり口上を無視して二挺釘打ち機を連射!
ZAZAZAZAZAZAZAZAP!
効かん効かん効かん効かん効かんッ!!!!!
神父オジサン、上着を脱ぎ捨てて魔王のポーズ!
FLAAAAAAAAAAASH!!!!!
神父オジサンの全身から、赤紫っぽい毒々しい光が溢れ出してる!
メキメキメキメキメキィ……ッ!!!!!
神父オジサンの身体が膨張、服がはち切れて爆散!
グッハハハハハ!!!!!
悪魔よ! 声は野太く、身体は赤紫色に、頭からは二本の角!
「「BOWWOW! BOWWOW!」」
ついでに二頭のチワワも、赤紫の光に包まれて変身!
「「GROOOOOOOOOOWL!!!!!」」
赤紫色の、巨大な双頭チワワモンスターが二匹!

「グッハハハハハ! このままで済むと思うなよ?」

神父改め、悪魔オジサンが哄笑して空中浮遊!
双頭チワワモンスターは浮いてないわ! ちょっとかわいそう!
「神の秘跡を見せてやるッ! 行けッ、我が僕たちッ!
「「BOWWOW! BOWWOW!」」
浮遊中の悪魔オジサンから、赤紫の毒々オーラが拡散!
その行き先は……武装信者たちの、折り重なった死体ッ!?
メキメキメキメキメキィ……ッ!!!!!
オーマイゴッド!?
「「「「「AHHHHH!!!!!」」」」」
死体がッ!? 武装信者たちの死体がッ、立ち上がってるッ!?
「あっ、あっ、あっ、あいつ、何を……」
マグライトで照らしながら、たっくんが戦々恐々。
そういえば私たち、さっきから見てるだけで何もしてないわ!
「キエ―――――ッ! これでも食らえッ!」
私は訳もなくムカッ腹が立って、片手の金十字架像を投擲!
変態オジサンは無言で、振り子みたいに頭を振って回避!
SMAAAAAAAAAAASH!!!!!
武装信者ゾンビの一人に、金十字架像がクリーンヒット!
「やったわッ!」
脳天直撃! 頭蓋骨がボッキリ逝って、たちどころにお陀仏よ!

「フン……黙って見ているだけかと思えば……」

変態オジサン、肩越しにチラリとこちらを窺って一言。
その瞬間、私とたっくんは息を飲んで絶句!
その顔……天狗!?
口をチャックで引き結んだ、メタルチックな天狗マスク!
「無駄無駄無駄無駄無駄ァッ! 行けェ、喰い殺せェッ!」
悪魔オジサンが、私たちを指差して合図!
「「「「「AHHHHH!!!!!」」」」」
亡者の進軍よ!
くどい! 大人しく『転向』せよ……邪教徒どもッ!!!!!
変態オジサン、たじろぐことなく釘打ち機を構え!

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魔法鎖鋸少女✡平等院ひとみ
第1話/冒涜! 魔法少女爆誕!
第3章 おしまい …… To be continued !!

[ APPRECIATION: THANK YOU FOR WATCHING !! ]

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