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名古屋戦~野津田のFKによる勝利

2022年5月28日 サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス エディオンスタジアム広島


 暑い、暑い、暑い。この気温の高さはもはや初夏を思わせる。それなのによりによってデーゲーム。運動量を駆使するサンフレッチェのサッカーにとっては辛い環境である。が、中2日で乗り込んできた名古屋にしてみればもっと条件は過酷なのだった。

 チャイナウィルス感染により前節が試合中止となった為に1週間の間の空いたサンフレッチェにとっては有利かもしれない。だが、チームの核とも言える森島が欠場。代わって入ったのがベテランの柴崎。能力的には引けを取らないものの体力面での懸念はどうしても感じざるを得ないのだった。

 それにも関わらず試合開始と同時に相手ボールへのチャイシングを怠らない。特に満田の動きはすざましく、高い位置でのプレッシングを外されて逆を取られると今度はDFラインまで全速力で戻る。体力のペース配分とかそう言うものは一切考えてないかのようだった。そうやってはめ込んでも奪うことができなかったとしてもボールがこぼれることがある。するとそのルーズボールを野津田が回収してショートカウンターへと繋げる。それによりいい位置でのFKの獲得につながるのだった。

 野津田の左足が炸裂する。ゴールへ向かって飛んでいくボールはGKランゲラック止めるもファンブル。それを柏が頭で押し込む。入ったと思ったもののゴール寸前で柿谷に寄って押し出されてしまったのだった。

 ところがこのプレーでランゲラック負傷。GKのチェンジが行われる。これはチャンス。それだけにシュートチャンスを多く作っていきたい。

 名古屋のサイドチェンジを藤井が掻っ攫うとそのまま縦へ駆け上がる。バイタルエリアでカットインすると強引にシュート。中央で走ってたベン・カリファに当たり軌道が変わった。ゴールへ向かったもののガツンという音と共に跳ね返った。ポストに当たってしまった。そのこぼれをベン・カリファが詰めたものの冷静にGK武田は冷静に処理してしまった。GKのレベルは決して低くないのだった。

 名古屋の粘りつよい守備もありこのまま前半終了。ただ雰囲気は悪くない。このまま前を向くプレーを続けていきたい。より激しく、より速くいくスキッベ監督のサッカーは後半になっても続いていくのだった。左サイドからは柏がドリブルで仕掛けていき前を閉じられれば佐々木のオーバーラップによって攻撃に厚みをもたらす。そして中央のサントスに当てるも前を向けないと落として逆サイドへ。満田がワンツーを使い出ようとすると倒された。今度はよりゴールに近い位置でのFKを得たのだった。

 ボールに寄ったのは野津田と塩谷。左右でキッカーが揃ってる強みだった。が、ここまでずっとセットプレーを野津田が蹴ってきたことを考えるとそろそろキックの照準が合ってきそうな予感がした。鳴り響いた主審の笛。ゆっくりとしたモーションから野津田が助走をとる。左足のキック。壁を越えゴールへ向かったボール。スワーブが掛かり落ちるとニアサイドへと吸い込まれていったのだった。

 入った、入った、入った。ゴール、ゴール、ゴール。野津田のFK。せっかくいいキックを蹴れるのにやっと決まった。ポジションがボランチへと下がることによってシュートチャンス自体減ったもののやっと野津田の武器であるFKを決めることができたのだった。

 先制。この勢いで畳み掛けていきたい。ところがここから名古屋は攻撃の強度を強めていく。プレスが掛からなくなっていく。むしろボールに食いつくサンフレッチェのプレスを利用して裏を突いてくる。ゴール前へ縦パスが入りポストプレーで落とされるとマテウスがシュート。弧を描いたボールは意外性があり反応できなかった。ゴールマウスを外れたのを見てとるとホッと安堵のため息が出る。名古屋のこういう一発を持ってる選手は脅威だが左サイドの相馬もどんどん高い位置を取るようになってきた。マッチアップする藤井も縦への仕掛けができなくなり守備に追われるようになってきた。

 もはやボールを奪っても前線でボールが収まらない。何とかマイボールの時間を作ろうとするもどうにも上手く刈り取られてしまう。そこで選手交代によってチームを活性化させようと試みる。東、青山、永井と入っていくもペースは変わらない。跳ね返しても跳ね返してもセカンドボールを拾われる。もう1点入れると安泰なものの、時間の経過と共にもはやこの1点を守り切る方が現実的なような気がしてくるのだった。

 アディショナルタイム4分。とても長い4分。相手のセットプレーにはFWの永井も守備に入り顔面でブロック。それにより倒れると更に時間を追加されいつまで経っても終わらない。名古屋のCK。これを凌げば終わるだろうと思いきやクリアするとまたしても名古屋のCK。西村主審はまだ終了の笛を吹いてくれない。えげつないキックを持つマテウスがセットして蹴った。鋭いスワーヴをしたボールが飛んでくる。が、ゴールラインを超えた。それと同時に終わった。やっとのことで終了のホイッスルを聴くことができたのだった。

 厳しい、厳しい戦いだった。試合を決めたのは間違いなく野津田のFKだった。この瞬間をどれほど待ち望んでいたことか。森島がいなくても勝ったと言うことも大きいが、実際にFKを決めることで相手は迂闊にファールで止めることができなくなるのだった。

 一旦リーグ戦は中断し、これからルヴァンカップへと入る。ここでどれだけチームの底上げができるか。そんなことを考えると既に次の試合が楽しみでしょうがなくなってしまうのだった。

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